デロイト トーマツ グループは8月17日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による緊急事態宣言解除後の国内医療機関の現状、患者の通院やオンライン診療の活用状況に関する調査結果を発表した。

  • COVID-19影響による医療機関への通院に対する気持ちの変化(N=5,000)

    COVID-19影響による医療機関への通院に対する気持ちの変化(N=5,000)

この調査は本年6月、患者(5,000名)と病院・診療所の医師(229名)を対象にWebアンケートを実施したもの。

COVID-19により患者の通院に対する気持ちは変化しており、48.4%が「なるべく通院は控えたい」と回答している。不必要な通院を控える可能性があり、通院頻度に関わらず約半数の患者が通院を控えていることが判明した。

また、厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」に基づき、「電話再診」、「遠隔健康医療相談」、「オンライン受診勧奨」、「オンライン診療」の特例措置が開始されたが、6月時点での利用状況として、オンライン診療の認知率が最も「高い」一方で、トライアル率は最も低い状況にあるという。電話再診については認知率がオンライン診療に対して劣る一方、トライアル率は約14%であり相対的に高い水準で利用されているということだ。

  • 遠隔医療の利用状況(N=5,000:複数選択)

    遠隔医療の利用状況(N=5,000:複数選択)

なお、認知率は年齢による大差は無く、一部、電話再診に関しては60〜70代が高い傾向にあることがわかった。電話再診は70代のトライアル率・利用率が最も高い一方、オンライン診療はトライアル率・利用率共に70代が最も低い傾向にあるという。20代においても、認知率・トライアル率ともに他の遠隔医療と比較して相対的に低いことから、同社はオンライン診療に関しては利用上のハードルが存在していると推察している。

一方、医療機関の状況としては、約80%の医師が、COVID-19影響により外来患者(初診・再診)や入院患者が減少していると回答しており、患者による受診控えが影響していると考えられる。

各医療ニーズに対して期待されている解決策について、患者の利便性向上では「オンライン診療」が61%と最も高い結果となったが、医療の質の向上の観点においては16%と低い結果となった。

医療の質の向上においては「電子カルテ」や「ビッグデータやAI活用診断支援」への期待が高いほか、医師やコメディカルの作業効率向上の観点からは「電子カルテ」「音声入力システム」「Web会議システム」「オンライン予約システム」などにも期待が広がっているということだ。

  • 年齢階層別の遠隔医療の利用状況(N=5,000:複数選択)

    年齢階層別の遠隔医療の利用状況(N=5,000:複数選択)