貯金が300万円貯まったら、ひとまず安心でしょう。独身の場合は、万が一働けなくなっても1年くらいは生活できる金額です。もちろんローンがあったり、家賃等の固定費が高かったりすると、不足する金額かもしれませんが、一般的には多少の治療費なども捻出できる金額です。では、300万円を貯めたら、次のステップとして何をすればよいのでしょうか。いくつかのパターンで考えてみましょう。

  • 貯金300万円できたら何する?

貯金300万円は安心金額?

コロナ禍で収入が減って、次の月から家賃が払えない……という事態は、社会人になって数年経ったのであれば、今までの生活スタイルに問題があったと言わざるをえません。親から独立した以上、リスク管理は自分自身で行わなければならないのです。

まずは3か月間生活を維持できる資金を確保し、その次は1年の生活費を目標にしていきましょう。趣味や遊び、交遊などに多くを散財するのは、その後のはずです。

社会人になって間もない世代にとって、300万円の貯蓄は簡単ではありません。しかし、始めの300万円を計画的に貯められたのであれば、その後に何をするかは自然と固まっていくように思います。

しっかり計画を立て、それを乗り切る過程で、次の目標が見えてくるものです。漫然とダラダラ貯蓄していたら、300万円を確保するのに時間もかかるでしょうし、次の目標も浮かび上がってこないでしょう。

冒頭に述べたように、300万円は独身であれば病気になり働けなくなった時でも、ひとまず安心できる金額です。基本的には300万円は、このような万が一の場合の資金なので、使わずに維持する必要があります。

パターン別、貯金300万円達成後の考え方

貯金が300万円貯まったら次のステップとして何をするかは、それぞれの置かれている状況によって大きく異なります。万が一の場合の資金なので、使わずに維持するのは原則です。そのため、引き続き貯蓄したほうが良いケースもありますし、反対に一部を使って投資をしても良いケースもあります。

将来の計画によっても異なるので、どのような違いがあるのか、いくつかのパターンで考えてみましょう。

●夫婦ともに公務員の場合

はじめに、夫婦ともに公務員のケースで考えてみましょう。この場合は、夫婦それぞれが一定の収入があるので、万が一の場合の貯蓄は、さほど重要ではないかもしれません。また、年金も恵まれているでしょうから、老後の資金を早くから手立てする必要性は低いかもしれません。そうなると、これからの自分たちの人生設計次第ということになります。

マイホーム資金を貯める、株などに投資する資金を貯める、早期リタイアの資金を作る、投資用不動産を購入するなど、家族の数ほどバリエーションが考えられます。

●フリーターや契約社員の場合

反対にフリーターや契約社員のケースはどうでしょうか。人生設計の意図のもとに、あえてフリーターや契約社員を選択し、高収入の方もいるとは思います。しかし、やむをえずにフリーターや契約社員となっている場合は、300万円は何としても安全に維持する必要があります。

それができれば、次のステップとして、上乗せ年金の5~10年分の保険料に相当する金額を貯蓄し、追加の年金に加入することをお勧めします。いきなり上乗せ年金に加入すると、収入が少なくなった時に保険料が支払えなくなるケースも考えられます。しかし300万円と保険料5~10年分の原資があれば、何とか保険料を払い続けられるでしょう。月々の保険料が1万円であれば10年間分で120万円です。2万円であれば、5年間でやはり120万円です。

正社員の道があればよいのですが、今後とも状況が変わらないと思われるのであれば、老後の安定した年金確保と住む場所の確保が300万円の次に重要です。年金暮らしになって、都会で家賃を払い続けるのは大変です。老後の生活費を早くから準備するか、田舎に帰る、田舎で暮らす等でなければ、良いタイミングでマイホームを手に入れることも検討しておいた方がよいでしょう。

郊外であれば安価な中古物件がないわけではありません。購入時以降平均余命まで、その建物の耐用年数があればよいので、あえて新築である必要はありません。ただし、頭金と1年間程度のローン返済相当額は、300万円とは別に準備しておいた方がよいでしょう。ローンが組めなければ、資金が貯まった段階で即金での購入となります。

資金を住まい取得に回すのか、現金として保有して家賃を払い続けるのか。大切なことは、老後の住まいの資金を準備しておくことです。

●正社員や実家暮らしの場合

正社員であれば、次のステップとして、住まいという投資のための頭金や、リターンが多い投資商品への資金にまわすことを検討しても良いでしょう。重要なのは、最初の300万円の一部を投資にまわしても、一定の現金は確保することです。

もし実家に暮らしているのであれば、立地の良いマンションの1室を購入するのも良いと思います。その際、必ず入居が埋まる物件であることと、家賃より月々の返済額+管理費等が低いことがポイントです。返済期間はあまり長くせずに、必要な頭金を用意できてから着手しましょう。

実家住まいを活用して、早い時期に不動産を入手すれば、その後の人生設計にゆとりが出ます。将来結婚したときに自分が住んでも良いですし、買い替えたりすることもできます。ローン完済後は、教育資金や老後の資金に向け、次のステップを目指しましょう。

社会人である以上、万が一に備えて最低限の貯蓄は必要です。そしてその先は、自分がどう生きていきたいかの人生設計によります。自分にピッタリな貯め方や使い方を見つけるには、しっかりとこの先何をしたいかを把握することが最も大切です。