ヤフーは9月18日、「Yahoo!ニュース コメント」の健全化を目的に導入している「深層学習を用いた自然言語処理モデル(AI)」を利用してコメントを評価する技術のAPI(アプリケーション・プログラム・インターフェース)の無償提供を開始した。投稿系サービス事業者は、Yahoo! JAPANのAPIを活用することで、自社サービスに投稿されたコメントをAIで評価し、それをもとに自社においてコメントの削除や表示順の並び替えなどを行うことができ、同日から日本国内の投稿系サービス事業者に向けて受付を開始した。

Yahoo!ニュースは、ユーザーがニュースを通してさまざまな意見に触れ、新たな視点を得るきっかけを作るために、配信される記事に意見や感想を投稿できる機能としてYahoo!ニュース コメントを2007年から提供している。

Yahoo!ニュースでは健全な言論空間を創出するため、専門チームによる人的なパトロールに加え、自社で開発したAIを利用して、誹謗中傷などの不適切な投稿を1日平均約2万件削除するなど、不適切な投稿への対策を行っているという。

加えて、言論空間のさらなる健全化と充実化を目指し、AIにより「客観的で、必要であれば根拠を提示している」「新たな考え方や解決策、見識を提供する」などの条件を満たす建設的なコメントをスコアリングし、スコアが高いものを上位表示させる独自の技術である「建設的コメント順位付けモデル」を、2018年から取り入れている。

今回、外部へ無償で提供するのは「建設的コメント順位付けモデル」の技術となり、投稿系サービス事業者は1日平均33万件以上の投稿があるYahoo!ニュースのコメント対策に活用されているAI技術を導入することにより、AI開発に必要となる大量の学習データや計算コストなどの初期投資をかけずに、AI技術を利用した自社サービスのコメント健全化対策を開始できるという。なお、AI技術については、複数の特許を出願している。