眼福のひととき│ポルシェ・ワークス・リユニオンのレポート 2018

イベントの中止延期が続く中、過去のイベントをご紹介。雰囲気を楽しんでいただきたい。

2018年8月、ポルシェ70周年を記念して、風光明媚なコラール・デ・ティエラ・カントリークラブのフェアウェーでワークス・リユニオンが開催された。特集ジャンルであるポルシェ・アウトローが数多く集まった会場は、まさにアートだ。米国西海岸エリアで毎年開催され、5回目にあたるこのイベントは、タイトル・スポンサーであるミシュランの提供を受けて、ポルシェ・クラブ・オブ・アメリカ( PCA )が主催している。あらゆるエンスージアストが歓迎され、来場者は入場無料、特にポルシェのオーナーは大歓迎だ。


 
朝方には冷たく曇っていた空模様も、日中には日差しに恵まれた。来場者がコンクール会場を丹念に見てまわる一方で、審査員制ショーにエントリーしたオーナーたちはクルマ磨きなど諸準備に余念がない。今年のイベントでスポットライトが当てられたポルシェ・アウトローは、60年前にニール・エモリーが経営する南カリフォルニアのヴァレー・カスタム・ショップで始まった伝統という。ビジネスは一巡して原点に戻り、孫にあたるエモリー・モータースポーツのロッド・エモリーもポルシェ・アウトローの普及に尽力を続け、注文制のアウトローを創り続けている。
 
ロッドの名声を裏づける最新の功績は、カーナンバー46を付けたポルシェのレストアだ。これは1951年356SLで、同年のル・マンでクラス優勝を果たしたクルマである。今年のアウトロー展示でも、ロッドはきわめて見事なポルシェ356を何台か出展した。ブラックの1959年356クーペ、356スピードスター、そして"エモリー・スペシャル"と呼ばれるシルバーの1964年356カブリオレは、2台の自転車を載せたトレーラーを牽引する。


 
会場には他にもさまざまなアウトローが登場した。車幅を広げたスピードスターは、TV番組『ウェスト・コースト・カスタムズ』でもおなじみのウェスト・コースト・カスタムズによる製作で、987(ボクスター)のシャシーが使われている。グレイシャー・ブルーの1960 年356Bにはさまざまな手が加えられていた。カスタムのメタルワークを使い、1883ccエンジンにフルフローオイルフィルターであるウェバー44を採用。インテリア、ドライビングライト、第3ブレーキライトもすべてカスタムだ。ダーク・グリーンの1956年356には電動のサンルーフが装着され、2400cc燃料噴射式エンジンのイグニッションはクランク点火式にセットアップされている。


 
イベントは終日を通して盛況であった。来場者は、コンクール出展車をはじめ他にもずらりと並ぶポルシェの数々を堪能し、フードトラックで提供されたバラエティーあふれるグルメなランチに舌鼓を打ち、アワード・ステージで数々のプレゼンターに耳を傾けた。ステージに登壇した顔ぶれは、ポルシェカーズ・ノースアメリカ(PCNA)社の社長兼CEOを務めるクラウス・ツェルマー、アウトローのカスタマイザーであるロッド・エモリー、レーサーのハーレイ・ヘイウッド、TV 番組『名車再生! クラシックカー・ディーラーズ(原題:Wheeler Dealers )』のマイク・ブルーワーなどである。


 
他にも注目を集めたステージは、『パフォーマンス・ミーツ・アート』と題されたミシュランによるディスプレイだ。特集されたポルシェのモダン・コレクションはすべてPTS( Paint to Sample:好みの色をオプション費用でオーダーメイドできるプログラム)のクルマで、その大半はポルシェのエンスージアストにしてコレクターでもあるリサ・テイラーの所有という。
 
午後遅くには授賞式が開催され、ポルシェ愛にあふれるオーナーたちが受賞車を運転しながらセンター・ステージに登場した。この様子はポルシェ・クラブ・オブ・アメリカ( PCA )のフェイスブック・ページを通してストリーミングで世界中にライブ配信もされた。
 
ポルシェ・ワークス・リユニオン2018は、インスピレーションに満ちた眼福のひとときであった。クルマを鑑賞し、そのオーナーに出会うことのできる機会は何よりも得難いものだ。

2020年は中止となっているが、2021年の開催を楽しみにしていただきたい。