ソニーの完全ワイヤレスイヤホンに新顔「WF-XB700」が加わりました。EXTRA BASSシリーズ初の完全ワイヤレスとして投入されたWF-XB700(以下、XB700)は、税別15,000円前後と手ごろな価格帯で、気軽に使えてとても楽しく音楽を聴けるイヤホンです。今回はこれを実際に試聴してみたいと思います。

  • 迫力の重低音が楽しい完全ワイヤレス! ソニー「WF-XB700」レビュー

    ソニー「WF-XB700」

  • ロゴの主張は控えめ

  • ノズルにはフィルターがありません

  • 本体下部に操作ボタンがあります

  • もちろんケースの充電端子はType-C

今回お借りしたのはXB700のブラック。ハウジングの表面はざらっとした風合いで、ブラックではロゴも黒塗りになっているので、光が当たらない限り主張は弱め。カラーバリエーションとしてブルーも用意されています。バッテリーを内蔵し、連続再生時間は本体のみで最大9時間、充電ケースと組み合わせて計18時間使用できるそう。フル充電にして通勤や外出などで使っていると、次に充電が必要になるまでだいたい1週間くらい保つ印象でした。

  • 装着したところ

個人的には付属するMサイズのイヤーピースを使って装着するとかなり密閉性が高く、周囲の音はノイズキャンセリング機能がなくてもさほど大きくは聞こえません。本体の側面下部に操作ボタンを備え、ペアリング時はこれを長押しして、スマートフォンなどとBluetoothで接続します。右側のボタンで再生停止や曲送り、Siriなどの呼び出しができ、左側のボタンで音量が調整できて便利です。

BluetoothのオーディオコーデックはSBCとAACをサポート。上位モデルのWF-1000XM3やWF-H800と同じ左右同時伝送方式を採用し、左右それぞれがデバイスと接続することで音が途切れにくくなっているほか、再生遅延も抑えられています。通勤の他にもあちこち出歩くときに使用しましたが、電車や駅でも音が途切れるようなことはなく安心して使うことができました。

  • iPhone XSのApple Musicで使いました

音の印象はどうでしょう。今回はiPhone XSとXB700を組み合わせて音楽を聴いてみました。Apple Musicの音楽を再生したところ、いつものイヤホンとは段違いにボリューミーな低音にびっくり。Daft Punk「Get Lucky(feat. Pharrell Williams & Nile Rodgers) 」では十分な低音が音楽を支えて広々とした音の空間が体験でき、Maroon5「Lucky Strike」ではアタックのスピード感も十分です。

XB700の堂々とした低音は、ともすれば多少ボワついているように感じることもありますが、締まりがないというわけでもなく、ボーカルは十分に分離。高音も耳に刺さらないところでしっかりキラキラと聴こえており、骨太なサウンド全開で楽しめます。初めは驚かされた低音も、慣れもあるのか心地よく感じられるようになりました。

昨今のワイヤレスイヤホンのトレンドであるノイズキャンセリング機能や、圧縮音源をハイレゾ相当にアップコンバートして聞けるDSEE HXは備えていませんが、その分手ごろな1万円台のラインナップとして投入されたXB700は、とても魅力的に感じました。

  • 12歳年長のMDR-XB700(右)とWF-XB700(左)を並べてみた

WF-XB700の音を、デジタル編集(RS)も聴いてみた!

さて、ここまで「WF-XB700」について、タイヤのように黒くて分厚く大きなイヤークッションが特徴的なソニーXB(EXTRA BASS)シリーズの「MDR-XB700」を愛用中の編集・原より、ファーストインプレッションをお届けしました。

その様子を傍目に見ていたワタクシこと編集・RSも、同シリーズ初の完全ワイヤレスイヤホン「WF-XB700」に興味津々。というわけで、ポータブルオーディオの新情報を日々チェックしている新しいイヤホン好きの筆者(編集・RS)も、続けてWF-XB700を試してみました。

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    WF-XB700のケースを開けたところ

まず、パッと見て面白いのがケースの形状。多くの完全ワイヤレスイヤホンは、イヤホンをケースに対してまっすぐ引っ張り出すようデザインされていますが、XB700はフラップを跳ね上げるとケース自体に傾斜がつけられており、テーブルにポンと置いた状態でも左右のイヤホンをスッと取り出しやすくなっています。

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    ケースは傾斜がつけられており、テーブルにケースを置いたままイヤホンを取り出しやすくなっている

フラップはくもりガラスのような半透明のパーツが使われ、イヤホン・ケースのLEDの発光色が透けて見えるので、充電状況をかんたんにチェック可能。こういったデザインのこだわりから、快適に音楽を楽しませるための工夫が為されているように感じられます。

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    フラップはくもりガラスのような半透明のパーツを使用。ケースのLEDが赤く発光し、充電中であることがひと目で分かる。充電が終わると消灯する

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    ケースの反対側から見ると、中のイヤホンのLEDが赤く光って充電中であることを知らせてくれる。こちらもフル充電になると消える

イヤホン本体のフォルムは2月に発売されたh.earシリーズの完全ワイヤレス「WF-H800」と似ていますが、コロッと丸くて万人受けしそうなデザインのH800と違って、XB700は耳の当たる箇所が流線型でシュッとしており、若者ウケが良さそう。耳の中の3点で支える「エルゴノミック・トライホールド・ストラクチャー」により、適当にはめてもきちんと耳にフィットしました。耳穴のイヤーピースでイヤホン本体を支えるタイプと違い、安定感はバツグンです。ただ、耳の小さな女性にはサイズが少々大きく感じられるかもしれません。

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    左チャンネルのイヤホン本体を裏返してよく見ると、操作ボタンのそばに小さなでっぱりがあり、暗がりでも指で触れるだけで左右を判別できる

XB700をiPhone SE(第2世代)とペアリングして、Amazon Music HDの音楽を流してみます。Zeddの「Addicted to A Memory (feat. Bahari)」や、ダフト・パンク「Doin' It Right」を聴くと、上位モデルのWF-1000XM3(6mm径)よりも大きな12mm径ドライバーから、頭蓋骨を揺さぶるかのような重厚なサウンドと力強いボーカルが張りだしてきて、気持ちが一気にヒートアップ。格好良いダンスサウンドが人気のPerfume「edge(⊿-mix)」を初めてXB700で聴いたときには、興奮して思わず「おおっ」と声が漏れるほど心を動かされました。

XB700の最大のウリは、XBシリーズならではの迫力ある重低音をこの小ささで実現していることですが、濃密なサウンドでゴリゴリのベースラインを主張してくるだけでなく、ボーカルも聴く前の想像よりクリアに感じられて驚きました。

ソニーのHeadphones Connectアプリには対応していないので、音質などを自分好みにカスタマイズしたいときはスマホやプレーヤーアプリのイコライザーを使うことになりますが、そのままの音質でも十分に迫力があって好印象。打ち込みメインでアップテンポな楽曲や、特にEDMが好きな人にはXB700は間違いなくオススメです。

しばらくXB700を聴いてから、筆者が好んで使っているNoble Audioの完全ワイヤレス「FALCON」に戻ると、こちらはモニターライクでどんなジャンルもそつなく鳴らすクリアなサウンドで、別の気持ちよさを連れてきてくれます。メーカーも音作りの方向性も違うので単純に比較することはできませんが、ドナルド・フェイゲンの「I.G.Y.」を聞き比べると、XB700は曲のベースラインをしっかり鳴らしてリズムよく聴かせてくれ、一方FALCONではシンセイザーのメロディとソウルフルなコーラスの重なりを精緻に描いてみせます。どちらの音にも大きな魅力がありますが、散歩やランニングに持ち出すなら、ぜひXB700を選びたいところ。

なお、ソニーではWF-XB700を含めて、対象の完全ワイヤレスイヤホンを購入して応募した全員にもれなく最大10,000円をキャッシュバックする「音ロトチャレンジキャンペーン」を7月27日まで実施中。応募期間は8月17日10時までとなっています。運が良ければソニーの最新完全ワイヤレスを手ごろな価格で購入できる機会なので、スマホを握りしめて10,000円キャッシュバックが当たる幸運を祈りつつ、“音ロト”にチャレンジしてみるのも良さそうです。