クイーンのロジャー・テイラーが語るコロナ禍の生活、『ボヘミアン・ラプソディ』続編の可能性

クイーンのドラマー、ロジャー・テイラーがロックダウン中の生活、新曲「Isolation」、クイーン映画の第二弾の可能性について語ってくれた。

ロジャー・テイラーの2020年の計画では、6月29日は続行中のワールド・ツアー「ラプソディー・ツアー」のミュンヘン公演を開催するオリンピアハレで、クイーンとアダム・ランバートとともにドラムを叩いている予定だった。しかし、COVID-19のパンデミックにより、その夜の彼はNetflixで伝記ドキュメンタリー番組『トランプ:アメリカン・ドリーム』を観ていた。ロックダウン中、彼はイギリスにいる2つの自宅を行き来していたが、現在はクロアチアにある彼のもう一つの家で過ごしている。

「船を持っていて、なんとかそれに乗れるようにして、今は地中海のど真ん中にいるよ」とロジャー。「そのおかげで新型コロナ感染の危険性はほとんどなくなったね。ここにいる自分たちは本当にラッキーだ。ウイルスから逃げられたってことだからね。ここは過小評価されているが本当に美しい国だよ」と。

ロジャーはローリングストーン誌の電話取材に応えて、ロックダウン中の生活、ソロとしての新曲「Isolation」、心臓発作後のブライアン・メイの健康状態、『ボヘミアン・ラプソディ』続編の可能性、ボブ・ディランの新作アルバム、自分が思う引退時期などを語ってくれた。

【動画】クイーン「伝説の名曲」ロックダウン・バージョン

―外出禁止中の生活はどんな感じでしたか?

ロジャー:僕はラッキーな方だよ。コーンウォールにビーチハウスを持っていてね。コーンウォールはイギリスの南東の端だ。このビーチハウス周辺に大きな土地を所有しているからそれほど大変ではなかった。でも、他の人と同じで、外出禁止は奇妙に思えたし、心配だったし、心配事だらけの体験だった。だって次に何が起きるのか予測できないわけだし、今でもその状況はそんなに変わらないよね。

―あなたの生活は急激に変わったと思うのですが、感染拡散したときはちょうどオーストラリアにいたんですよね。

ロジャー:僕たちは本当に運に恵まれていた。パンデミックが始まる少し前にオーストラリア・ツアーを終えていたんだ。これは最高のツアーだった。そして帰国したらこの感染拡大が始まったわけだ。オーストラリア公演を終えられる幸運に恵まれていたが、あいにく今年のヨーロッパ・ツアーはキャンセルせざるを得なくなった。来年に延期して行なうつもりだ。今、たくさんのことが保留状態で、これまで通りの普通の生活に戻るにはしばらくかかりそうだね。

―自宅ではリラックスして、普段よりも遅いペースでの生活を楽しめる方ですか? それとも同じ場所にいると気が変になってしまう方ですか?

ロジャー:同じ場所にいて気が変になることはなかったな。でも、アパート暮らしや、都市部で生活している人がそうなるのは理解できる。そういう環境だと大変だよね。僕の場合は外出できたし、他人と接触することなく海岸に行くこともできた。僕たち家族はラッキーだったよ。とは言え、外出することも人と会うこともままならない状況でアパートや高層階に住んでいる人たちに同情するよ。一番つらいのは、これがいつ終わるのかわからないことだった。それが一番の心配だったね。

新曲「Isolation」とボブ・ディラン新作について

―では新曲「Isolation」が誕生した背景を教えて下さい。

ロジャー:ここの休暇用の家の地下に小さなドラムキットを置いているんだ。そのドラムキットを使ってInstagramでビギナー用のドラム・レッスンを始め、フォーマルなレッスンでは絶対に教えてくれないコツやプレイ、それも非常にシンプルなやり方だけを教えていた。フォーマルな楽器レッスンはどうも変な方向に向かっている気がする。とにかく、庭の日陰でそういうレッスンを行いながら、ふと「ここで僕たちは孤立している。この孤立の曲を作って、人々がどう反応するのか見るべきだな。同じ体験をしている人が世間にはごまんといるんだから」と思ったんだ。



―すべての楽器を一人でプレイしているのですか?

ロジャー:ああ、そうだよ。自分一人しかいないから全部自分でやるしかない。そうなったのは僕のせいじゃないけどね。

―どのように録音したのですか?

ロジャー:サリーの自宅に戻ってから……ここはロンドンの近くで、スタジオも併設しているから、スタジオに入って作業したよ。これは例の9週間が過ぎて移動が許されたあとのことだ。そうやって作ったこの曲をみんな気に入ってくれて僕も嬉しい。その場の思いつきで作ったものだし、状況に対する自分の反応を歌っている曲だから。

作っているとき、この状況が人々にどんな影響を与えるのかを考えていたよ。全員が同じとは言えないけど、この体験は多かれ少なかれ全員に影響した。今ではその影響を無視している人がかなりいるけど、そのせいで今後この影響で苦しむ人がたくさん出てくると思う。

―もっと楽曲を作ってソロ・アルバムを作るつもりはありますか?

ロジャー:ここ5年間ぐらいで2〜3曲をネットで公開しているし、いずれ出したいと思っている曲のストックも少しある。十分な曲数になったら、アルバムを作るのもいいね。

ロックダウン中に楽しんだことの一つがボブ・ディランを聞くことだった。部屋の中で彼の音楽を聞き直してゾクゾクしたよ。彼の新作に惚れ込んだね。彼は全曲とも1曲ずつ公開した。「アイ・コンテイン・マルチチュード」と「最も卑劣な殺人」(Murder Most Foul)は最高だよ。このアルバムが外出禁止期間中に大きな喜びを与えてくれた。

ツアー再開の見通し、アダム・ランバートへの想い

―早くステージに立ちたいと思いますか? 観客のエネルギーのうねりを感じたいと思いますか?

ロジャー:今年オーストラリア、ニュージーランド、日本、韓国をまわる大きなツアーをもうやっているから、今のところはステージに戻りたいという衝動はないね。でも来年ヨーロッパでけっこう大きなツアーを行うことになっている。みんながライブやギグに行き始める頃を見計らってツアーを開始する予定だ。そのためにも早くワクチンができることを祈っている。状況を見守るしかないけど。



―その時点でワクチンが開発されていなくてもステージに立って演奏するのはやぶさかではないと?

ロジャー:ワクチンができなかったらライブの開催も危ぶまれると思うな。観客のリスクがまったくないか非常に低いという状況なら、安心してライブを行えるね。みんながこれから1年後もマスクしていても驚かないし、どうなることやら。ほんと、他の人と同じで、僕も今後のことはわからない。

―私は去年のマディソン・スクエア・ガーデン公演を観たのですが、あの空間にはものすごいエネルギーと愛情が漂っていました。あの映画がクイーンの人気に拍車をかけたようです。過去にアメリカであれよりも多い観客の前で演奏したことがあるのかは知らないのですが……。

ロジャー:うん、去年のツアーに関してはその通りだと思う。全公演ソールドアウトだったし、僕たち全員が満足したツアーだった。たぶん、あの映画を観て楽しんだ若い世代のファンが増えたと思う。彼らはスポーツ・イベントなどで僕たちの曲を聞いたことがあったけどクイーンが何者か知らないって世代じゃないかな。世代を超えて新たなファンが増えて本当にありがたいね。

―ツアーごとにアダムの自信が増しているようにも思えます。ステージで演奏しているあなたもそれを実感しているのでは?

ロジャー:ほんと、その通りだ。アダムは一緒にやっていて100%楽しい男だよ。驚異的な声だし、驚くほどのプロフェッショナリズムだし、ユーモア・センスも最高だ。そういう点も一緒にステージに立つのが楽しい要因だね。今となってはアダム以外のシンガーと一緒にやることを想像できない。それほど彼とのプレイは楽しいんだよ。

―世界中を探し回ってやっとあのポジションに立てる人を得たという感じですかね?

ロジャー:いや、僕たちは探してすらいないよ。偶然そうなっただけ。アダムには生まれ持った才能がある。ステージ上でのカリスマ性も備えていて、それがエルヴィス的と言ったらいいのかな。カリスマという点でデヴィッド・チームとエルヴィス・チームに分かれるだろう? アダムはエルヴィス的で、本当に最高なんだ。それぐらいしか上手い褒め言葉が見つからないよ。あと、彼は最高の友だちで、ロサンゼルスではご近所さんだ。

ブライアン・メイの健康状態、気になる「続編」の可能性

―ところでブライアンはいかがお過ごしですか? 病気になったというニュースを聞きましたが。

ロジャー:そうなんだ。ツアーをキャンセルした後にブライアンが病気になってしまった。だから、パンデミックがなくてもツハーはキャンセルせざるを得なかっただろうし、これって皮肉だよね。ブライアンは今順調に回復に向かっている。毎日連絡を取り合っているんだ。でも、あのときは本当に恐ろしかった。彼もかなり怖かったみたい。奇妙なことだけど、僕たちは二重の意味で外出できなかったんだよ。クイーンのマネージャーも深刻な心臓発作を起こしてしまってね。そういう点でも今年はクイーンにとって非常に奇妙な年と言える。

―実は病気になる少し前にブライアンと話をしたのですが、そのとき、「『ボヘミアン・ラプソディ』の続編の話が出ているが、クイーンはそれに賛成しないことにした」と教えてくれました。過去にそういう企画が持ち上がったりしたのですか?

ロジャー:この質問の答えは「ノー」と言っておくよ。僕たちは1〜2年くらい映画から離れて状況を見極めながら、続編を作るのが正しいことなのかを考える必要があると思う。あの映画は大成功したし、それに関してはみんな嬉しかったよ。でも、そうやって大金を稼ごうとしていると再び世間に思われるのは嫌だね。だから続編を作るだけの価値がある相当優れた脚本でなければ動かないと思う。現時点では続編のことは頭の片隅にもないよ。

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―フレディとの最後のツアーは1986年で、彼の最期の年は非常にドラマチックで、多くの出来事がありましたよね。

ロジャー:うん、本当にそうだった。あれはライヴ・エイドの翌年だったね。天才的な計画を提示する人が現れたら、僕たちも考えて見るだろうけど(笑)、今のところ、あの映画で十分満足だ。それに、前編とマッチしない続編がたくさんあるからね。もちろん、前編をちゃんと引き継いだ続編もあるけど、この領域はけっこう危険が多いと思うんだ。

―最初の映画でオスカーを受賞したことに衝撃を受けたことと思います。そういうことは非常に稀ですから。

ロジャー:あれは異常な出来事だった。ゴールデン・グルーブ賞もあったし、BAFTA賞もあったし、最後にオスカーだった! 僕たちは「じゃあ、もらっとくか!」って思ったよ。最高の体験だったけど、僕たちが住んでいる世界じゃない。僕たちの世界はロックンロールの世界だから。もちろん、あっちの世界も魅力的だし、関わることができて興味深かった。あの映画が4部門でオスカーを受賞したとき、その事実を消化できるまでしばらくかかったよ。ただし、言っておくが、彼らは僕にもブライアンにも何もくれなかった。まあ、それでいいんだけどね。

自分が思うクイーン引退のタイミング

―今後どれだけツアーを続けたいと思っていますか? 今、頭の中にチャーリー・ワッツが浮かんでいるのですが、彼はあなたよりも10歳くらい上なのに相変わらず現役ですよね。

ロジャー:彼は素晴らしいよ。チャーリーが現役を続けているのは良いことだ! ブライアンと僕はこの件についてしょっちゅう話しているんだ。それこそ「なあ、今の僕たちって前よりも楽しんでいないか?」って言い合っている。過去に自分たちがやったことと自分たちが得意なことに気付いたんだよ。僕たち二人の暗黙の了解は、ちゃんとした演奏ができる限り、演奏することが大好きな限り、これを続けようってこと。この二つのどちらかが欠けたらやめる。

この投稿をInstagramで見る rogertaylorofficial(@rogertaylorofficial)がシェアした投稿 - 2020年 7月月3日午後12時12分PDT
―ライブでの演奏が大変な楽曲もありますよね。クイーンのようなやり方でレコードの楽曲をライブで演奏するバンドは他に類を見ないと思います。

ロジャー:まさしくその通りだ。僕たちは愛情と観客の反応に頼り切っているんだよ。観客には音楽に没頭してもらいたいし、ライブの一部を担っていると感じてほしい。観客がライブの一部になるということは、長年かけて作り上げてきたことだし、自分たちのDNAの一部に組み込まれていることだよ。

―2021年のツアーが実現することを心の底から願っています。安心してアリーナやスタジアムに入ることができ、安心してクイーンのライブが見られるときが、私にとってパンデミックの終焉となる気がします。

ロジャー:うん、そうなるだろうね。つまり、普通にライブ会場が開場して、大勢の人たちが集まれるときというのは、人々の精神面でも大きな前進となるはずだよ。来年にはそうなってほしいと願っている。ただし、こればかりは神のみぞ知るだね。