原宿にあるコミュニティ型ワークスペース「WeWorkアイスバーグ」のキーマンであり、業界を超えたコネクターとして活躍する髙野一朗氏。髙野氏の人柄からか、毎日多くの相談が彼のもとに寄せられると言います。そこから生まれたプロジェクトも数知れず……。

なにが人を惹きつけ、新たなプロジェクト・仕事を生み出すのか。本稿では、税理士でありながら幾つもの事業を立ち上げてきた連続起業家のSAKURA United Solution代表・井上一生氏が、髙野一朗氏と対談を行いました。

  • つながり経済を創る人間味と空間の重要性

出会う場としての最適解がWeWorkだった

井上一生氏(以下、井上)――「ご無沙汰しています。お会いするのは、WeWorkをご案内いただいたとき以来かもしれませんね」

髙野一朗氏(以下、髙野)――「そうかもしれませんね。あのときも、ここ(WeWorkアイスバーグ)の見学を兼ねてお会いしたのでしたね。正直なところ、WeWorkを見学してみてどう思いましたか?」

井上――「髙野さんには、WeWorkに入るきっかけをつくっていただいて本当に感謝しています。アイスバーグはデザインもとても独創的かつ象徴的で、衝撃を受けました。自由なワークスタイルというか、決まった席で決まった仕事をしているのではなく、フリーアドレスで自由にコミュニケーションしているという感じの空間で。ここなら自由な発想が生まれそうだなと感じましたね。

坪単価でいえば確かに家賃としては高いのですけど、WeWorkにはお金に変えらない価値があると思います。私たちは、今は丸の内のWeWorkに入っているのですが、"丸の内"という住所によってDMなどの開封率が変わるという効果もありますし、採用の効果も感じています。実利ももちろんあるのですが、それ以外の価値も感じますね。単なる家賃ではなく、ある意味では、広告費であり研究開発費なのだと思います」

髙野――「そうですか。そう仰っていただけるのは、同じWeWorkの住民として嬉しいですね」

井上――「髙野さんは、最近はどのような活動をされていますか?」

髙野――「2015年まではアパレル業界で働いていて、独立してからはマーケティングコンサルタントとして活動していました。アパレル業界出身でしたから、独立当時のクライアントはほぼアパレルブランドでした。ですが、WeWorkに入ってからはアパレル業界以外にIT企業やスタートアップベンチャーとの接点が増えていきました。それで自然と、異業種同士を結び付けていきたいと感じるようになりました。今では、アパレル業界以外の方々との接点がどんどん増えていますね」

井上――「髙野さんは、コネクターやオポチュニティークリエイターとも呼ばれていますよね。WeWorkに入居してから、自然とそうなっていったのですね」

髙野――「そうですね。WeWorkで人と人とのつながりを広げていったという感じです。場所ってすごく大切で、一度アイスバーグに来ていただければわかると思いますが、ここにいるとワクワクする感覚を覚えるはずです。この"ワクワク感"だけでも、借りる価値があると思っていて。ワクワク感がある人がここには自然と集まってきますしね。

私の出身であるアパレル業界には、残念なことなのですがワクワクしている人が減ってしまったんです。でも、ベンチャー企業はワクワクしている人が多い。それを、アパレルの人にまた感じてほしいと思いました」

井上――「その空間として、WeWorkはピッタリだったわけですね」

  • (左)髙野一朗氏(右)井上一生氏

その街その街に応じたカタチがある

髙野――「井上さんは丸の内のWeWorkに入ってらっしゃいますが、丸の内はいかがですか?」

井上――「丸の内の場合、原宿(アイスバーグ)に比べるとベンチャー企業は少ないと思います。それでも、興味深い企業はたくさんいらっしゃいますね。最近も、ある企業さんを髙野さんにご紹介いただきましたが、入居者同士で紹介し合い、関係が深まっていくのが楽しいです。

それと丸の内の場合、アクセスが良いので地方の優良企業の社長さんがわざわざ新幹線に乗ってきて本音を語ってくださるんですよ。それで自然と後継者や事業承継などの、なかなか地元では相談しづらいことが相談できたりします。ひと口にWeWorkと言っても、その街その街によって特徴がありますよね」

髙野――「それはあるかもしれませんね。以前、アイスバーグにインフルエンサーマーケティングの会社が入居していたのですが、その会社さんはインターンを活用するのが上手でした。学生さんを惹きつけるには場所が重要で、その点アイスバーグはピッタリ。原宿や渋谷は、学生さんや若い人たちが好きな街でもありますからね。

ガラス張りだから、オフィスをちょっと覗いてくれる人もいますし、毎日ワクワクできる"夢を発信する場所"という感覚もある。そんな風に、気持ちが近しい人が来てくれる空間なので、いつもではないけど、いつかケミストリーが起こるという期待値も感じます」

井上――「インターンは私たちも来ていただいているのですが、学生さんの目の輝きが全然違うんですよね。若い人が仕事に関わってくれるというのもありがたいことですし、WeWorkという空間では、若い人たちとの気持ちの接着度合いが全然違うと感じています」

(次回に続く……)