日立製作所は9月29日、大規模なエンタープライズシステム開発向けに、システムの軽量化や開発の柔軟性・即応性などで注目されるマイクロサービスへの効率的な移行を支援し、モダナイゼーションを実現する「マイクロサービステクニカルソリューション」を、10月1日から提供開始すると発表した。

新ソリューションは、マイクロサービスアーキテクチャの設計支援に加え、クラウドやコンテナなどインフラ環境の設計・構築に加え、アジャイル開発やDevOpsなどの開発プロセスの策定や開発環境の設計・構築といったマイクロサービスアーキテクチャの導入時に必要となる技術支援を行う。

  • 新ソリューションの概要

    新ソリューションの概要

マイクロサービスは、アプリケーションを独立した小さなサービスごとに機能分割し、複数のサービスを連携させて1つのアプリケーションを実現するソフトウェア開発手法の一種であり、サービス単位で最新機能を手軽に追加・修正できるなど、スピーディーなアプリケーション開発や柔軟な機能拡張に対応できるシステムアーキテクチャ。

同社はレッドハットと協業し、金融・公共・製造・流通をはじめとした幅広い分野のエンタープライズシステム向けに、OSSを活用したクラウドシフトやコンテナ環境の運用管理、API管理基盤の導入など、最新技術によるインフラ環境の提供を支援。2019年からはレッドハットとともに、アプリケーションのリリースサイクルを短縮化できるマイクロサービスアーキテクチャの容易な導入に向け、エンタープライズシステムに求められる可用性や信頼性を確保するためのシステム方式設計の観点をまとめたガイドラインを整備している。

新ソリューションは、レッドハットと整備したガイドラインをベースにマイクロサービスの適用可否を含めた導入コンサルティングから、アプリケーションアーキテクチャの設計、クラウドコンテナへの移行支援、DevOps環境の設計・構築支援など、アプリケーションレイヤからインフラレイヤまでトータルにサポート。また、マイクロサービス化の検討を開始するために必要となる、基礎知識の習得を支援する教育サービスも提供する。

具体的には、マイクロサービスやクラウド、コンテナなどの技術に知見を持つ精通した日立のITアーキテクトと、アプリケーション構築実績・設計ノウハウを有するアプリケーションスペシャリストにより、ビジネス要件に適したアプリケーションアーキテクチャの設計を支援する。

また、同社では同時稼働数2000超のコンテナ運用実績を有し、それらのノウハウを活用して、既存アプリケーションのコンテナ対応のほか、コンテナ実行環境の構築やクラウド環境の運用設計・構築を行うなど、ITインフラのモダナイゼーションを支援。

さらに、レッドハットとの協業でハイブリッドクラウドに対応するコンテナ基盤「Red Hat OpenShift」の販売・サポートや、セキュアなAPI管理基盤を実現する「Red Hat 3scale API Management」、「Red Hat Single Sign-On」を活用した「クラウドAPI管理ソリューション」などを取り揃え、マイクロサービスに適したインフラ環境の構築をサポートする。

加えて、大規模エンタープライズシステムにおける効果的なアジャイル開発実践のための同社の開発方法論「HIPACE Agile Scrum Methodology」をベースに、プロジェクトに適した開発プロセスを策定するほか、ビルド・デプロイ・テストまでの一連の作業を自動化するDevOps環境の設計・構築を支援。

そのほか、マイクロサービスへの移行に関する実施可否の判断やマイクロサービス化する対象範囲の検討など、マイクロサービスアーキテクチャの導入におけるさまざまな課題に関する検討や導入前のPoCなどを支援するほか、クラウドやコンテナ、OSS、DevOpsなどの技術について要望や習熟レベルに合わせた基礎教育を実施する。