テストその3:StoreMI 2.0

こちらの記事の最後に触れたがStoreMI 2.0が提供される予定になっている。実際には7月7日のリリースにあわせて、まずX570マザーボード向けに提供され、次いでX470/B450/B550/X399/TRX40のサポートを今年第3四半期中に行うとされる(Photo17)。今回このβ版が入手できたので、これもちょっと試してみた。ちなみに初代のStoreMIはこちらで試している。

  • Photo17: なぜかB520はサポート対象外。確認したのだが、B520はサポートしないと明確に返事をもらった。

さてまずは環境である。ブート用のNVMe M.2 SSDをそのまま使う訳には行かないので、256GBのNVMe M.2 SSD(Intel SSD 600P 256GB)をシステムに追加(Photo18)し、この256GB SSDをキャッシュとして2TB SSD(WD Green 2TB)を高速化してみる事にした。

  • Photo18: X570 Taichiは最大3枚までNVMe M.2 SSDを装着できる。とりあえずこれで2枚体制。

インストールはかなり簡単になった。インストーラを立ち上げてインストールを開始(Photo19)、インストール後に再起動する(Photo20)だけである。

  • Photo19: インストールオプションも、インストール先を変更するのとショートカットを作る/作らないだけで、かなりシンプルになった。

  • Photo20: インストーラもQtで作り直されたようで、最近のRyzen MasterとかRadeon Settingと同じ感じで使える。

さて再起動後にStoreMIアプリを立ち上げるとこんな感じ。WD GreenがD:、新しく追加した256GBがE:に割り当てられているが、これはまだ前に使っていたパーティションが残っているため。この状態だとCache Deviceとして使えないので、「コンピュータの管理」→「ディスクの管理」でパーティションを開放すると、StoreMIで利用可能になった(Photo22)。後は右の「Create」ボタンを押すと、D:がキャッシュ付きのHDDに生まれ変わる形だ(Photo23)。ちなみに開放する場合、その左上のD:をクリックしてから、右の"Separate"を押すだけで完了である(Photo24)。

  • Photo21: "2000GB"が"2.000GB"に見えるので、フォントを変えるとかTB表記にするとか、少し考えた方が良い様に思う。

  • Photo22: Cache Deviceで256GB SSDにグリーンのチェックが付いたのが判る(Photo21ではチェックがついてない)。

  • Photo23: 左上のD:にはNVMeアイコンがくっついており、StoreMIの対象になっていることが判る。

  • Photo24: 迂闊に解除しない様にロック機能とかあったらいいのに、とはちょっと思った。

ということでそのStoreMI 2.0の実力を確認してみたいと思う。

◆CrystalDiskMark 7.0.0(グラフ44~47)

Crystal Dew World
https://crystalmark.info/ja/software/crystaldiskmark/

まずは定番Disk Benchmarkである。テストはSSD(StoreMI構成前のIntel SSD 600pそのまま)、HDD(StoreMI構成前のWD Green 2TB)、StoreMI(StoreMI構成後)の3つについて、標準状態(テストサイズ1GB/5回繰り返し)で行ってみた。

結果はPhoto25(SSD)、Photo26(HDD)、Photo27~29(StoreMI)となる。StoreMIは、1回目には生のWD Greenと大差ない結果なのが、2回目になるとちょっと高速化され、3回目にはSSD並みに高速化される様になったのがお判りかと思う。

  • Photo25: 生のIntel SSD 600p 256GB

  • Photo26: 生のWD Green 2TB

  • Photo27: StoreMI制御下のWD Green 2TB(1回目)

  • Photo28: StoreMI制御下のWD Green 2TB(2回目)

  • Photo29: StoreMI制御下のWD Green 2TB(3回目)

この結果をまとめてみたのがグラフ44~47である。グラフ44~45がBandwidth、46~47がIOPS(1秒間に出したI/O要求数)であり、グラフ46・48がQueue=8/32、Thread=1/16、47・49がQueue=1、Thread=1での結果である。

StoreMIはSSDをキャッシュとして使うから、最初にアクセスしたときにはまるで性能が出ない。ところが何度もアクセスするとどんどんキャッシュの効果が生まれてきて、急速にSSD並みの性能になる、という傾向がはっきりわかる。また、StoreMIの効果があるのはReadであって、Bandiwdth/IOP共に改善されるが、Writeに関してはキャッシュされないため、SSDの性能そのままとなっている。Photo17にも"Read only algorithm ehnahces data integrity"とあるが、要するにSSDに障害が発生した場合でもデータ整合性を保つために、WriteBackは実装されていないのだと判断される。まぁこれはこれで一つの見識であろう。

◆PCMark 8 v2.8.704(グラフ48~49)

UL Benchmarks
https://benchmarks.ul.com/pcmark8

ではもう少し実際のアプリケーションに近い場合は? ということで、やや古いのだが久しぶりにPCMark 8を引っ張り出して、こちらのStorage Testを実施してみた。

グラフ48がOverall Scoreであるが、StoreMIは生のSSDには追いつかないにせよ、生のHDDよりは随分高速化されている。グラフ49は個々のテストの結果で、こちらは所要時間なので棒が短いほど高速となる。さて、殆どのケースでStoreMIはSSDに近い性能を出しており、比較的時間がかかるもの(例えばBattlefield 3とかPhotoshop heavyとか)でもそう悪くない事が見て取れる。