ボーナスから何が引かれているのか、最終的に手取り額を計算する手順について解説してみたいと思います。

◆ボーナスからは健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、所得税が引かれる
皆さんはボーナスの明細を見て、引かれる金額が多くない?どのように計算されているのだろう?と思われたことはないでしょうか。今回はそんな疑問を解消すべく、ボーナスから何が引かれているのか、最終的に手取り額を計算する手順について解説してみたいと思います。

ボーナスの手取り額を計算するには、何が引かれているのかを理解することが必要です。

◇ボーナスの内訳
ボーナスからは次の5種類が引かれています。

(1)健康保険料
(2)介護保険料(40歳以上)
(3)厚生年金保険料
(4)雇用保険料
(5)所得税(源泉徴収税)

ボーナスの内訳
(1)~(4)はまとめて社会保険料と呼ばれますが、それぞれ計算方法が違いますので、ここでは分けて考えます。

なお前提として「協会けんぽ」に加入の企業にお勤めの方の場合として以下説明していきます。

◆(1)健康保険料の計算方法
健康保険料は以下の計算式で算出します。

健康保険料=標準賞与額×健康保険料率÷2(注1)

注1:健康保険料は会社と折半ですので2で割ります

「標準賞与額」とはボーナス額面から1000円未満の端数を切り捨てた額のことです。例えば額面が437,300円ならば「標準賞与額」は437,000円となります。

「健康保険料率」についてですが、主に中小企業が加入する「協会けんぽ」では保険料率は都道府県によって異なり、協会けんぽホームページ令和2年度保険料額表で都道府県ごとの料率が参照できるようになっています。例えば長崎県の企業と仮定した場合の表を示します。
協会けんぽの健康保険料率 長崎県

◆(2)介護保険料(+健康保険料)の計算方法(40歳以上)
40歳以上の方は健康保険に加え介護保険にも加入しているため、介護保険料率を含んだ健康保険料率として税額表には記載されています((1)の表の青枠を参照)。計算にはこの料率を使い「介護保険料+健康保険料」合算額として保険料を算出してください。

なお健康保険組合がある企業にお勤めの方は健康保険料率、介護保険料率が独自に決められており、負担割合も折半ではなく従業員に優遇されていることが多いです。計算にあたっては健保組合に問い合わせたうえで、その料率をお使いください。

◆(3)厚生年金保険料の計算方法
厚生年金保険料は以下の計算式で算出します。

厚生年金保険料=標準賞与額×厚生年金保険料率(18.3%)÷2(注2)

注2:厚生年金保険料は会社と折半のため2で割ります

計算には先ほどと同じく「標準賞与額」を使用します。なお「標準賞与額」の上限は150万円であり、それ以上の部分には厚生年金保険料はかかりませんので計算の際には注意が必要です。なお「厚生年金保険料率」はH29年9月に引き上げが終了し18.3%で固定となりました。

◆(4)雇用保険料の計算方法
雇用保険料は以下の計算式で算出します。

雇用保険料=ボーナス額面×雇用保険料率(注3)

注3:雇用保険料率の中の労働者負担の率

計算には健康保険料、厚生年金保険料計算に用いた「標準賞与額」ではなく、ボーナス額面そのものを使用することにご注意ください。「雇用保険料率」は厚生労働省ホームページ令和2年度の雇用保険料率を参照します。

雇用保険料率は会社の事業形態によって異なりますので、会社の業態に応じた率を用います。なお令和2年度は一般事業0.3%、農林水産・ 清酒製造・建設事業は0.4%となっています。
雇用保険料率は業態によって異なる

◆(5)所得税(源泉徴収税)の計算方法
所得税の計算では今まで計算してきた(1)健康保険料、(2)介護保険料、(3)厚生年金保険料、(4)雇用保険料がないと計算できません。
なぜならば以下の計算式で算出するからです。

所得税(源泉徴収税)=(ボーナス額面-(1)(2)(3)(4)の合計額)×源泉徴収税率

◇「源泉徴収税率」はどう導き出す?
なお「源泉徴収税率」は、「前月の給与明細」を用いて導き出します。

具体的には「前月給与から前月の社会保険料(注4)を差し引いた額」と「扶養人数」を、国税庁ホームページに掲載されてる「賞与に対する源泉徴収税額の算出率表」に照らし合わせて該当する率を用います。

◇「前月給与から前月の社会保険料を差し引いた額」を計算する
まずは、前月の給与明細から「前月給与から前月の社会保険料を差し引いた額」の計算をします。

注4:社会保険料とは健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料の合計額
源泉徴収税率算出には前月の給与明細が必要

この例では「前月給与から前月の社会保険料を差し引いた額」は329,619円となります。また給与明細から扶養人数は2人(紫の○)であることがわかるかと思います(明細に書いていない場合もあります)。

◇「賞与に対する源泉徴収税額の算出率表」から税率を求める
この額と扶養人数を、国税庁ホームページに掲載している「賞与に対する源泉徴収税額の算出率表」に照らし合わせて税率を求めます。

源泉徴収税率表を用いて税率を確認しよう
この例では賞与にかかる「源泉徴収税率」は6.126%となりますので、前述した計算式を用いて所得税(源泉徴収税)を計算することができます。

◆ボーナスの手取り額を計算してみよう
(1)健康保険料(2)介護保険料(3)厚生年金保険料(4)雇用保険料(5)所得税(源泉徴収税)が計算できたら、手取り額を計算してみましょう。ボーナスの手取り額は額面から今まで計算した各種の金額を引くだけです。

ボーナス手取り額=ボーナス額面-(1)(2)(3)(4)(5)の合計額

◆まとめ
いかがでしたか。見ただけではよくわからない明細書も、手順を踏んで自ら計算していくと最終的なボーナスの手取り額に納得がいくのではないでしょうか。

なお、ボーナスから引かれる所得税(源泉徴収税)はあくまでも暫定の額であり、最終的には年末調整で確定します。

また文中でも触れましたがが健康保険組合のある会社では独自料率を用いて健康保険料、介護保険料を徴収していますので、計算するにあたってはその料率を使用してください。

文=川手 康義(マネーガイド)