そもそもマイナンバーカードとは

特別定額給付金の申請で話題となったマイナンバーカードのマイナンバー(個人番号)は、日本に住民票を有するすべての人が持つ12ケタの番号です。2015年にマイナンバーを伝える紙製の「通知カード」が各家庭に簡易書留で送付され、「通知カード」を持っている方は多いかと思います。この令和2年5月25日から「通知カード」から「個人番号通知書」を送付する方法に変更されました。どちらも身分証明書として利用することはできません。

身分証明書等で利用できるマイナンバーカードは、マイナンバーが記載されたプラスチック製のICチップ付きカード。申請によって取得することができ、カードの表面には顔写真と氏名、住所、生年月日、性別が記載されます。 裏面にはマイナンバーが記載され、税・社会保障・災害対策など法令で定められた手続きを行う際の番号確認に利用できます。

  • マイナンバーカード(画像出典: 総務省)

確定申告などマイナンバーカードでできること

マイナンバーカードは身分証明書として利用できるだけではなく、ICチップが搭載されていることで、行政手続きなどできる電子的な身分証明書としても利用することができます。

旧姓併記ができるように

旧姓を使用しながら社会活動をする女性が増加しているため、結婚・離婚で名前が変わると表記される名前が変わった場合、これまで旧姓を証明するものとして運転免許証の裏面の備考に記載されたものや戸籍が使われていました。

令和元年11月5日からはマイナンバーカードや運転免許証に旧姓を併記することができるようになり、旧姓を証明することが簡単になりました。希望をすれば、更新後も旧姓表記を維持することもできますし、不要となればいつでも併記を削除することもできます。

なお、旧姓を併記するには手続きが必要です。詳しい内容は総務省「住民票、マイナンバーカード等への旧氏の併記について」に記載されています。

一部行政手続きもパソコンやスマホで申請OK

マイナンバーカードがあると、政府が運営するオンラインサービス「マイナポータル」へログインすることができ、各種行政手続をオンライン申請したり、行政機関からのお知らせを確認できたりします。

児童手当の手続き、保育園の入園申請、妊娠の届出、児童扶養手当の現況届など、子育て関連の手続きがオンラインでできるのは便利です。自治体によって、受けられるサービス内容が異なるので、詳しくはマイナポータル内の「ぴったりサービス」で確認またはお住まいの市区町村に問い合わせましょう。

コンビニやスーパーなどで各種証明書を取得

コンビニや一部スーパーなどで、午前6時30分~午後11時まで、土日祝日でも各種証明書をマルチコピー機で発行することができます。今までのように時間内に窓口へ足を運ぶ手間や発行までの待ち時間を大幅に短縮することができます。現在、740市区町村がサービスを導入しており、今後さらに増える予定です。

■取得できる証明書
・住民票の写し
・印鑑登録証明書
・住民票記載事項証明書
・各種税証明書
・戸籍証明書
・戸籍の附票の写し
※市区町村によりサービスの内容が異なります。

令和2年度分から青色申告の控除額に10万円の差

不動産所得、事業所得、山林所得がある人は、青色申告承認申請書を納税地の所轄税務署長に提出することで、青色申告をすることができます。

青色申告の場合、令和2年度分からオンラインシステム「e-Tax(イータックス)」での申告または電子帳簿保存を行うと、控除額が65万円、郵送や窓口などで申告した場合は55万円と、その差10万円にも!

電子帳簿保存を行うには、帳簿を作成する3カ月前までに申請書を税務署へ提出する必要があります。導入までの手間などを考えると、e-Taxの活用がオススメです。

e-Taxで申告する方法としては「マイナンバーカード方式」と「ID・パスワード方式」の2つがあります。「ID・パスワード方式」は、事前に税務署長へ届出をし、e-Tax用のID・パスワードの通知を受ける必要があるうえ、あくまで暫定的なものです。将来的にe-Taxを利用し続けるのであれば、早めにマイナンバーカードを取得しておくことをおすすめします。

注意点として、マイナンバーカードでe-Taxなどの電子申請をする場合は、ICチップに記録されている電子証明書が最新のものであることも確認しておきましょう。引っ越しなどで住所が変わった場合、カード表面の住所と一緒に電子証明書の書き換えもしておくと、電子申請をする際に手間取りません。

また、マイナンバーカードの有効期限は10年ですが、電子情報の有効期限は5年ですので、どちらも期限前のお知らせのはがきが来たら、忘れずに更新手続きをしましょう。

健康保険証やお薬手帳としても使えるように

令和3年3月からはマイナンバーカードをマイナポータルで事前登録しておくことで、健康保険証・お薬手帳として利用できるようになります。利用できる医療機関等は、専用のカードリーダーが設置してある機関です。もちろん、今までの健康保険証も利用できます。

マイナンバーカードを健康保険証として利用することで、医療費控除の手続きも簡単になります。国税庁のサイトからマイナンバーカードで個人認証をして、「医療費通知」のボタンを押すと、1年分の医療費の合計額がサイト上で一覧できるようになり、合計額が控除の適用基準を超えていた場合は、そのままサイト上で医療費控除の申告もできるようになり手間も省けます。

他にも令和3年3月からは特定健康診査(メタボ健診)の情報、同年10月からは過去の投薬履歴を見ることができるようになる予定です。

今後さらにさまざまな利用方法が

令和4年度以降、マイナンバーカードをハローワークカードとしても利用できるようになります。また、マイナンバーカードと銀行口座を1口座紐づけし、「緊急時の給付金の事務」などの手続きや給付を早くすることも検討されています。他にも運転免許証、国家資格証、社員証・学生証として利用する計画もあり、今後ますますマイナンバーカードは幅広く活用されるでしょう。

平成28年1月からスタートしたマイナンバー制度ですが、総務省が発表した令和2年7月1日現在のマイナンバーカードの交付枚数は、全国で2,225万4,189枚、人口に対する交付枚数率は17.5%と普及しているとは言い難い状況です。この9月からはマイナポイントもスタートするので、マイナンバーカードを持っていない人はこの機会に申請してみてはいかがでしょうか。