富野由悠季×ドリカム・中村正人 『G-レコ』繋がりの2人が米津玄師の才能に嫉妬?
TOKYO FMで月曜から木曜の深夜1時に放送の“ラジオの中のBAR”「TOKYO SPEAKEASY」。8月20日(木)のお客様は、「機動戦士ガンダム」の産みの親でもあるアニメーション監督の富野由悠季さんとDREAMS COME TRUEの中村正人さん。お2人は劇場版「Gのレコンギスタ」繋がり。ここでは米津玄師とモーツァルトの“才能”について言及していきます。

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(左から)富野由悠季さん、中村正人さん


◆才能がある人が、本当に羨ましい(富野)
中村:(富野)監督は才能の塊だと思っていますけど、才能がある人って誰かに勝ちたいとか、そう思っていない人が結構多いですよね。人と比べないというか、監督はどうですか?

富野:本当に才能がある人はそうでしょうね。才能がない僕みたいな人間はどうするかというと、「本当にあのヤロー、ぶっ殺してやろうか!!」とか思わない限り、絶対に物語のきっかけさえ出てこないの。

中村:(笑)。とにかく悔しいとか、誰かをやっつけてやるというモチベーションが物語の始まりなんですね?

富野:そうです。そういうのがまったくないところで、僕に作りたいものってないの。

中村:いやなんかね、監督と一緒だって言ったら本当に申し訳ないんですけど、僕は作りたいものってないんですよ。例えばドリカムだったら、「今、好きなことばっかりやっているでしょう」って言われるけど、「好きなことって何か」というと、やっぱり仕事をいただけること、いただいた仕事を自分の表現としてお返しすることしかなくて。

富野:まったくそうだね。

中村:(創作の)種を与えてもらうんですよね。その種は吉田(美和)から与えてもらうことが多くて、こういう曲をやりたいとか、こういう表現をしたいというようなね。例えば、監督にその種を与えるのは誰なんですか?

富野:誰もいなかったからつらかった……。

中村:(笑)。今ちょっと泣きそうになっていましたけど、誰もいなかった?

富野:誰もいなかった。

中村:それは、例えば手塚治虫先生は?

富野:手塚先生? 何を言っているの! あの人は僕が自分で手塚原作を「これは使えないから、作り変える!」って仕事をしたときからライバルだもん。だから「手塚をいつか黙らせる!!」っていう感じでね(笑)。

中村:やっぱりそっちのモチベーションなんですね(笑)。

富野:そうでなければ10年、20年とこんな仕事はやってられないよ。

中村:当時はまさに総監督が寝ずに働いていた頃ですよね。

富野:そうです。だから才能がある人は、本当に羨ましいと思う。だってドリカムの曲を聴いたときに、「1万人、2万人単位のリスナーに向かってライブをやる。それでやっているメンツが2人しかいないの? こいつら本当に殺してやろうか!」って思ったもん(笑)。

中村:僕は今、米津玄師君に対してそう思っていますけどね(笑)。米津君は全部自分でやられますからね。またジャケットの絵が上手でしょう?

富野:上手ですよね。

中村:あんなに歌が上手で、あんなにパフォーマンスが素晴らしいのに最初はボカロですよ。「それはないだろう」って! 後出しジャンケンみたいなものですよね。

富野:それこそ米津さんといえば、「自分はアレンジなんてはじめはまったくわからなかった」って平気で言うじゃない。「ちょっと待ってくれよ……」ってさ。

中村:本当ですよね。

富野:「ふざけてないか?」って思ったもん。だけどさ、あれこそがまさしく“才能”だっていうことが理解できるようになってきたし、わかるようになってくると……、あー余計な話になりそうだから我慢する(笑)。

中村:いや、今日はもうお互いに飲んでしゃべっているんですから、何でも言ってください。もし何かあったら、マイクを切っちゃいますから(笑)。何か最近つらいことがあったんじゃないですか(笑)? 今日はどうしたんですか?

富野:もうこんな感じで10年くらいずっとつらいよ。楽しいことなんてほとんどないもん。

中村:(笑)。そうですよね、わかりますよ。

◆才能に品格は必要なのか?(中村)
富野:天才の名前を出して、誰からも文句を言われないただ1人の人間がいるんだよね。それは、モーツァルト。僕はモーツァルトなんて50歳になるまで聴くなんて思っていなかったもん。

中村:うん、うん。

富野:「あんなに曖昧でよくわからない曲なんて!」とか思っていたけどね。本当にここ5、6年はずっとモーツァルトを聴いているの。それで最近気づいたのは、楽曲のことはわからないけど、モーツァルトがすごいなって思うのは、何を作曲させてもちゃんと音楽になっていて、わざとらしくないってこと。

中村:本当におっしゃる通りです。モーツァルトは自分であれを弾いていますからね。

富野:若いときはワーグナーとか嫌いじゃなかったわけ。だけどモーツァルトを聴くようになってから、ああいうワザとらしい曲がダメになっちゃったね(笑)。

中村:モーツァルトは(音楽を)ちょっとビジネスとして考えていたんですかね? 僕が知る限りでは映画(「アマデウス」)とか伝記しか読んだことがないですけど、やっぱりモーツァルトも仕事の依頼を受けて、ひたすら食べるために書いていましたものね、パトロンのために。

富野:そうなの! そういう意味では商売人なのよ。しかも、すごく俗なやつで。だから僕が映画「アマデウス」が大好きなのは、モーツァルトを非常に俗物的に描いているから。

中村:わかります(笑)。

富野:俗な人間がここまでできるんだということがわかってきたときに……あ、また余計な話をしてるなあ(笑)。

中村:(笑)。いや、でも監督ね、ちょっと横道に逸れますけど、今って才能がある人も品格とかを求められちゃうじゃないですか。それはちょっとおかしくないですか?

富野:おかしいよ。だからモーツァルトなの。

中村:そうなんですよ! おかしいんですよ。なんで才能のある人は“良い人”でいなきゃいけないのか、社会に貢献する人でいなければいけないのか。だってその才能自体が、すでに人類のためになっているのに。いいじゃないですか、めちゃくちゃでも。

富野:人間ってね、めちゃくちゃじゃなければ、天才的な仕事はできないんだよ。

中村:おっしゃる通り。

富野:(ひそひそ声で)吉田美和さんって、そうじゃない?

中村:あのー……ここでは言えないですけど、めちゃくちゃです(笑)。

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9月3日(木)の「TOKYO SPEAKEASY」は、船越英一郎さん×甲斐よしひろさん がご来店。一体どんな話が飛び出すのか……!? お楽しみに!

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<番組概要>
番組名:TOKYO SPEAKEASY
放送日時:毎週月-木曜 25:00~26:00
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/speakeasy/