現在の状況では想像が難しいかもしれませんが、世界はいずれ新型コロナウイルス感染症拡大の緊急事態から回復するでしょう。しかし、企業はこの危機から学んだことを振り返り、予測可能な緊急事態において、企業として機能し続けるためにより柔軟で素早い対応が求められます。

今回のような緊急事態による業務停止の可能性は常に存在します。ITチームの迅速かつ効率的な対応が重要になります。緊急事態に備えて事前に綿密な計画を立てておくことが、混乱を減らし、通常の運用に戻すための鍵となります。本稿では、一般的でありながらも見落とされがちな、事業継続計画の一部を紹介します。

役割の定義

緊急時の従業員の役割を定義する際は、エンジニアリングのニーズの先に目を向けることが重要です。一般的な緊急時の役割としては、以下のようなものがあります。

(1)インシデント・リード

停電に関連するすべてのことを調整する担当者

(2)コミュニケーション・リード

最新情報が適切な担当者にタイムリーに届ける担当者。一般的には、社内の技術チームとリーダーシップの間の連絡役となります。

(3)変更マネージャー

システムを復旧させるには、多くの変更を短期間で実施する必要があるため、トラブルシューティングの一環として行われた変更の管理と文書化の両方を担当する人を配置することがよくあります。

(4)クリティカルレスポンスチーム

トラブルシューティングと最終的な解決を担当する技術チーム。これらのエンジニアは、必要に応じてベンダーと直接仕事をしながら、他の役割と協力してシステムがスムーズに動作するように支援します。

通信とコミュニケーションの計画

緊迫した状況下では、ステークホルダーに積極的にタイムリーな最新情報を提供することが重要です。コミュニケーションは、状況を明確にし、適切な関係者が最新の情報を入手できるようにするための鍵となります。

ほとんどの顧客は管理者からステークホルダーへの情報提供に電子メールを使用し、技術チームはSlackやSkypeなどのチャットツールを使用しています。これにより、業務中や業務停止時の混乱を減らし、ワークフロープロセスを最適化することができます。

もう1つのアプローチは、2つの電話ブリッジ(技術チーム用と管理者用の2つ)を持つことで、物事をスムーズに進めることができます。コミュニケーション担当者は通常、それぞれのブリッジ間で連絡を取り合います。

ほとんどの顧客は、どのようなトラブルシューティングが実行されているのか、何が原因で問題が発生しているのか、いつ次のステップに踏み切れるのかなど、関連する情報を設定した間隔で関係するすべてのチームに更新しようとしています。

各グループに情報を提供する際は2人または3人の異なるステークホルダーがいることを忘れずに、異なる表現を使用する必要があります。一般的に、コミュニケーションのリーダーは、技術チーム、リーダーシップ、場合によっては一般の人々との間のやりとりを処理します。

グループを更新する際は、常に簡潔なメッセージが最善であることを忘れないでください。コミュニケーションテンプレートを開発することは、停電時の効率的なコミュニケーションに役立ちます。

継続的な準備と必要に応じた調整

業務停止のリスクが伴う緊急事態でのワークフロープロセスは、現在の環境に合わせて合理化するために、頻繁に見直し、改訂する必要があります。エンドユーザーから管理者まで、関係者全員に意見を求め、改善の可能性を確認します。

稼働しているものを採用し、状況にメリットのないプロセスを削除します。組織に重大な変化が発生した場合は、12カ月ごと、またはそれ以上の頻度で停止プロセスを再評価する必要があります。

自然災害、広範囲な停電、オフィス閉鎖事故など、ほとんどの企業が事業継続計画を設計していました。しかし、今回のように社員の大部分が出勤できなくなるという状況を予測していた企業は少なかったのではないでしょうか。

そして、解決策として用いられたテレワークは、以前から「あったらよいもの」として導入の検討が重ねられていましたが、今回の緊急事態をきっかけに「なくてはならないもの」となりました。

私たちが直面している「ニューノーマル」について1つ確かなことは、予期不能なことが多くあるということです。将来の混乱を最小限に抑えるために計画を立てる際は、現在進行中の脅威や混乱、グローバルなもの、人を中心としたものを考慮することを忘れないようにしましょう。

これにより、従業員は危機の際に生産性を維持できるだけでなく、より良い協力関係を築き、組織をより強固なものにできます。

著者プロフィール

國分俊宏 (こくぶん としひろ)


シトリックス・システムズ・ジャパン 株式会社
セールスエンジニアリング本部 エンタープライズSE部 部長

グループウェアからデジタルワークスペースまで、一貫して働く「人」を支えるソリューションの導入をプリセールスとして支援している。現在は、ハイタッチビジネスのSE部 部長として、パフォーマンスを最大化できる働き方、ワークライフバランスを支援する最新技術を日本市場に浸透すべく奮闘中。