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――主演の篠原涼子さんは、『ナニワ金融道(パート2)』(96年)から始まり、『きらきらひかる』(98年)や『危険な関係』(99年)、『カバチタレ!』(01年、いずれもフジテレビ)と、主演でブレイクする以前から山口プロデューサーの作品に重要な役柄で出演されていますが、どんな女優さんですか?

篠原さんは昔も、主役を張るようになった今もそうだけど、常に「これでいいのかな」と迷いながら演じている純粋で謙虚なプロフェッショナル。あの変わらないかわいらしさは天性のもので、余人をもってかえがたい。加えて天性のリズム感に恵まれていて、デビューの頃からセリフ回しがとても達者です。何というか、神に愛された“才能の塊”ですね。

――山口プロデューサーがTwitterで「耳のいい役者は伸びる。」とつぶやいていましたが、それはリズム感のことなのでしょうか。

どんな長いセリフも言いづらい硬いセリフも軽やかに自分のものにして、役を演じ切れてしまう。そういう資質が篠原さんには備わっています。

■「耐性がついた」杉野遥亮

――杉野遥亮さんは、山口プロデューサーが脚本を書き監督もされた連続ドラマ『新しい王様』に重要な役で出演されています。

中園さんが杉野くんを研究したいと言うので、『新しい王様』を勧めたら「すごく面白くて止まらなくて一気に見ました!」って言ってくれました。

あのドラマで藤原(竜也)くんとか香川照之さんと共演して2人の芝居を間近に見る機会に恵まれて、杉野くん自身も難しい役で大変な分量のセリフもあったりで、大いに鍛えられたと思います。「長いセリフや(山口組名物の)急なセリフの変更にも耐性がついた」と本人もしみじみ言っています。

  • 杉野遥亮 (C)NTV

――今回は不真面目な杉野さん演じる正社員に向ける派遣社員、という目線が新鮮で、せつなくもなります。

13年前、新人のハケン社員を演じたのは加藤あいさん。彼女は木村拓哉くん主演の連続ドラマ『ギフト』がデビュー作なので縁があるのです。

今回の新人ハケンは2人、吉谷彩子さんと山本舞香さんで、山本さんは深夜ドラマの『やれたかも委員会』(18年、MBS)で杉野くんと共演してくれたときに初めて仕事したのですが、彼女もまた他の役者には出せない独特のリズム感がある女優です。短い一言でシーンを成立させてしまう才能の持ち主。吉谷さんとともにぜひ注目してほしいです。

  • 吉谷彩子(左)と山本舞香 (C)NTV

――そんな今作『ハケンの品格』の今後の見どころを教えてください。

13年後に再会した人たち、春子や、大泉洋さん演じる東海林や、小泉幸太郎さん演じる里中も含めて、彼らの生き方が、よりシビアな今の時代に、どう変わり、どう変わらないのか、仕事や恋愛面も含めてご覧になってはいかがでしょうか。私自身も楽しみです。