神戸製鋼所は17日、同社開発の「AIによる高炉の炉熱予測システム」が溶銑の温度の高精度な予測を行えるようになったことを発表した。今後、開発をさらに進めて高度な炉況制御を行える「AI操炉」実現を目指す。

高炉の仕組み(同社資料より)

高炉の仕組み(同社資料より)

同社が取り組む「AIによる高炉の炉熱予測システム」は、2018年に発足した専任組織「AI推進プロジェクト部」による成果のひとつで、熟練操炉者が行うような高炉内での安定的な制御をAIの力で実現しようというもの。

先月からの加古川製鉄所第2高炉での運用の結果、5時間先の溶銑の温度を自動かつ高精度で算出可能になったことを同社は発表した。絶えず変動する炉内の熱の情報を複数のパラメータとして持つ数学モデルに入力し、学習を積ませることで、高精度な予測を実現している。

高度な炉況制御を行える「AI操炉」実現のためのステップを同社では「炉熱予測」、「通気予測」と段階的に示しており、今回の成果は「炉熱予測」に位置する。今後、炉内の通気性を確保するための「通気予測」開発へと取り組むことで、還元材として必要となるコークスの使用量を低減させた状況での自動制御も可能になり、コストやCO2削減に貢献できるようになるとしている。

  • 「AI操炉」への道筋(同社資料より)

    「AI操炉」への道筋(同社資料より)