【記者コラム】「STAFF START」大躍進で思い出した『クラシコム青木代表』『オムニコンサル逸見さん』の言葉

アパレルでの大流行からコスメへの展開
バニッシュ・スタンダードが提供する店舗スタッフのオムニチャネル化を推進するアプリケーションサービス「STAFF START(スタッフスタート)」が大躍進しています。

アパレル業界を中心に800以上のブランドに導入され、「STAFF START」経由の年間流通総額は400億円を超えていましたが、今春にコーセーへの導入を皮切りに、コスメ業界にも提供を開始しました。さらに、コスメの口コミサイト「@コスメ」を展開するアイスタイルと提携し、コスメ業界への本格展開を開始するそうです。

「STAFF START」というとさまざまな機能を提供してるのですが、メインの機能はコーディネート(コーデ)投稿機能です。これは店舗スタッフが、自社ブランドのアイテムを着用したコーデ画像を撮影し、「STAFF START」を通して自社ECサイトやSNSに一気に配信できる機能です。さらに、その際に「STAFF START」では、コーデ画像とECサイトの商品データを紐づけできるので、ユーザーはコーデ画像を見て、気に入ったアイテムがあれば、即座に商品ページに飛び、購入できてしまうわけです。

ここの連携ができていることで、年間400億円という流通総額を創出できています。さらに店舗スタッフの売上貢献度も可視化できるため、人事評価へも反映できます。スタッフは評価にもつながるため、積極的にコーデ投稿するようになり、さらに売上も上がるという好循環が生まれています。

美容部員のEC化が業界を席巻?!
コスメ業界でもリアル店舗では美容部員と呼ばれる販売員兼アドバイザーであるスタッフが、顧客にコスメの使い方や旬なメイクアップなどを教えています。今後は、この美容部員の知見や発信力を「STAFF START」を通してオンラインに発信し、EC購入につなげていくことになりそうです。コスメの動画はYouTubeなどさまざまな動画プラットフォームでも人気コンテンツとなっているので、コンテンツをECとスムーズに連携できる「STAFF START」がコスメ業界を席巻する可能性は高いと思います。

「STAFF START」の躍進を見ているうちに、かつて取材したある2人のキーパーソンの言葉が頭によぎりました。その2人とはメディアコマースの代表格といえるECサイト「北欧、暮らしの道具店」を運営するクラシコムの青木耕平代表と、「カメラのキタムラ」のオムニチャネルを推進し、今はオムニチャネルコンサルタントして活躍する逸見光次郎氏です。2人からは「人×EC」の可能性について、示唆に富んだお話を聞かせていただいていました。


青木代表が求めた「モビルスーツ」
クラシコムの青木代表からは、こんなお話を聞きました。

「私もECにおいてどういうシステムが望ましいのか考えることがある。システムをロボットで例えると、アマゾンの仕組みは『AI(人工知能)ロボット』。レコメンド機能などを搭載し、人の手を極力不要にする方向性だ。楽天は『ラジコンロボット』。安価で汎用性はあるが、できることは限られている。一方、中規模の私たちのようなプレーヤーには、ガンダムのような『モビルスーツ』が必要だと思う。コアシステムには人間という高度なパーツを使っており、人の力を拡張できる」

2015年のインタビューでの聞いた話です。青木代表がこのモビルスーツの好例として挙げていたのが、ZOZOグループで提供しているファッションコーデアプリ「WEAR」でした。青木代表は、「WEAR」で見たアイテムをシームレスに「ZOZOTOWN」で購入できる仕組みに感激しており、「ZOZOに入社したいくらいだ」と話されていたのが印象に残っています。

逸見さんが目指した「人間力EC」とは
オムニチャネルコンサルタントの逸見さんからは、キタムラ時代から「人間力EC」という言葉をよく聞きました。「カメラのキタムラ」にはカメラに詳しいスタッフがたくさんおり、その力を最大限発揮するためにECの仕組みをリアル店舗でも活用しています。カメラ好きの顧客が、リアル店舗でカメラ好きのスタッフに相談し、スタッフはECシステムと連携したタブレットで商品を案内し、リアル店舗に在庫がない商品も店頭で自在に販売できる仕組みを構築していました。スタッフの力を制限しないための仕組みを構築していたわけです。

新型コロナウイルスによってリアル店舗の運営が制限されたことにより、EC化の流れは加速しました。ただ、EC化といってもこれまでのように、目的買いだけのためのECでは成長は限定的だと思います。雑誌を見たり、店舗でスタッフから薦められたりして、購買を喚起する仕組みがECにも求められています。そのためには人の力をECで最大限発揮する仕組みが必要になります。「STAFF START」はこの領域でリードしていると思います。

2人のキーパーソンも教えてくれたように「人×EC」がさらに発展すること、それを支援する仕組みが「STAFF START」だけではなく、もっと登場してくることを、一人の消費者としても期待したいと思います。