上川隆也

2011年に第1シリーズが放送されて以来、連続ドラマ5作、スペシャル9作と長期に渡りお茶の間で愛されている『遺留捜査』シリーズ。今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で数々のドラマの撮影が中断するなど、予断をゆるさない状況だったが、無事撮影が終了。8月10日(日)に『遺留捜査スペシャル』(テレビ朝日系、21:00~)として放送が決定した。

主人公・糸村聡を務める上川隆也さんは「緊急事態宣言が解除され次第クランクインすると伺っていましたが、いつになるのか予測がつかなかった」と厳しい環境下で撮影が行えたことに安堵の表情を見せる。そんな上川さんに最新作の魅力や、コロナ禍のなかでの撮影で感じたことなどをお聞きしました。

――無事撮影が終了したということについて、改めてどんなお気持ちですか?

『遺留捜査』の撮影は、当初から夏前より行われる予定だったのですが、緊急事態宣言が出され、この事態がいつまで続くのか予想ができませんでした。もしかして自粛が延長されたら撮影ができないということも頭のなかにはありました。それが予定通り無事に撮影が終了できたことは、本当にありがたいことだと感じています。

――大変な状況下、糸村という役には、上川さんのこれまで使われていた表現どおり「ヌルっと」戻れたのでしょうか?

今回も「ヌルリ」と戻ることができました(笑)。この表現は自分でも変だとは思っているのですがいつも「スルリ」という以上に、抵抗なく糸村に戻れるますので、こういう表現をさせてもらっています(笑)。今回も「ヌルリ」でした。

――10年近く糸村と対峙していますが、長期シリーズならではの糸村の変化や、変わらない部分というのを、どう意識されていますか?

この物語が過去を舞台にした話だったら、あまり意識しなくてもいいのですが、『遺留捜査』シリーズは、常に“いま”を描き続けている作品。糸村をはじめとする登場人物は、2020年の前半を過ごしているわけです。糸村は、人との距離感が壊れているきらいがあるのですが、このコロナ禍を経たことで、立ち振る舞いにもじゃっかんの変化が見られていると思います。どういったところに変化が見られるのかは、是非オンエアでさがして頂きたいと思うのですが、どうやら我々が思っていた程、糸村聡は無神経な男ではなかったようです(笑)。

――甲本雅裕さん演じる村木繁と糸村とのやり取りも本作の醍醐味の一つだと思います。台本を読ませていただきましたが、彼との関係性も少し変わってきた部分もあるのかなと。

2011年に作品が始まって以来、一貫して顔を突き合わせてきた人間は、村木さん一人。唯一村木さんだけが糸村のわがままに付き合い続けてくれている。だからこそ糸村のことを分かって先回りしてくれる部分も生まれて来ていると思います。腐れ縁とも言えるコンビ感、阿吽の呼吸は、もちろん僕と甲本氏の間にも流れています。分かりやすいエピソードでは、科捜研のシーンはワンカットでの撮影が多いのですが、テストを終えたらすぐ本番です。下準備や前もっての温度感の共有は必要がない。あっという間にいつもの村木と糸村になれる、唯一無二の存在です。

――二人のシーンは、アドリブもあるのでしょうか?

常に盛り込まれています。甲本氏は、どこでなにを繰り出してくるのか本当に分からないのですが、それが楽しみでもあります(笑)。

――今回は乗馬のシーンもあるそうですね。

随分久しぶりだったのですが、いざ鞍の上にまたがると身体が覚えているようで、なんのトラブルもなく、楽しく撮影ができました。

――糸村を見ていると人間の女性に興味がないのかなと思う反面、牝馬に対して「美人ですね」と言うなど、やはり少し変わったところがあるような(笑)。

人間だろうが動物だろうが、彼にとっては分け隔てがないのかも知れません(笑)。

――話は今回の撮影に戻りますが、コロナ禍での撮影のなか、上川さんは座長としてどのようなことを心がけていたのでしょうか?

新型コロナウイルスという、我々誰一人として経験したことない時間を過ごしています。そうした中、こうして役者として撮影の場に戻って来られたことは、本当にありがたいと思います。しかし、コロナの脅威はまだ終わったわけではない。僕らにできることは、最大限の予防措置をないがしろにしないこと。ドラマのなかには、マスクやフェイスシールドは映っていませんが、消毒の励行や本番の直前までフェイスシールドをつけて撮影に臨むなど、スタッフ共演者、協力をしてくださる方々皆がしっかり対策をとっています。それがいまの僕らの現状です。エンターテインメントをお届けする為にも、こうした覚悟を持ってなければいけないんだと感じながら撮影に臨んでいました。

――そんな思いを持ってのお仕事ですが、こういう状況を経験し、上川さんは俳優として今後、どんなチャレンジをしていきたいですか?

続けられる限りは役者でいたいです。もちろんいつまで役者を続けていけるかなんて、状況も含め誰にも分からないことです。だからこそ一日でも長く役者を続けていくという事は、「チャレンジ」と言っていいのかもと思っています。

――最後に視聴者の方々に最新作のメッセージをお願いします。

さまざまなドラマが難しい撮影を余儀なくされるなか、今年も無事に『遺留捜査スペシャル』がお届けできることは、本当にありがたいことだと思っています。でも、だからこそ、いつもと変わらぬクオリティで『遺留捜査』をお届けしたいという気持ちで撮影に臨んでいました。今回の遺留品、馬のたてがみや京野菜を交えながら、人が人を思う気持ちや命の大切さを、これまで同様にお伝えできたらと思っています。

<あらすじ>
“ゴッドハンド”とよばれる脳神経外科の名医・今平卓(長谷川初範)が京都市内の自宅で射殺されているのが見つかり、糸村聡(上川)たち“京都府警特別捜査対策室”のメンバーは臨場する。今平を都内の大病院から引き抜いた病院長・曽根崎光成(春海四方)によると、事件前日、今平の娘で医療ジャーナリストの志摩子(松永渚)が突然、東京からやって来て、今平に「しばらく泊めてくれ」と頼んでいたというのだが、現場に志摩子の姿はなく、連絡も取れなくなっていた。

糸村が気になったのは、リビングの本棚にあった、アンティーク調の木箱。開けてみると、中には白い毛を束ねたものが入っていた。科捜研研究員・村木繁(甲本)に鑑定を依頼したところ、芦毛の馬の毛だと判明する。いったい今平は何のために馬の毛を持っていたのだろうか、糸村は疑問を抱く……。