【記者コラム】聞き流しが需要の喚起に

昨年あたりから、ユーチューブで、サプリや化粧品の単品通販の広告が多く出稿されるようになっていると感じます。私は30代男性ですが、おそらく、多くの30代男性のお悩み解消につながるであろう、ヘアケアや瘦身サプリの広告が、私の見る動画の前後には流れることが多いです。最近では、男性向け脱毛クリニックの広告も頻繁に見るようになりました。

気になったのが、こういった広告は、映像(アニメーション)の素材の尺が長いということです。中には3分以上に及ぶ広告もあります。

作業中や移動中に、好きな音楽のプレイリストを再生していると、広告が挟み込まれます。10秒程度で終わるだろうと思い、放っておくと、「アニメの登場人物が、毛髪が薄いために好きな女性にフラれる」という話を、延々と聞かされることになります。

同じ広告を何度も見たり聞いたりしていると、すぐに飛ばすようになりますが、はじめて聞くときは、思わず最後まで聞いてしまうことがあります。最後まで聞いてしまったが最後、ユーチューブを支配するAIが、「この端末を使っている人物はこの広告に興味がある」と判断し、おそらく、次の動画でもその次の動画でも、同じ悩みに訴求した商品の広告を出してくることになるのでしょう。

こういったユーチューブ広告が、「個人のプライバシーを侵害している」「薬機法や景品表示法の範囲を超えて表示を行っている」という指摘があります。ただ、私が言いたいのは、そんなことではありません。むしろ、「ユーチューブには、音楽やラジオ番組を聞き流しているユーザーが一定層いるため、ストーリーがある長尺のCMも閲覧される可能性がある」というビジネスチャンスについて指摘したいのです。

これまでテレビのCMの要は、いかに短い時間で大事な情報を消費者に伝えるか、でした。今は、逆に尺が長くても、おもしろくて興味を持ってもらえる広告の内容が大事なのかもしれません。

単品通販企業では、広告代理店に運用を任せ、いかに流入の高い媒体に効率的に投資するかが重要になっています。ユーザーの広告の見方の変化を常に意識すべきではないでしょうか。