6月27日~29日にかけて中国・上海で開催された半導体製造装置・材料の展示会「SEMICON China 2020」において、2日間にわたって「パワーおよび化合物半導体国際会議」が併催され、GaN関連に関する多数の発表が行われた。

  • SEMICON China

    パワーおよび化合物半導体国際会議の講演者たちの集合写真 (提供:SEMI China)

さまざまな利点で用途が産業から民生まで広がるGaNデバイス

中InnoSec(Zhuhai)Technologyの会長であるLuo Weiwei氏は、「シリコンベースのGaN産業の発展のためのチャンス」というテーマで、新しいインフラの波がインテリジェント時代の発展を促進していることを指摘、シリコン半導体の需要の増加のみならず、次世代半導体の1つであるGaNの開発と応用展開の推進役となっているとした。

また、GaN-on-Siliconは、高周波、高スイッチング速度、グラウンドの単位面積あたりのオン抵抗、および高電力密度の特性を備えた半導体であり、これはこれからの時代の電力ニーズを満たすものであり、新たな市場を生み出す力を有しているともした。

米国のGaN専業ファブレスであるEfficient Power Conversion(EPC)のCEOおよび共同創設者であるAlex Lidow氏は、「GaNテクノロジーが車載システムの開発を促進する方法」と題した講演をリモートで行い、GaNパワーデバイス、GaNディスクリートトランジスタ、およびGaN集積回路は10年以上にわたり製造が行われてきた経緯を説明。小型かつ電力変換速度が速いというメリットなどから、耐放射線の強さに基づく宇宙用途から自動車、D級オーデイオアンプ、スマートフォンの充電器に至るまで用途が広がってきていることを紹介した。

また、GaNデバイスはMOSFETの体積と比べて数分の1にできるという利点から、コンポーネントの製造コストが比較的安価にできるという特徴もあるという。現在、GaNデバイスは自動車でも広く使用されるようになってきたが、同氏としてはLiDARと48V電源関係の2つが主要なアプリケーションになるとした。

米国の電源管理IC専業ファブレスのPower Integrations(PI)のXu Ye氏は、「インテリジェントな統合がGaNスイッチのパフォーマンスを最大化する」と題した講演を行い、大容量GaNスイッチの利点と課題を述べた。

同氏は、従来のシリコンスイッチと比較して、高電圧GaNスイッチは小型化、高効率、軽量化という3つの特徴を生かして端末アプリケーションを適切にサポートできるようになっている」とし、PIでも従来のシリコンに替わるGaNベースの電源制御素子を積極的に開発し、小型軽量で魅力的な電源アダプター向け製品を拡販していくとした。

5Gの普及へGaN RFデバイスに期待

米Qorvoでフィールドアプリケーションマネージャーを務めるJenny Xun氏は、「5G-GaNを実現するための主要なテクノロジー」について講演を行い、「5G通信技術の出現により、GaNに代表される第3世代の半導体材料の急速な開発がさらに促進された。高効率、広帯域幅、高出力のマイクロ波無線周波数の分野におけるGaNの利点は、ますます注目されている。5Gは半導体材料に革命的な変化をもたらし、通信周波数帯が高周波にシフトするにつれて、基地局と通信機器には高周波性能をサポートするRFデバイスが必要となり、GaNの利点は今後、顕著になってくるだろう」と述べた。

200mm GaNプラットフォームをimecが公開

ベルギーのマイクロエレクトロニクス研究センターであるimecのGaNビジネス開発マネージャであるDenis Marcon氏は、リモート講演の形で、自社の200mm GaNパワーデバイスプロセスを用いた開発・試作プラットフォームを紹介した。

Siプロセス用ラインを転用したもので、200mm(8インチ)GaN-on-Si eモード/ノーマルクローズモードテクノロジーとして完成し、100V-650VをカバーするGaN-on-Siデバイスおよびそのアプリケーションの開発を行っているという。

また同氏は構成部品(ハーフブリッジ、ドライバ、コンパレータ、そのほか)をすべてGaNで形成したフルGaN ICについても紹介した。同社はオープンイノベーションの社是により、GaNプラットフォームを協業パートナーに公開しており、GaNは今後、ウェハサプライヤ、ファブレス、ファウンドリ、IDMメーカーにとっても新たなチャンスを生むとしている。

このほか、同会議では、中国企業から化合物半導体のMicro LEDディスプレイやVCSEL(垂直共振器面発光レーザー)、ToFカメラ光源などのオプトエレクトロニクスへの応用に向けた講演も行われたほか、米国および中国の製造装置メーカーから、エピタキシャル成長、ALD(原子層堆積)、PVD(物理的気相堆積)、ウェハ表面洗浄などのプロセス装置・技術の紹介も行われた。

中国は、半導体自給自足戦略に沿って、デバイスだけではなく、基板開発や製造装置開発にも注力し、国内エコシステムを構築しようとしている姿がうかがえた。

  • GaN HEMT on SiC

    GaN HEMT on SiCのウェハ (編集部撮影)