こんにちは!科学コミュニケーターの清水です。

いきなりですが、みなさん、これが何かわかりますか?

そうです。地球……ではなく、日本科学未来館のシンボル展示「Geo-Cosmos(ジオ・コスモス)」です。未来館の館長であり宇宙飛行士でもある毛利衛が、宇宙に行った際に感じた「宇宙から見た輝く地球の姿を多くの人と共有したい」という想いから、この展示は生まれました。

未来館に来たことがある方にとってはおなじみの展示ですが、今回は、このジオ・コスモスに映っている雲と私たちとのつながりについて、見ていきましょう!

想像ではない、本物の雲の様子!

ジオ・コスモスを見ると、陸と海に加えて雲が映し出されているのがわかると思います。この雲は常に動いているのですが、実はこれ、CGなどで合成された架空の映像ではありません。人工衛星が宇宙から撮影した “本物の雲”なんです!

この雲を撮影しているのは、気象衛星などの「静止軌道衛星」と、北極や南極周辺を観測する「極軌道衛星」の、合わせて10機以上の人工衛星です。球体である地球をくまなく撮影するために、それだけ多くの衛星が必要となるのです。それぞれの衛星が撮影したデータは、アメリカ・ウィスコンシン大学のSSEC(Space Science and Engineering Center)という研究開発センターでつなぎ合わせられます。そのデータは毎朝未来館に送られており、最も新しいデータは約2日前に撮影されたものです。未来館ではそのデータを使って、最近90日分の雲の動きを約8分半の動画にまとめ、ジオ・コスモスに映し出しているのです。

雲がたくさんできる場所

ジオ・コスモスをしばらく眺めていると、雲がさまざまな場所で生まれ、移動し、そして消えていく様子がわかります。

では、そもそも雲はどんな場所で生まれるのでしょうか?

雲の正体は、細かい水滴や氷の粒です。空気中に含まれる目には見えない水蒸気が、温度が下がることで水や氷となり、それらが集まって目に見える状態で浮かんでいるものが、雲です。

寒い日に、はーっと息を吐いたときに、息が白く見えた経験があるでしょう。あれは、吐いた息の中に含まれていた水蒸気が、周りの冷たい空気に冷やされることで、水滴となったものです。雲も、基本的にはこの白い息と同じで、地面や海面近くの低いところにあった空気が上空の寒いところへ運ばれ、水蒸気が水滴や氷の粒となって白く見えるようになったものなのです。この上空に向かう空気の流れは、上昇気流と呼ばれます。上昇気流が多く発生している場所では、雲もたくさんできているのです。



ジオ・コスモスに映る雲の様子を見ていると、雲がよく生まれる場所があることが分かります。その一つが、先ほどの映像にも見られる、赤道付近の場所です。

雲がたくさん、横並びにできているのがわかると思います。この一帯は「熱帯収束帯(または赤道低圧帯)」と呼ばれ、地球全体の大きな空気の流れの中でも上昇気流が常に発生している場所です。上昇気流によってたくさんの雲が生まれ、その一部はすぐに消えてしまいますが、一部は集まって発達し、やがて台風へと成長するものも出てきます。ですからこの熱帯収束帯のあたりに注目していると、台風が発生し、移動していく様子も見ることができます。

また、熱帯収束帯は季節によって移動します。北半球が夏の時期は赤道よりも北側に、南半球が夏の時期は赤道よりも南側に形成されるといった具合に、時期によって雲のたくさん発生している場所が変わってきます。

表面部分で感じる大きなつながり

この他にも、さまざまな雲が地球上で発生しています。それらもまた、ジオ・コスモスに映し出されています。では、これらの雲は、私たちから見てどれくらいの高さの場所にできているのでしょうか?

私たちが普段見ている雲は、地上からだいたい11kmくらいまでの大気の中でできています。雲だけでなく、さまざまな気象現象が、この大気の中で起きています。この大気の高さ、直径約6mのジオ・コスモスではどれくらいかというと、なんと約5mmです!

私たちが暮らす地球はとても大きなものですが、実際に暮らすことができる場所はその表面の一部分だけであることが、ジオ・コスモスを見るとわかるかと思います。

そして近年では、私たち人類の活動は、その表面部分に大きな影響を及ぼすようになっています。例えば、地球温暖化です。これまでの気象現象に影響を与え、異常気象の増加を引き起こし、さらには私たちの生活にも大きな影響をもたらします。

では、私たちはこの先、どのように暮らしていく必要があるのでしょうか? どのような未来を選択するのが良いのでしょうか?

このジオ・コスモスを通して「今の地球」を眺めることで、ぜひ、私たち人間と地球とのつながりを感じてみてください。そして、私たち自身がどのような未来を描くことができるのか、考えてみてください。



Author
執筆: 清水 裕士(日本科学未来館 科学コミュニケーター)
「地球に大変なことが起きている!」そんなイメージから、小学生の頃に環境問題に興味をもちました。ただ、「モノづくりに携わりたい」という好奇心から、電機メーカーでシステム設計に従事。しかしやっぱり環境問題が気になり、その解決のために何ができるかと考える中、科学コミュニケーションに出会いました。「これこそ環境問題を考える上で必要だ!」と思い、未来館へ。