2018年に乃木坂46を卒業した若月佑美が、女優としての存在感を着実に高めている。今年映画化された日本テレビ系ドラマ『今日から俺は!!』(2018)ではスケバン役を熱演し、先日最終回を迎えたTBS系ドラマ『私の家政夫ナギサさん』では、多部未華子演じる主人公の同僚・天馬あかり役で注目を集めたが、9月29日からauスマートパスプレミアムで配信されるドラマ『妄想スイッチ』では、妄想癖のある婚活中のOL役で主演を務める。

さまざまな作品で経験を重ねている若月に、女優のやりがいや『妄想スイッチ』の撮影裏話についてインタビュー。その中で、「自分の笑顔が嫌い」、「そもそもそんなに自分が好きではない」という驚きの告白も。自己評価が厳しすぎるが、それゆえに「もっと頑張ろう」と思えるそうだ。また、「与えられる人になりたい」という若月を突き動かす原動力にも迫った。

  • 若月佑美 撮影:蔦野裕

若月はまず、女優業について「難しさばっかりですね。課題も多いですし、頭の中ではこういう表現だと理解できるのですが、なかなかそれが表に出せなくて」と語る。

そして、「昔から自分の笑顔が大嫌いで…」と告白。「写真を撮るときに『笑顔で』と言われて、自分の中ではめちゃめちゃ笑顔をしているつもりでも、出来上がった写真を見ると全然笑っていなかったり、そういうコンプレックスとの戦いもあります」と打ち明け、「もっともっと女優としては表現力豊かでありたいですし、普段の私は笑顔が苦手でも、役の中では得意でないといけないと思うようになったので、改善点がいっぱいありますが、それがあるからこそもっと頑張ろうと思えるのだと思います」と語った。

「笑顔が好きではない」という苦手意識は中学生の頃に芽生えたという。きっかけを尋ねると「自分の理想の高さからだと思います。雑誌でモデルさんを見て『笑顔かわいい!』と思って、自分の中で思っている同じ笑顔をしたときに全然自分が追い付いていない衝撃があり、『モデルさんの笑顔と私の笑顔が全然違う』と思ってしまってから嫌いになったのだと思います(笑)」と答えた。

女優として経験を積んでいく中で意識の変化も。「私判断ではないのだと気づけたというか、自分がその笑顔が嫌いでも、誰かが『その笑顔で!』と言ってくれたら、その笑顔がいいんだなと思えるようになりました」と明かし、「それは笑顔だけでなく、何か恥を捨てて演じたときに『そっちがいいよ!』と認められたら、プライベートでやるのは恥ずかしいことでも、そっちを選んでお芝居したいと思うようになってきたので、昔よりは少し切り替えられるようになったと思います」と語る。

そう思えるきっかけになったのが、福田雄一監督が手掛けた安田顕主演の舞台『スマートモテリーマン講座』(2017)。「コメディなのでいろんなキャラクターになりきったり、吹っ切ってやらないと寒くなってしまうものが多く、リアクションがオーバーというのもコンプレックスでしたが、それを舞台に乗せてやったら福田監督が『面白い』と笑って褒めてくださって。自分がギアをかけていただけで、それを外してぶつかっていけば認めてくれる方もいて、私がコンプレックスと思っていたものを面白いと言ってくれる方もいるんだと気づくことができました」

周りがいいと言ってくれた笑顔を認められるようになっても、「嫌い」という思いは変わらず。「舞台など残らないものだったらいいんですが、形に残るもので自分が笑っている顔は見返せなくて、これは一生の課題です。女優というお仕事はとても好きですが、動画に映る自分の顔も嫌いだったり、そもそもそんなに自分が好きではないので」と打ち明け、「だからこそ女優が好きなのかもしれません。別の人になって映っているから自分を見られるというのがあると思います」と分析した。