丼ぶりメニューと京風うどんで知られる「なか卯」から、秋の季節限定メニューが続々と登場した。

なか卯といえば今夏、「いくら・あわび丼」というレアメニューを販売。この価格帯のチェーンにしては単品で1000円超えという強気な値段設定に注目が集まったが、結果的に味、コスパとも優秀であることが話題となり、ネットでも絶賛の声が溢れた。

そんな今ホットななか卯が次に仕掛けるのが「豚角煮丼」「黄金の親子丼」「酸辣湯(サンラータン)うどん」の三種。9月3日から1週間おきに投下されたのだが、17日についに出揃ったということで、今回はそれぞれの食レポをお届けしたい。

キーワードは……「とろみ」である。

食べごたえたっぷり「豚角煮丼」

まずは9月3日に登場した新メニュー、豚角煮丼(並盛690円)。味や具材を細かく調整しながら定期的に販売される人気メニューだ。以前食べたときは小松菜が載っていた記憶があるが、今回は味玉に変更されている。

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さて、そのお味は……。

これは相当レベルが高い。誤解を恐れず言えば、非の打ち所がない。何か文句を付けようとするなら、それは粗探しでしかないだろう。そう思えるほど全体的にバランスがよく、完成度の高い一杯に仕上がっている。

3時間煮込んだというバラ肉は箸で簡単に切れるほど柔らかく、醤油ベースのタレと肉の旨味がたっぷり詰まっていて、コクがあり、味わい深い。脂身はとろとろで濃厚、舌触りもなめらかでご飯に抜群に合う。しかも大ぶりの切り身が5枚も載っているという大盤振る舞いで、ボリューム的にも優秀だ。

味付け卵の火加減もいい。この半熟感はなかなか丼ぶりチェーンでお目にかかれない。まるで熟練のラーメン屋のそれだ。味も中までしっかり入っていて、味付け卵だけもご飯が進む、進む。

写真だけでは伝わらないかもしれないが、アクセントとして重要な役割を担っているのが、肉の下に敷き詰められた"刻み海苔"である。タレでクタクタになったこの刻み海苔、実はかなり大量にトッピングされており、磯の香りを強く主張。おかげで、濃厚な角煮も飽きることなく、最後まで美味しく食べられる。

最後はからしでピリッと締めてフィニッシュ。食べごたえ抜群で、クオリティの高い丼ぶりでした。

なか卯のエースにタレを纏わせた「黄金の親子丼」

「なか卯は親子丼が美味い」というのは、往年のファンの間で合言葉のように囁かれているとか、いないとか。実際に、厳選された鶏肉とこだわりの卵で作られたなか卯の親子丼は多くのリピーターを生み、「4種チーズの親子丼」「炭火焼親子丼」「親子丼イタリアン」など、数々のアレンジメニューもたびたび登場。都度、ファンを喜ばせている。

今回新たにデビューしたのは「黄金の親子丼」(並盛590円)ということだが、一体、何が"黄金"なのだろう?

なるほど、黄金である。

普通の親子丼は茶色いつゆの色が卵に混じった、それはぞれで食欲をそそるルックスなのだが、今回は特製の割り下を使用。見た目は黄色に近付いている。

味の第一印象は「品がある」。特に、"京風あんかけ"の出汁が上品に主張するのだ。出汁に使用しているのはいりこやさば節、真昆布などなど。京風を謳うだけあって、余計な味付け はせず、しっかりと引き出した素材の味で真っ向勝負に出てきている印象である。

鶏肉は弾力があり、卵はいつもに増してふわっふわ。食感もなめらかで、口の中で溶けていくイメージだ。とろみのあるあんかけはご飯によく絡み、丼ぶりに一体感を与える。スープのようにすすって味わうのもオススメだ。

最後は付け合せの生姜をプラス。生姜の利いた親子丼はガラッと表情を変え、気分もサッパリして終了。

和テイストにこだわった「酸辣湯うどん」

ラストは発売されたばかりの酸辣湯うどん(並盛590円)を実食。カレーうどん、担々うどんなどはなか卯でも経験済みだし、割とどこでも目にするメニューだが、今回は酸辣湯。なかなか珍しい気もするが、肌寒くなる秋以降にはぴったりなチョイスである。

テーブルに出されたのは、見るからに具だくさんな一品。一見、普通の酸辣湯麺だが、まずはいただこう。

これは、見た目ではわからないほど"和"を感じる一杯である。酸辣湯と言えば辛味と酸味が特徴的な中華料理だが、なか卯の酸辣湯うどんはスープを和風出汁にアレンジしており、味わいはまろやか。生姜も利いており、なか卯ならではの和テイストに仕上がっている。辛味もマイルドなピリ辛レベルでとても食べやすい。

具材は細かく切られた鶏肉、筍、人参、キクラゲ、ザーサイなどで、とろみのあるスープや溶き卵と合わせてうどんによく絡む。なか卯のうどんはもちもちした舌触り、シコシコした歯ごたえ、つるっとした喉越しにこだわった独自製造で、食べる前は「うどんと酸辣湯スープは合うのか? 」と疑問だったが、スープを和風に昇華したことで、とてもよくマッチしているように思える。

ほどよい辛味と酸味はクセになり、気付けばスープも完飲。「ごはんセット」もあるようなので、最後はスープに投入して〆の一杯を楽しんでもいいだろう。

なか卯の秋の新メニューは、3品とも「とろっ」とした魅力を含んだ、個性豊かな顔ぶれだった。ぜひ一度お試しあれ。