家族がギスギスしないで「テレワーク」を成功させる秘訣とは?

新型コロナウイルス感染症。いったんは流行を抑え込んだかにみえても、いつ第二波、第三波に襲われるか分かりません。それを警戒しつつ、「ウィズ・コロナ」の「新たな日常」を確立する必要がありますが、中でも大きな変化がテレワークの定着であり、それを成功させるには、家族全員の協力が必要となっているようです。

9割近くの人がテレワークの継続を希望している

緊急事態宣言は解除されたとはいえ、いつ第二波、第三波に襲われるか分かりませんから、通勤やオフィスの“密”を避けるためにも、多くの企業が今後もテレワークを継続していきたいとしています。

働く人たちも、実際にテレワークを体験してみて、そのメリットを評価、今後もテレワークを続けたいとする人が多くなっています。図表1にあるように、積水ハウス住生活研究所の調査でも、9割近い人が「今後も在宅勤務を行いたい」としているほどです。

在宅勤務のストレスは女性に重くのしかかっている

しかし、急速にテレワークが増加したため、思わぬ問題も発生しています。日本の住まいの多くは、基本的にテレワークを前提としていませんから、ワークスペースの確保が難しく、狭い住まいの中で家族関係がギクシャクして、家庭内暴力や児童虐待、果てはコロナ離婚などの問題が指摘されるようになっているのは周知の通りです。

その原因のひとつとして、テレワークの増加によるストレスが家族に均等にかかるのではなく、不均等になっているため、家庭内に軋轢が生じているのではないかという見方もあります。

実際、積水ハウス住生活研究所の調査では、図表2にあるように、在宅勤務増加によって、「非常にストレスが増えた」「どちらかといえばストレスが増えた」の合計は全体では60.7%ですが、男性は51.4%で、女性は70.0%と女性への負荷が大きくなっています。これがすべての根源というわけではないでしょうが、この夫婦間の不均衡を解消することが、テレワークを順調に進めるための重要な課題になっているのかもしれません。

在宅勤務を成功させるコツとしての5つのTIPS(コツ)

そこで、積水ハウス住生活研究所では、在宅勤務を成功させるコツとして、次の5点を提唱しています。

1.女性の家事の負担を減らすキーワード「共存と両立」
2.自宅を手軽にオフィス化する空間アイデア
3.外出が自由にできないストレスを軽減する「グリーン」
4.「自分のスペース」を作る、世界で一番シンプルな方法
5.子どものおうち学習対策に、「複数学び場」のある家

積水ハウス住生活研究所の調査によると、テレワークによって「家事負担が増えた」とする割合は男性が1割強であるのに対して、女性は4割近くに達しています。そのため、5つのコツのトップに女性の家事負担を減らすことが上がっています。

家事を楽しむぐらいの”ゆとり”が欠かせない

具体的には、「家事は義務」と感じるのではなく、「家事は仕事や勉強の気分転換、リフレッシュ」と考え、家族全員で楽しく取り組むことを意識し、頑張りすぎないためにも食洗器、掃除ロボットなどを活用しての「ながら家事」を提唱しています。

第2の自宅をオフィス化するアイデアとしては、家具をうまく活用して仕事のための「コーナーをつくる」ことを勧めています。本棚などで仕切りをつくれば、同じ空間にいてもお互いに集中しやすい環境を整えることができます。あるいは、ダイニングテーブルを移動させて、LDKのDの独立性を高めて、仕事や勉強のスペースとする方法もあります。言ってみれば、「L・DK」から「D・LK」への機能の見直しということです。

さらに、積水ハウス住生活研究所では、「お片づけボックス」の設置を提案しています。ダイニングテーブルを仕事や勉強などに使う場合、食事時間になったときには、PCや資料などを収納できるようにしておけば、休憩、業務終了などのメリハリをつけやすくなるのではないでしょうか。

家の中で屋外気分を味わえる「グリーン」の演出

緊急事態宣言が解除されても、すぐにどこにでも気軽に出かけることができるわけではありません。まだまだ警戒が必要ですし、心理的にも積極的に外出しようという気分にはなりにくいかもしれません。

自由に外出できないと、どうしてもストレスが蓄積されていきますが、そこで大切なのが、第3のコツである屋外気分を演出するための「グリーン」です。

実際、緊急事態宣言下では各地のホームセンターが盛況で、プランターなどで植物を育てる人が増えたといわれますが、初心者では育成に失敗することが少なくありません。そのため、積水ハウス住生活研究所では、樹木や岩石の上で育ち、手がかからない「エアプランツ」などの観葉植物から入る手もあるとしています。

実際にグリーンを育てるのがたいへんという人には、室内にフェイクのグリーンを飾ったり、ベランダやバルコニーに人工芝を敷くのもいいかもしれません。

住まいの中に自分の「居場所」を見つける

第4のコツが、「自分のスペース」を作ることです。会社が生活の中心であれば、住まいの中の自分の「居場所」はさほど重要ではないかもしれませんが、在宅時間が長くなると、自分の「居場所」がないとストレスが溜まるものです。

とはいえ、限られたスペースに自分の「居場所」などとても確保できないと思いがちですが、そんなことはありません。たとえば、自分だけの専用の椅子をリビングに置くことで、自分のスペースとして意識できるようになります。そこを、読書や趣味などの場所とすれば、ストレス解消につながるのではないでしょうか。

子どものおうち学習対策に「複数学び場」

第5のコツは、子どもの学習の場の確保です。子どものいる家庭だと、まだまだ分散登校が続いているでしょうし、いつまた休校という事態に逆戻りするかしれません。そんなとき、子どもたちはどうしてもストレスを溜めることになりますが、勉強する場所を1ヶ所に固定せず、複数用意してあげたり、座って勉強するだけではなく、たまには立って勉強するような場所も準備すれば、退屈せずに学習に取り組めるかもしれません。

これは、大人のテレワークにも当てはまることです。同じ場所で在宅ワークを続けていると、集中しすぎて疲れてしまうことが多いのですが、場所や姿勢を変えて気分転換すれば、新たな気持ちで仕事に取り組めるようになります。

テレワークの増加は、何もしないでいると、家族感の軋轢などを大きくしてしまう可能性がありますが、ちょっとした工夫によって、それを抑制することができます。いずれもそれほど手間ヒマやお金をかけないで実現できる方法ばかりです。ぜひ一度試してみてはどうでしょうか。

執筆者:山下 和之