性能と価格のバランスがよく、“ライトバズーカ”として幅広い層に親しまれたシグマの超望遠ズームレンズが、ミラーレス専用設計の「100-400mm F5-6.3 DG DN OS | Contemporary」となって再登場しました。2種類のテレコンバーターにも対応し、常時携行して超望遠域を手軽に味わえるレンズに仕上がっています。

  • シグマが7月上旬に販売を開始したミラーレス用の超望遠ズームレンズ「100-400mm F5-6.3 DG DN OS」。フルサイズ対応で、Lマウント用とソニーEマウント用を用意する。実売価格は税込み107,000円前後

スナップや風景撮影、クローズアップ撮影にも使える万能派

今回登場した100-400mmは、シグマでは初となるミラーレス専用設計の望遠ズームレンズ。対応マウントはLマウントとEマウントの2種類で、光学設計はほとんどすべてが新たに作られています。

最大の特徴は、なんといっても軽くてコンパクトなところでしょう。最大径86mm×長さ197.2mmで重さは1,135gと、とても軽快なサイズに仕上がっています。スリムな形状なのでカメラバッグにサッと入れられ、“ライトバズーカ”というニックネーム通り日常的に使える超望遠ズームといえるでしょう。

クラス最高レベルの光学性能を誇っているところも特徴です。収差が少ないうえ、逆光時でも安心して飛行機や野鳥を狙えそうです。

  • ワイド端の100mmで鹿を撮影しました。立体感と精細感が両立していて、鹿ののんびりとした様子が伝わってきます(SIGMA fpで撮影、100mm、ISO100、1/160秒、F6.3、-0.3補正)

  • 同じ場所からテレ端の400mmでシャッターを切りました。手ブレ補正がよく効くので、ビギナーでもググッと寄った迫力のあるカットに挑戦できるでしょう。400mmでも鹿の体毛がクッキリとシャープに写し取れました(SIGMA fpで撮影、400mm、ISO250、1/320秒、F6.3、-0.3補正)

超望遠ズームながら、日常的なスナップや風景撮影にも使えます。最短撮影距離はワイド端で1.12m、テレ端で1.6m、最大撮影倍率は1:4.1(400mm時)なので、ちょっと引きがあるシチュエーションならば商品や小物の撮影にも活用できるでしょう。手ブレ補正が強力なので、クローズアップ撮影でも安心してシャッターが切れます。

オートフォーカスのスピードと精度もなかなか。羽田空港から離陸する飛行機をSIGMA fpで狙いましたが打率もよく、気持ちよく撮影できました。ポートレート撮影で役立つ瞳AF機能もちゃんと活用できます。

操作性も問題ありません。AFLボタン、フォーカスリミッターなどを装備し、フォトグラファーが意図通りに撮影できる設計になっています。回転式ズームと直進式ズームの両方が使えるデュアルアクションズーム仕様もうれしいところです。一眼レフ用の100-400mmとは異なり、オプションの三脚座に対応しているところも見逃せません。

テレコンバーターも用意されました。Lマウント専用となりますが、x1.4のTC-1411、x2のTC-2011がラインナップされ、手軽に超望遠撮影を楽しめます。いずれもマスターレンズの性能をキープしているのにも注目です。

軽量コンパクトなだけでなく買いやすい価格なので、より多くのフォトグラファーが超望遠撮影を楽しめる1本になっているといえます。特に、望遠系レンズが少ないLマウントユーザーにとっては必携のレンズだと思います。

  • 小型軽量でスリムなところが素晴らしいです。気軽に持ち出せてスナップ撮影にも役立ちます。佃島で停泊中の舟を撮りましたが、ズーミングもしやすく狙ったコンポジションで撮影できました(SIGMA fpで撮影、200mm、ISO125、1/200秒、F8.0、-0.3補正)

  • F2.8通しの70-200mmなどと比較するとF値が暗くなりますが、手ブレ補正の威力がスゴいので暗所での撮影もラクラクです。ワイド端の100mmですが、1/25秒の手持ちでも手ブレ知らずです(SIGMA fpで撮影、100mm、ISO6400、1/25秒、F6.3、-1補正)

  • 多摩川で釣りをする人を狙いました。波立つ瀬の描写、腰から提げた魚籠の精細感など写りに文句はありません。軽量コンパクトなのでフィールドに持ち出しやすく、アウトドアシーンでも活躍するでしょう。簡易防塵防滴機構なのも安心です(SIGMA fpで撮影、400mm、ISO125、1/320秒、F6.3)

  • Lマウント専用の2倍テレコンバーターTC-2011を装着して飛行機を撮りました。オートフォーカスのスピードと精度もまずまずで、手持ち撮影で約800mm相当の迫力ある写真を撮影できました(SIGMA fp+TC-2011で撮影、745mm、ISO320、1/800秒、F13.0、-0.7補正)

  • 1.4倍テレコンバーターTC-1411も素晴らしい仕上がりです。標識の発色と立体感、解像感も良く、手軽に超望遠撮影をさらに一段楽しいものにしてくれます。Lマウントユーザーは、このレンズとどちらかのテレコンバーターは欲しくなるでしょう(SIGMA fp+TC-1411で撮影、474mm、ISO200、1/250秒、F9.0、-0.3補正)

  • 軽くてコンパクトなうえにスリム。オートフォーカスも高速で正確、描写性能も解像感発色ともに良し、しかも買いやすい価格と、スキがない超望遠ズームレンズだと実感しました。特に、手ブレ補正で像が「ピタッ!」と安定するのがスゴいです。このレンズがあれば、より広い撮影表現が楽しめることでしょう(SIGMA fpで撮影、400mm、ISO500、1/320秒、F8.0、-1補正)