社内SNSを成功させるポイントと運用前に確認すべき3つの禁止事項

社内SNS・ビジネスチャット

効率的に情報共有できたり、今まで発言が難しかった社員の意見を聞くことが出来たりするツールとして「社内SNS」が注目されています。社内SNS導入への成功例や成功させるためのポイント、使いこなすべき機能、禁止事項をご紹介します。

社内SNSとは?

SNSとは、利用者を特定して参加することができるコミュニティーサービスで、社内SNSは、システムを社内利用向けに特化させています。

社内SNSには、スピーディーにコミュニケーションが取れるため社内が活性化したり、メールよりも簡潔な文章でやり取りできるなどの特徴があります。

社内SNS以外にも、同僚や上司と手軽にコミュニケーションを取ったり、情報共有を行ったりと、便利なツールが様々あります。しかし、それぞれのツールの違いを明確に知った上で、導入しなければ、うまく活用ができずにムダになってしまうこともあります。

ここからは、社内ツールとして代表的な「メール」、「グループウエア」、「社内SNS」を比較していきましょう。

社内SNSとメールの違い

これまでは、メールが主にコミュニケーションの一環として、使われてきました。社内SNSのメリットである手軽さから導入を試みている企業が増えています。ここでは、メール通信では得られない社内SNSの2つのメリットについて解説していきます。

まず、1つ目として、電子メールが基本的に1対1のコミュニケーションであることに対して、社内SNSでは、役職や勤続年数などに関係なく一度に複数の人間とのやりとりが可能です。

もちろん、メールの機能としてccやbccなどを駆使することで、一斉送信することも可能です。しかし、情報共有を行うには限界がある点がメールのデメリットです。送信相手が多いほど、手間がかかり、本来の業務までも圧迫してしまう可能性があります。

2つ目に、社内SNSでは、タイムライン式での表示が可能で、読み返したいところを、あとから検索できるため、内容の確認・整理が容易になります。大量のスパムメールに埋もれて大事なメールを見落とす心配がないなど、情報の管理に関する多くの無駄を省くことができるでしょう。

当然、社内SNS・メールのそれぞれに特性があります。場面や相手により、どのツールを使うことが有効なのかを考えることが、自社のコミュニケーションの質を向上させるのに大切と言えるでしょう。

社内SNSとグループウエアの違い

社内SNSとグループウェアにも、使い方や機能にはっきりとした違いがあります。

社内SNSは、メッセージを伝えるなど、コミュニケーションの一環として利用されることが多く、グループウェアは業務支援を目的として使われることの多いシステムです。

そのため、搭載されている機能にも違いがあります。例えば、グループウェアには、スケジュール、ToDo、掲示板、ワークフローなどの機能が搭載されており、一方、社内SNS・ビジネスチャットツールにはメッセージ投稿、コミュニティといった機能が搭載されています。

搭載されている機能からも、それぞれのニーズに合わせて作られていることがわかります。

社内SNS導入が成功した状態6つ

ここでは、社内SNS導入が成功した状態6つ紹介します。

社内SNSの成功事例を把握すると、より高い効果を実感できるでしょう。

社内SNS導入が成功した状態1:上司と部下のコミュニケーションが良くなっている

現代社会にマッチしたサービスとして、社内SNSが注目を集めるようになりました。社内SNSは、役職・勤続年数などに左右されることなく、気軽にコミュニケーションをとれるというのが魅力の1つです。

そのため、面と向かっては、堅苦しくなってしまう上司などにも、社内SNSをきっかけに上下間でのコミュニケーションが改善すると言われています。

社内SNS導入が成功した状態2:他部門とのコミュニケーションが良くなっている

他部門の人と一緒に仕事をすることで、発想が広がったりお互いの仕事の質が向上したりとメリットが多いのにも関わらず、どこまでの仕事をどの部署が受け持つかという調整やコミュニケーションに苦労するというデメリットによって仕事に影響が及ぶケースがあります。

疑問点などを、気軽に質問できるような雰囲気作りや、環境を構築するためにも、意見交換のしやすい社内SNSを利用しましょう。

社内SNS導入が成功した状態3:同僚のアドバイスなどが受けやすくなっている

新入社員として最初の研修期間は一緒に受けていた同期の仲間でも、何ヶ月もすれば配属で全国バラバラになってしまいます。その同僚といつでもコミュニケーションできる場所(社内SNS)を用意すると、悩みや成功体験の共有ができます。

ある大手メーカーでは、新入社員コミュニティ(社内SNS)を年度別に用意し、そのコミュニティは他から閲覧ができないクローズドにすることで安心してコミュニケーションできるように設計しています。

そのため新入社員の満足度が非常に高くなり、離職率の低下に繋がるという成功事例があります。

社内SNS導入が成功した状態4:テレワーク体制が整っている

新型コロナウイルスなどの有事にあたり、テレワークの導入が注目されています。

しかし、いざテレワークを行うとなると、「社内でのコミュニケーション量の減少」や、情報伝達・共有で「認識のズレ」が生じやすくなる可能性が考えられます。

そこで対処法として、「社内SNS・チャットツールを導入する」ことが挙げられます。

社内SNSを導入することで、「ツール上でのコミュニケーションが円滑になり、意思決定にかかる時間が大幅に短縮された」ことや「場所や時間にとらわれない働き方がより整備され、多様性を活かした人材を採用できるようになった」ことが報告されています。

社内SNS導入が成功した状態5:企業理念やビジョンが浸透している

会社の規模が大きいほど、全社員に企業理念などを浸透させるのが難しくなり、社員の不満が溜まり、仕事の質も下がってしまいます。

その結果、自身の価値観で、判断を下し、一体感のない会社となる可能性があります。

社内SNSを取り入れることで、経営陣と社員とのコミュニケーションが気軽に行えるので、お互いの意思疎通もスムーズになります。そしてこれまで「経営陣 → 社員」と一方的になっていた情報伝達が、「経営陣 ⇆ 社員」と双方向に行えるようになるでしょう。

社員の意見も取り入れながら、経営をおこなうことで、会社全体が同じ目標に向かって進めるでしょう。また、社内SNSは手軽に使うことができるため、ちょっとした雑談からアイディアが生まれたり、ヒントが得られたりという成功事例もあります。

社内SNS導入が成功した状態6:社内風土改善とエンゲージメント醸成ができている

社内の若手メンバーが発言しにくい雰囲気もあったり、組織全体のコミュニケーション量も少なくなっていた会社で、全社員に社内SNSを導入しました。

すると、お互いを認め合う文化が醸成されたり、事業所間での情報共有がスムーズになり生産性のアップにつながるなど、さまざまな効果がありました。

さまざまな年代の社員が在籍する企業であるものの、社内SNSを取り入れることで、歴史ある企業の組織風土がガラッと変わり、お互いを認め合う文化が醸成されたという成功事例です。

社内SNS定着を成功させるポイント6つ

社内SNSを導入し、成功した企業の事例を6つ紹介しましたが、業種や企業風土などにより必ずしもすべての企業の参考にならない可能性があります。そこで、事例を踏まえながら、社内SNS導入を、成功させるためのポイントについて説明します。

成功させるポイント1:社内SNS導入の目的を明確化する

社内SNSは導入の目的を明確にしてから導入・運用することでその効果を発揮することができます。

主な目的として大きく3つに分けられ、会社と従業員(タテ)・他部署(ヨコ)・他部署の上司やメンバー(ナナメ)のコミュニケーション活性化、会社からの情報や業務上のノウハウ共有、会社の経営理念やビジョンの浸透です。

アクティブな投稿をしやすい状況を作るには、これらの目的を明確に設定することが大切と言えるでしょう。

成功させるポイント2:社員が使いこなせるSNSを選択する

社内SNSは、導入するだけでなく「定着」させてこそ意味があります。また、社内SNSを導入する上で、アクセシビリティやユーザビリティも重要でしょう。そもそも使い方が複雑なツールを導入した場合、定着率も低くなってしまいます。

そのため、なるべく直感的に使いやすいものの方が、普段からSNSのサービスに使い慣れていない従業員にとっては良いでしょう。

しかし、SNSに慣れている従業員は、普段から使い慣れているものと違うと、ストレスに感じてしまう可能性もあるため、導入前に全社員にアンケートをおこなうのも良いでしょう。

成功させるポイント3:会社にメリットがあるSNSを選択する

社内SNSは、導入するだけでなく「定着」させてこそ意味があります。多くの企業では、若手からベテランまで幅広いメンバーが在籍・活躍しているかと思います。

全社に社内SNSを定着させるには、どの年代でも誰にでも使いこなせるツールを選ぶことが大切です。もし使い方が複雑なツールを導入した場合、ツールを使いこなすことができず、社員を困らせてしまう可能性もあります。

結果的に社内SNSの定着率も低くなってしまうことはもちろん、仕事への影響の生じる可能性があるため、社内SNS選びは慎重に行いましょう。

成功させるポイント4:従業員にメリットがあるSNSを選択する

社内SNSを活用するにあたり、メリットがないと利用され続けません。また、一般的なSNSとは違う、社内SNSだからこそのメリットが必要でしょう。従業員が社内SNSを使うメリットの一つには、業務上では得られない、新たな気づきや喜びを得ることがあります。

他の部署の社員が、業務に関連する情報を共有することで、学びになったり、同期のメンバーなどの活躍を見てモチベーションが上がる、普段あまり話す機会のない社長や経営陣が、自身の投稿に対してフィードバックをくれるなどがあります。

SNSだからこそ、さまざまな学びや、承認欲を満たしてくれることが実現しやすくなります。また、SNSの強みであるリアルタイム性により、スピード感を持ちながら情報共有ができます。

成功させるポイント5:社内SNSの運用規則を規定する

社内SNSを成功させるポイントとして、自由に投稿できる環境づくりが重要です。しかし、あまりにも自由だと、投稿内容が業務外の雑談ばかりになってしまったり、利用者の偏り、不満や非難の場になるリスクがあります。

そのため、最低限のルールを作成し、運用することが必要です。

また、運用規則を規定する場合は、導入目的を明確にし、目的に合ったルールや、企業全体、部署、チームごとに「一体感」を持って運用できるルール、発言に対する否定は少なくし、できるだけポジティブに活用されるルールを意識しましょう。

また、既存ツールとの併用は、ルールで使い分けを明確にしましょう。

成功させるポイント6:積極的に使われる仕組みをつくる

SNS導入の成功可否は機能をうまく使いこなす仕組み構築が必要です。

突然、全社に導入してもほとんどの従業員が使わなかったり、問題点があったりして混乱が生じて導入しても定着しない可能性があります。そこでまずは、一部の部署だけで試験的に導入し、効果やツールの使い勝手、改善点などを把握してから導入範囲を拡大します。

そして、運用方針など、しっかりとルールを定めてから全社に展開し、定期的に活用ワークショップの開催などの取り組みも重要でしょう。

社内SNSで使いこなしたい機能4つ

社内SNSの主な機能は、チャット機能・グループ機能・アップロード機能・スケジュール機能の4つです。これらの機能を活かすためには、機能の使い分けとセキュリティ機能の注意が重要です。

ここからは、詳細について解説していきます。

社内SNSで使いこなしたい機能1:チャット

チャット機能が、社内SNSの主な機能です。パソコンやタブレット、スマホから、文章で会話のようにやり取りがができます。

社内SNSではメールとは異なり、相手の宛先や件名、署名を記入する必要がないのですばやくメッセージを送ることが可能です。

また、メールの場合、通知が溜まりやすく、重要な情報を見逃してしまうケースもありますが、社内SNSでは情報のリアルタイム共有、さらに蓄積もできるため、情報の抜け漏れの心配がありません。

社外ともコミュニケーションができるビジネスチャットを導入すれば、社外とのコミュケーションも円滑になり、より業務効率の向上が図れます。

社内SNSで使いこなしたい機能2:グループ

社内SNSには、グループ機能というものがあります。グループ機能とは、社内SNS内で各部署や各プロジェクトでグループを作れる機能です。

グループを、目的や案件に合わせて作ると、リアルタイムでそれぞれの進捗状況や、情報共有できるため、業務効率の向上が図れます。また、数あるプロジェクト情報を会社全体で共有できます。

他にも、グループ機能によって、コミュニケーションの幅が広がるでしょう。グループを分けることで、社員が発言しやすくなる環境になり、より意見交換も活発になることが考えられます。

ビジネスチャットの場合は、取引先など社外の人もグループに加えることができます。社外関係者とも同じ情報を共有できるようになれば、プロジェクトの運用などを従来よりも大幅に迅速に進めることができます。

SNSの種類によっては、公開・非公開のグループを作ることが可能なので、セキュリティ面を考慮するなら一考の価値があります。

社内SNSで使いこなしたい機能3:アップロード

社内SNSの情報共有は、文章だけではなくアップロード機能により、画像や動画なども共有できます。

WordやExcel、PDFなどの各種データを、社内SNS上にアップロードすることで、複数人で共有することができます。

業務上で使う際に、紙媒体の資料だと散逸してしまったり、人数分配布するのに手間がかかったりとデメリットが多いです。

ですが、このアップロード機能を使うと、プロジェクトに使用する資料などをメンバーに共有しやすくなり、後に確認すことも簡単です。

また、社内SNSにはSFAと連携し、顧客情報を呼び出すことができます。そのため、取引先や営業案件を全員で共有がしやすくなります。

そうすることで、営業のアプローチ方法などの課題があった場合に、社員全員がSNS上でフォローし合うことができます。

ただし、社内SNSの種類によってはアップロードできるデータの容量が決められているので、業務内容や主要なデータの種類などによって社内SNSをうまく選定する必要があります。

インターネット上のサーバを利用して、ソフトウェアを利用する形態のクラウド型とサーバやネットワーク機器等を購入あるいはリース契約などして、自社の建物内に設置・運用していくオンプレミス型のどちらにするかも重要です。

社内SNSで使いこなしたい機能4:スケジュール

スケジュール機能を用いることで、予定調整が容易になります。

ミーティングや会議のときにメンバーの予定調整が容易にできたり、担当者が不在の際に顧客から問い合わせがあった場合、担当者の行動がわかることで顧客対応がスムーズになります。

また、スケジュールを共有することで周りも把握し、周囲からのちょっとした確認や声掛けを受けることができ、ミス防止につながるでしょう。

活性化を阻害する社内SNSでの禁止事項3つ

社内SNSの導入は大きなメリットをもたらしてくれるでしょう。しかし、それはうまく活用できた場合です。実際は、導入したにもかかわらず思うような結果が出ないことや、導入だけして誰も利用しないなども少なくありません。

ここからは、社内SNSの導入が失敗してしまう理由を見ていきましょう。成功事例だけでなく、禁止事項も抑えておくことで、より社内SNSの理解を深めましょう。

社内SNSでの禁止事項1:SNS上での不平不満

SNSによってはクローズドなグループを作ったり、ダイレクトでのコミュニケーションもしやすくなる機能があるものがあります。会社に対する不満や、他の社員の投稿にアンチコメントをするような、ネガティブな使われ方をしてしまう可能性もあります。

グループ内で名指しの批判はしないことが重要です。自尊心を傷つけることはもちろん、従業員同士の関係を悪化させる要因にも繋がります。

社内SNSでの禁止事項2:常連化またはプライベート化の防止

社内SNSの目的は、「コミュニケーションを円滑にする」ことです。積極的に交流をして距離感を近くすることは重要だが、あくまでも業務上の話です。業務とは関係のないプライベートばかり投稿すると公私混同を招く恐れがあるので注意しましょう。

確かに、社内SNS活用の場を広げることも大切ですが、業務に関係のない情報が増えすぎると、業務への集中力や生産性に影響してしまいます。

社内SNSの利用は、業務に関する情報交換をする場として社内で周知してもらう必要があるでしょう。

社内SNSでの禁止事項3:上司や経営層の過剰干渉

社員は「経営陣や上司からの目」を気にしています。

これは社内SNSにおいても同様です。発言に影響力のある経営者や役員は、社内SNSへの関わり方を考慮しなければなりません。過剰に干渉しすぎてしまうと、発言のしづらい環境になったり、モチベーションに影響を与えてしまう可能性もあります。

せっかく時間をかけて、定着させた社内SNSを無駄にしてしまわないように、上司にあたる人の利用は、慎重になるべきでしょう。

社内SNSの成功のカギは埋もれていた発言を引き出すこと

導入の目的や、ステップを明確にすることが、社内SNSを効率よく活用するために重要と言えるでしょう。また、今まで意見が言えなかった社員を参画させることが社内SNS導入の成功へのカギになると言えます。

雑談やちょっとした知識の共有が、社員同士の「横のつながり」を強化し、新たなビジネスのアイデアが生まれる可能性があります。また、社内の雰囲気や居心地が良い職場は、通常離職率が低くなると同時に、優秀な人材が集まりやすいという土壌になることが期待されます。

本記事が、社内SNS導入という新しいチャレンジを行う際の参考に少しでもなれば幸いです。

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