フェンシング・西岡詩穂 東京オリンピックに向けて「普及活動を増やしていけたら…」
藤木直人、高見侑里がパーソナリティをつとめ、アスリートやスポーツに情熱を注ぐ人たちの挑戦、勝利にかける熱いビートに肉迫するTOKYO FMの番組「TOYOTA Athlete Beat」。6月27日(土)の放送では、フェンシングの西岡詩穂選手をゲストに迎え、お届けしました。


西岡詩穂選手



◆レベルの高い練習環境が後々プラスに
西岡選手は、和歌山県出身で1989年2月23日生まれの31歳。小学6年生のときにフェンシングと出会い、中学で全国優勝を果たします。そして、日本女子体育大学3年生でナショナルチーム入りし、2012年ロンドンオリンピック、2016年リオデジャネイロオリンピックと2大会連続でオリンピックに出場。2021年に開催延期となった東京オリンピックへの出場が期待されています。

藤木:西岡選手がフェンシングを始めたきっかけは?

西岡:私は和歌山県出身なんですけど、和歌山北高校にはフェンシング部があって、顧問の先生と私の父が、もともと知り合いだったんです。父がどうしても私にスポーツをさせたかったらしく、(和歌山北高校の)フェンシング部に無理矢理連れて行かれました(笑)。

藤木:小学6年生の頃だと、フェンシングに触れる機会って、なかなかないですよね。

西岡:いまでは少し増えましたけど、その頃はジュニアクラブとかもほとんどなかったんです。小学校6年生でフェンシングを始めた頃から、練習のために高校に行かせてもらっていたんですけど、一応「ジュニアクラブ」という名前をつけてもらって。(メンバーは)1人だったんですけど(笑)。

藤木:“無理矢理やらされた”というフェンシングですが、真剣に取り組むようになったきっかけはあったのですか?

西岡:真剣にやり始めたのが中学校2年生ぐらいからで、それまでは、練習に対してもあまり乗り気ではなくて。中学校の試合が夏と冬に2度あるんですけど、それにとりあえず出るんですよ。出て、負けて、一丁前に泣くんです、練習を全然していないくせに。でも、悔しいんですよ(苦笑)。ビービー泣いていたので、先生から「本気で勝ちたかったら、毎日練習においで」って言われて。

藤木:でも、中学3年生のときに全国大会で優勝したと。

西岡:中学2年生の冬ぐらいから真剣に練習を始めて、中学3年生の夏に全国大会で優勝しました。

藤木:高校生に混じって練習ということは、よりレベルの高い人たちと練習ができた環境もプラスになったんですよね。

西岡:そうですね。レベルが高くて、初めは誰にも勝てませんでした。

◆2度のオリンピック出場での経験を経て
藤木:オリンピックに2回出場されましたけど、最初のオリンピックとなったロンドン大会、2度目のリオデジャネイロ大会、それぞれどんな舞台でしたか?

西岡:ロンドン大会ではチームのなかで最年少だったので、まず先輩たちについていくのに必死でした。団体戦もあったので、“なるべく足手まといにならないように”ということに精一杯で、良くも悪くも“緊張感を感じる余裕がなかった”というのが思い出です。

藤木:2度目のリオ大会はどうでしたか?

西岡:ロンドン大会が終わったら、先輩たちが全員引退しまして。残ったのが私と下の後輩たちだけになったので、(最年少から)一気に私が最年長になったんですよ。

藤木:極端ですね(苦笑)。

西岡:そして、リオ大会は、個人戦しか出場する枠がなかったので、ロンドンが終わった直後から“個人で出る”ということを決めていました。リオ大会までの4年間はすごくつらくて、練習もトレーニングも普段の生活も、ほぼ1人でいました。それくらいチームと関わらないようにしていました。

藤木:何があったのですか?

西岡:私は人にすごく情が移りやすいタイプなんです。(個人戦では)チーム内でライバルになってしまうので、そこに甘い考えとか情が出てきてしまうと、私はすごく弱いので。それを出さないために、なるべくチームのメンバーと一緒にいないようにして、冷たい人間を演じていました(苦笑)。

藤木:でも、いざ対決するときに、いろいろな思いを吹っ切って戦うためには必要なことなのかもしれませんね。

西岡:後輩たちが大好きですし、いい子ばかりなので。だからこそ“その子たちを蹴落としていく”っていう覚悟を持ってやらないと。それは、私にはすごくつらいことだったけど、徹底してやりました。でもそのおかげで、メンタルがすごく強くなりました。

リオ大会の初戦で当たった韓国の選手が、アジアでトップの選手だったんです。それまで1度も勝ったことがない相手だったんですけど、試合で向かい合って相手の目を見た瞬間、“私、この人よりメンタルが落ち着いているな”って感じることができて。“この人はすごく緊張しているけど、私は大丈夫だ”って、なぜかわかっちゃったんですよ。

藤木:それは4年間の成長ですよね。

西岡:はい。ある程度、戦術とかも決めて、コーチとも話し合って試合に臨んだんですけど、(試合中の)1分間の休憩のときに“この戦術じゃダメだ”と思って。いままで絶対にしてこなかったんですけど、「真逆の戦術で私はいきます」とコーチに言ったら、「いいよ」と言ってくださったので、1発“ビンタ”をもらって、勝ちにいきました。

藤木:えっ!? これ、オンエアして大丈夫ですか(笑)?

西岡:大丈夫です、私が欲したので(笑)。

藤木:その場で、いままで取り組んでいたことを捨てて、スタイルを変えるってすごく勇気がいることですよね。

西岡:すごく勇気がいりましたが、そのときの私には、まったく迷いはなくて。それくらいメンタルも強くなったんだなと実感しました。

藤木:東京オリンピックは1年延期になってしまいました。1年後の東京オリンピックに向けての決意を聞かせてください。

西岡:6月から新しい所属先に入りまして、東京オリンピックに向けてもう少しフェンシングの普及活動を増やしていけたらなというのが、いまの目標です。もちろん、“オリンピックに向けて頑張ること”が第一なんですけど、それを含めて、1年延期された時間を、いかに有効に使えるかが選手に求められてくるところだと思うので、“私にできることは何か”というのを日々考えながら過ごしています。

次回7月4日(土)の放送は、元ソフトボール日本代表監督 宇津木妙子さんをゲストに迎え、お届けします。どうぞお楽しみに!

<番組概要>
番組名:TOYOTA Athlete Beat
放送日時:毎週土曜 10:00~10:50
パーソナリティ:藤木直人、高見侑里
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/beat/