営業利益は前年同期比6割増、全社利益の7割を占める半導体

Samsung Electronicsは、半導体事業の2020年第2四半期の連結売上高が前四半期比3.3%増、前年同期比13.3%増の18兆2300億ウォン、営業利益が前四半期比36%増、前年同期比60%増の5兆4300億ウォンとなったことを発表した。

新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、エレクトロニクス業界の低迷が危惧されていたが、実際にはテレワークや遠隔授業の世界的な活用によるメモリ需要の増加が業績を押し上げる結果となった。その結果、同社全体の同四半期の売上高は前年同期比6%減の52兆9700億ウォン、営業利益は同23%増の8兆1500億ウォンとなり、全営業利益の約7割を半導体事業がたたき出す結果となった。

新型コロナ対応で需要が増加したDRAM

メモリビジネスでは、モバイル向けの需要は比較的弱かったものの、リモートワークおよび遠隔授業に関連するクラウドアプリケーション向けの需要が堅調だったという。特にDRAMについては、オンラインでの経済活動やビデオ会議の増加によりサーバ向けの需要が高まり、PCについてもローエンドのラップトップを中心に需要が堅調となり、PCの製造工場が新型コロナで一時的に閉鎖したことによる影響は同四半期中に緩和されたとする。

また、2020年下期については、DRAMの全体的な需要は新型スマートフォンの発売から高まると予想しているが、米中貿易摩擦などによる地政学的な問題については不透明なままであるとするほか、堅調なサーバ需要は下半期も続くと見ているものの、サーバの顧客の在庫と投資計画については引き続き調査を行っていく必要がありそうだとしている。PCについては、デスクトップの需要は弱いものの、ローエンドのラップトップの需要が引き続き堅調であると思われるほか、グラフィック向けについても、新型ゲーム機が発売予定となっているため需要は引き続き強いものと予測している。

データセンター向けの需要増が続くSSD

NANDについては、米国のデータセンターの増強ならびに中国のソーシャルネットワーキングおよびリモートサービスの需要拡大に併せる形でサーバSSDの需要が増加し続けたという。一方のモバイルについては、消費者心理が新型コロナの影響から、中低価格のモバイル製品の購入比率が高まったことから、需要は低迷した。また、一部のアプリケーション製品が一時的に供給不足となったことから、NAND全体の出荷額は減少したという。

2020年下期のNAND需要については、不確実性が続いているものの、モバイル向けが中低価格品を中心に回復すると予想している。また、サーバSSDについては、オンラインのサービスが活発化するため、需要は引き続き強いと予測している一方でPC需要は弱いため、クライアントSSDの需要は減少すると予想している。ただし、一台ごとの容量については年末に向かって増加する可能性があり、市場として回復する可能性があるとの見方を示している。

なお、同社は、今後のメモリビジネスに関して柔軟な製品構成と投資に重点を置くとしている。DRAMについては、先端の1Z-nmと2021年から導入予定のEUVベースの製品の本格的な立ち上げでDRAMの技術的リーダーシップを強化することにしているという。NANDについては、コスト競争力を重視し、第6世代V-NANDへの転換を加速するとしている。

モバイル機器の需要減でシステムLSIは減収

メモリ以外のシステムLSI事業は、モバイル機器の需要減少により減収となった。ただし、超高速オートフォーカス機能を備えたビッグピクセルイメージセンサやスマートデバイスにプライバシー保護機能を提供するCC EAL6+認定セキュリティチップの投入などを行うことで、ビジネスの多様化に成功したとしており、引き続き、グローバルの顧客基盤を強化していくことで、海外向け売り上げの増加を目指すとしている。

また、2020年下期については、5Gの加入者数ならびに中低価格の5Gスマートフォンの発売数量が増加するほか、スマートフォンに搭載されるカメラの高解像度化および個数の増加が見込まれるため、先端技術を活用した製品を提供することで市場機会の拡大を目指すとしている。

ファウンドリビジネスは過去最高売上高

ファウンドリビジネスについては、顧客が在庫の積み増しを進めた結果、過去最高の四半期および半期の売り上げを達成したという。また、同社は5nm製品の量産を開始したこと、ならびに4nmプロセス技術の開発を進めていることを明らかにし、平澤事業所の生産ラインへの投資を開始し、ファウンドリビジネスの強化を図っているとしている。

なお同社では、2020年下期も新型コロナウイルスの影響は続くものの、先端プロセス技術をベースにしたモバイルおよびハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)向け製品の量産を計画しているという。またモバイル製品、HPC、コンシューマ製品といったようにアプリケーションを多様化することで、安定した売り上げの確保と収益性の向上を図るとしている。