2019年10月に10%となった消費税。消費増税は一般家計にどのような変化があったのでしょうか? 総務省の『家計調査(家計収支編)』のデータから、昨年の消費動向を見ていきましょう。

◆最新家計調査からわかる、昨年の消費支出の動向
昨年10月に消費税が10%に上がりました。5%から8%への増税のときとは異なり、駆け込み需要、その後の消費の冷え込みといったニュースは、あまり見聞きしませんでした。

とはいえ、社会保障関連費の負担増や、モノの値段が上がり始めたのは事実で、一般世帯の家計収支状況は、一向にラクにはなりません。

2020年5月に発表された総務省統計局の『家計調査報告(貯蓄・負債編)』では、平均貯蓄額がやや増加となりましたが、この先、新型コロナウイルス感染症の影響が、どう家計に影響を与えるのか、計り知れません。

まずは、昨年の消費支出の傾向を確認しておきましょう。

◆実質的な消費額は6年ぶりの増加に
同調査に先立ち、2月に「家計収支編」が発表されています。この調査のうち、二人以上の世帯データでは、1カ月の平均消費支出は29万3379円で、前年から約6000円増加していますが、物価変動などを考慮した実質増減率では、0.9%の増加となり、これは6年ぶりのこととなります。
1カ月の消費支出の推移(二人以上の世帯)

2009年と比較すると、ほぼ10年前の水準に戻ったことがわかります。この間、2011年に東日本大震災が発生し、消費支出は大幅に減少。その後4年連続で消費支出が増加。しかし2015年から再び、消費支出が縮小する傾向にありました。2016年から、消費支出額自体は右肩上がりで増加している、というのが、昨年までの状況です。

◆支出の内訳10項目のうち4項目で実質減少に
1カ月の消費支出とその内訳(二人以上の世帯)
二人以上世帯の消費支出の内訳では、10項目のうち4項目が実質減少。光熱・水道費が対前年で3.0%のマイナスという一方、教養娯楽が3.2%の増加。交通・通信費の増加も合わせると、昨年のGWが大型連休であり、こうした支出が増加したと考えられます。

ただ、各費目の割合は、昨年とほぼ同じで、全体として少しずつ消費が増えたという見方もできます。

◆消費支出を年代別で見ると、すべての年代で支出が増加
年代別1カ月の消費支出(二人以上の世帯)
年代別で前年と比較してみると、全体平均では約6000円の増加で、各年代を通して、前年より増加しています。中でも、40代、50代が前年より1万円以上増加しています。

20代も増加していますが、消費支出額自体が約22万円で、平均との差は7万円近くあります。やはり消費は少し抑え気味で家計管理していることが窺えます。

◆年収が多いほど、消費支出は増加する
年代別1カ月の消費支出(二人以上の世帯)
当たり前といえば、当たり前ですが、年収別で消費支出をみると、年収が多いほど消費支出は増加します。表面的には、そのとおりなのですが、基本的な生活にかかるコストは、年収が低くても、それなりの額が必要です。

年収が最も低い第1階級の消費支出を1年で換算すると約230万円。この階層の平均年収は258万円ですから、残りは20万円弱。これでは貯蓄に回すお金はなく、生活でギリギリの状態と言えるでしょう。

かたや、最も年収が高い第5階級の年間消費額は約510万円。平均年収から差し引いても、600万円以上も貯蓄に回せる家計力があるのです。

年収が低い層には、若年層が多く含まれていますから、今後の年収アップなどで、家計収支は改善されるかもしれませんが、現状では、給料のやりくりで精一杯、というのが実情でしょう。

◆新型コロナウイルスによる家計への影響を考えておく
今回の調査は、2019年のもので、新型コロナウイルス感染症による、さまざまな影響は反映されていません。各家庭においては、世帯収入の減少、場合によっては貯蓄の取り崩しで生活を乗り切っているケースもあるでしょう。

また、在宅勤務によって、食費や水道光熱費は確実に増えているはずです。感染防止対策のためのマスク購入や除菌グッズの購入費用もこれまでにはなかった支出でしょう。一方で、外食、娯楽費、旅行費用など、自粛のために使わなかった支出もあります。

各家庭では、こうした家計への影響を洗い出しておくことが重要です。収入が減る一方で支出は増加。厳しい状況が続きますが、半年先、1年先の家計の見通しを立て、支出の管理をするようにしましょう。

文=伊藤 加奈子(マネーガイド)