電子材料市場動向調査およびアドバイザリー会社である米Techcetは、2020年の半導体製造におけるCMP消耗材料市場規模は25億ドル程度になるとの予測を発表した。同社によると、スラリ、パッド、コンディショニングディスクなどのCMP消耗品は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による混乱にもかかわらず、いずれもが安定供給されているという。

CMP消耗品の最大市場であるスラリ市場は酸化膜やHigh-K/Metal-Gate(HKMG)など幅広い用途で活用されているが、2020年のその市場規模は前年比約2.2%減ながら、全体の約半数超となる13億ドルと見積もられるほか、2020年~2024年の平均年間成長率(CAGR)はロジック、メモリともに堅調に需要が推移することで6.2%と同社では予測している。

  • CMPスラリ市場

    CMPスラリの用途(平坦化対象被膜)別売上高の推移 (出所:Techcet)

ロジック分野における最大の需要セグメントはCuバルク、Cuバリア、タングステン、シャロートレンチアイソレーション(STI)であるが、HKMGとCoのスラリは比較的少量の需要にもかかわらず、付加価値が高い分野となっている。一方のメモリ分野の場合、3D-NANDチップの層数の増加により、高速度の酸化物平坦化ステップ用のタングステンスラリおよびセリアスラリの需要が急速に増加し続けているという。

Techcetの半導体材料アナリストであるDaian Scott氏は「昭和電工による日立化成の買収は、半導体材料のサプライチェーンが成熟していることを示す兆候の1つである。彼らは希土類酸化物ナノ粒子を使用したセリアスラリを供給する世界的なリーダーであり、先端ICに滑らかな表面を提供することを可能とする技術をこれからも提供していくことが期待される」とコメントしている。

なお、CMP消耗品市場では、サプライチェーンのローカリゼーションへの注目が高まり、多くのサプライヤはエンドユーザーの近くの工場で最終仕上げした消耗材を出荷することを検討しているとTechcetでは指摘している。パッドの場合、接着剤の塗布、洗浄、品質管理(QC)検査、出荷用の特殊なクリーンパッケージなどをユーザーの近くで行うケースが増えており、そのメリットとしては、配送コストの削減、カスタマイズの迅速化、および需要の急増をサポートするためのインベントリのバッファ化などが挙げられている。