少しだけ、誰かを褒めてみませんか?

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なかなかしんどい毎日が続きますね。少しでも明るい話題をと、テレビの世界も工夫を凝らしているわけですが、明るさが上っ面だけのものになると、受け手の方は、よりどんよりした気持ちになることもあります。そもそもテレビマンの皆さんもギリギリのところで頑張っているにもかかわらず、その努力はなかなか報われないこともあります。テレビが批判の槍玉に上がることが、近年少なくありません。

 

だからこそ、です。もし、素晴らしい番組に出合ったら、どうか制作したテレビ局宛にメール1本、ハガキ1枚にお褒めの言葉を綴っていただけたら、と強く思います。私自身かつて、テレビ・ラジオの番組を制作していたのですが、視聴者やリスナーの方から嬉しいお便りをまれに頂戴すると、自身のデスクに長く貼っていました。辛いことがあると、頂いたメッセージを何度も読み返して、大いなる励みにしていました。

 

他人のことを褒めることは、とても難しいものです。SNSで盛り上がるのは、大抵ポジティブなことよりもネガティブなことですもんね。でも、実はみんな分かっているのです。自分が褒められたら、とても嬉しいことを。テレビの世界に限ったことではありません。医療関係に従事する方への感謝が、最近しばしば語られるようになりましたが、ありとあらゆる職業の方が、精一杯の努力をなさっていることは疑いのないところです。そんな人たちに一言の感謝を伝えることで、世の中は随分明るくなるのではないか、と確信しています。

 

先日、大学のゼミ卒業生から1枚の写真が送られてきました。そこには、私が載ったインタビュー記事の写真のところを指さして、熱心に読んでいる?お嬢ちゃんの姿がありました。まだ字など読めないはずなのに、わざわざ記事を開き、お母さん(教え子)のところに持ってきて、膝の上にちょこんと座ったというのです。

「断じてヤラセではありません!(笑)。親子そろって、先生の教え子になる日も近いかもしれません」と、メッセージが添えられていました。



 ママになった教え子が、幸せそうな写真を送ってくれるだけでも嬉しいものですが、彼女のメッセージに、私自身どれほど温かく嬉しい気持に満たされたことでしょう。こちらへの感謝の気持ちが直接綴られている以上に、教え子との絆がより深まった気がしました。



喜びの余韻に浸りながら、ふと気づきました。私、今年58歳。可愛いお嬢ちゃんが大学に入学する頃には、70代半ばになっています。まあ、そんなシビアな現実は、小さいこととして見ないでおきましょう。(笑)



執筆者プロフィール

影山貴彦

同志社女子大学メディア創造学科教授

(メディアエンターテインメント)

コラムニスト

元毎日放送(MBS)プロデューサー・名誉職員

ABCラジオ番組審議会委員長

上方漫才大賞審査委員

著書に「テレビドラマでわかる平成社会風俗史」、「テレビのゆくえ」、

「おっさん力(ぢから)」など