住宅ローンを借り入れるのに不安を感じる方は多いでしょう。最近は頭金を用意せずに100%ローンという方も増えているようです。しかし、長引くコロナの問題を通じて、いつ状況が大きく変化するとも限らないことを、我々は知ることとなりました。今までと同じ感覚で住宅ローンを借り入れるのは不安が伴います。では、家を購入する際、頭金はどれほど用意したらよいのでしょうか。また、住宅ローンを組む際に大切なことは何なのか考えてみましょう。

  • 住宅ローンに頭金、家を買う時に大切なお金のコト

頭金20%の基準に意味はある?

以前は、住宅ローンを借り入れるのに、頭金20%を用意しなければなりませんでした。頭金を20%用意するということは、諸費用分も含めて25%程度準備するということになります。仮に4,000万円の物件であれば、実に1,000万円となり、この額を貯めることを想像すると、かなり大変だと感じます。

しかしここでちょっと考えてみてください。頭金を用意するのと、ローンを返済していくのとどちらが大変でしょうか。頭金を準備できなかった人が、はたして住宅ローンをしっかり返済していけるでしょうか。

社会人になってからある程度年数がたっている人で頭金が用意できていない場合は問題です。住まいを取得したいという夢があるのであれば、早い時期から準備をするはずですし、しっかり貯蓄していれば、その後の返済もスムーズでしょう。反対に、貯蓄の苦労を知らずにローンの返済に臨むのはリスクが大きいと言えます。

旧住宅金融公庫の担当者によると、実際に頭金20%を用意できた人が、返済に窮して返済方法の見直しの相談に来るケースは少ないそうです。いまはコロナ禍を経験して、ある程度頭金を用意しないとリスクが高いことを、改めて実感させられます。

住宅取得は若いほうが有利?

頭金を多く用意したほうが良いのは当然ですが、一般的に住宅取得は若い時のほうが有利です。若ければ、頭金として準備できる額も少ないというデメリットはありますが、メリットもあります。その理由をいくつかまとめてみましょう。

<消費するだけの家賃を減らすことができる>
実家暮らしであれば別ですが、都市部での家賃負担は相当なものです。住宅ローンの支出は住まいが資産となる利点がありますが、家賃は消費するだけで何も残りません。支払えるほどの返済額であれば、家賃より住宅ローンの方がメリットとなるでしょう。

<病気のリスクが低い>
住宅ローンを返済できない事態に陥る原因として、病気やケガなどで働けなくなり、収入が減るケースがあります。死亡や所定の高度障害であれば、団体信用生命保険(以下、団信)で残りのローンは相殺されますが、それ以外の長期療養などの場合は、治療費と生活費、またローン返済が大きな負担となってきます。若ければ若いほど、病気などへのリスクも低くメリットでしょう。

とはいえ、重篤な疾患の可能性はゼロではありません。その時に団信でその後の返済が免除されたとしたら、住まいが資産として残り、貸したり売ったりして治療費に充てることもできるのです。

<子供の教育費がかかる前や定年前に返済できる>
結婚してすぐなど、早い段階で返済を開始すれば、子供の教育費がかからないときに夫婦で集中的に繰り上げ返済をし、教育費の負担が大きい時期に返済額を少なくすることができます。

また、勤め先の定年が65歳の場合、30歳で35年ローンを組むと完済はぎりぎりになりますが、若いうちから始めれば繰り上げ返済等でそれより短い年数で完済することも可能です。そして、その早まった分の年月だけ、老後の生活資金を貯める期間に充てられます。

<親も若く現役である可能性がある>
仮に、何らかの理由で住宅ローンの返済に窮する事態が起きたとしても、即座に住まいを手放さなければならない事態ばかりとは言えません。一時的に支援があれば生活を立て直し、リカバリーできるケースも多いと思います。

その際、自分たちの親がまだ現役であれば、一時的に支援が受けられるかもしれません。もちろん、立て直した後は、支援分を返済しなければなりませんが、その機会を得られるのも、本人同様親も若い方が高くなります。このような周囲の状況も若いうちのメリットのひとつと言えるでしょう。

リスク回避の方法をあらかじめ考えておこう

若くして住まいを取得する場合は、頭金20%を用意するとリスクが低くなるとしても、そこまで用意できないことも多いでしょう。そのような時は、万が一のリスク回避の方法を考えておきましょう。

たとえば、住まいの市場価値についてです。日本の住宅市場は中古物件の評価が極端に低くなる傾向にあります。仮にローンを支払えない事態になった際、住まいを売却してもローンを完済できない事態は避けなければなりません。

そのためには物件の価値が下がらない市場性の高い物件選びが大切です。入居者が切れ目なくあるエリアであるかや、家賃収入が月々の返済額を上回るかを考えましょう。

住まいが市場性の高い資産であれば売ったり貸したりできます。どちらにせよ手放す場合は、自分たちの住まいを別で確保する必要が出てくるでしょう。格安物件を借りたり実家に寄宿したりするなど、その際の避難場所を事前に考えてくことも大切です。

今すぐ節約して貯蓄額を増やそう

住宅購入にはいろいろな対策や検討事項が伴います。ローン返済に不安を感じるのであれば、即座に生活を見直して貯蓄額を増やしていきましょう。まずは今すぐできることを行うことが重要なのです。

頭金は収入が不安定と思われるケースは多く用意したほうが無難です。公務員と契約社員などでは状況は大いに違います。置かれた状況に見合った対策や頭金を用意するのが原則です。収入が少なければ、月々の返済に余裕は少なくなりリスクも高くなるので、より多くの頭金を用意する必要があるでしょう。