耳に水が入った場合の症状、水の抜き方、注意点などを解説します。

◆耳に水が入ってしまったときの症状・水はどれくらいで出てくるか
シャワーやプール・海水浴などで、耳の外耳道に水が入ってしまうことがあります。そもそも、約3cmある外耳道はまっすぐではありません。途中で曲がっていて、本来であれば水が入りにくい構造になっています。

もし水が入ってしまったとしても、水であればすぐに乾きます。一瞬膜が張ったようになり、閉塞感が出るだけなのです。実際に耳に水が入っただけなら、長くて数時間なので、放置していれば自然に治ります。

反対に、水が入った感じが翌日もあったり、一週間水が抜けなかったりする場合、水が原因ではない可能性が高いです。耳鼻科を受診しましょう。そのとき「ガサガサいう」「声や音が響く」「聞こえにくくなる」以外の自覚症状があればぜひ伝えるようにしてください。耳がつまった感じ、閉塞感、膜が張った感じ、膜がかかった感じ、などです。診断の助けになります。

◆耳に水が入った感じが続くとき、考えられる原因
「耳に水が入って取れない」と耳鼻科を受診される患者さんは少なくありません。しかし冒頭でご説明した通り、本当に耳に水が入っただけであれば、数時間で解決しているはずです。実際に耳鼻科に来られた患者さんを診察してみると、耳に水が入っているケースはほぼありません。長時間、耳に水が入った感じが続く場合、よくある原因として次の3つが挙げられます。

・耳垢
単純に耳垢が充満している

・耳管機能の異常
耳管狭窄症、耳管開放症などの耳と鼻をつなぐ耳管機能の異常がある

・低音障害型難聴
低音部の聴力の低下が起こっている

これらの原因となって「耳に入った水が取れない」と誤解されることは珍しくありません。原因が水ではない場合、それぞれにあわせての治療が必要となります。

耳垢が原因の場合、その場ですぐに除去します。耳管機能の異常がある場合は点鼻や薬物療法、鼻から通気管で空気を入れる通気療法などを行います。低音障害型難聴は主に薬物療法で治療します。

◆耳に入った水を放置した場合のリスク
基本的に、水そのものであれば問題ありません。数時間の我慢ですので、放置して大丈夫です。しかし水ではなく耳だれであれば乾きませんから、2~3日違和感が続く場合は耳鼻科を受診してください。

また、もともと外耳炎があったり耳垢が充満していたり、中耳炎があったりする場合、自覚症状が長引きます。その場合はそれぞれの疾患の治療となります。

◆耳に入った水を自分で取る方法……丸めたティッシュで水をしみ込ませる
自然に乾くのが待ちきれず、少しでも早く解決されたい場合、ドライヤーやタオルなどを使って、耳に入った水を自分で取る方法を調べる方は多いようです。

耳鼻科医としておすすめしたいのは、ティッシュを丸めて耳に当て、水をしみ込ませて取る方法です。これなら外耳道を傷つけたりするリスクもなく、安全に試すことができます。綿棒で外耳道をこすって刺激するのはよくありません。

◆耳に水が入りやすい場合の予防・対策法
最終的には耳栓しかありません。プールや海などに入る場合は帽子を深めにかぶり耳を被うのがよいでしょう。

◆耳に水が入った症状で困っている方へ
「耳に入った水がなかなか抜けない」とお悩みの場合、繰り返しになりますが、最も大事なのは「本当に原因が水なのかどうか」という点です。水が入っただけなら、長くても半日あれば乾きます。耳に水が入ったときと同じ「閉塞感」の症状には、上記に挙げたような別の原因が考えられることも、ぜひ覚えていただければと思います。

◇坂田 英明プロフィール
日本耳鼻咽喉科学会専門医。東京大学医学部客員研究員、埼玉県立小児医療センター副部長、目白大学保健医療学部教授を経て、現在川越耳科学研究所クリニック院長。患者さん自らが医療に受け身になるのではなく、能動的に判断、行動して生活できるよう、日々の健康に関する情報発信を行っている。

文=坂田 英明(耳鼻科医)