政府、ネット広告規制で相場下落か?!  加藤公一レオ氏「効果のない媒体の排除も」

首相官邸が主導するデジタル市場競争会議(菅義偉議長)は6月16日、ネット広告の透明性や公正性の確保を目的とした規制の導入について、中間報告を公表した。「広告の入札価格の適正性の見える化」ができる仕組みを導入することや、「第三者による広告の効果測定の受け入れ」を広告の配信者に迫ることなどを、検討の方向性として示している。ネット広告に詳しい専門家は、「実現すれば、広告主は、広告コストを抑えられるようになり、獲得効率の改善が期待できる」と話している。
 
政府が公表したのは「デジタル広告市場の競争評価中間報告(案)」。
 
「広告の入札価格の見える化」を図る狙いについて中間報告では、これまで、運用型広告の入札金額について、プラットフォーマーが、PV数やクリック数を水増しして報告した事例があったことを指摘。広告費が不正に吊り上げられていた問題が背景にあると説明している。
 
広告価格が適正であることが、入札時点で広告主に分かるような仕組みの導入を検討するとしている。
 
広告の効果測定について、第三者による測定手段を、広告の配信者に受け入れさせることなども検討するとしている。これまでは、ネット広告が、どのサイトに何日間表示されたか、などについて、広告の配信者のレポートに頼る部分が大きかったという。
 
中間報告では今後、広告を配信するプラットフォーマーに、広告の効果測定に関するオープンAPIとの接続を導入させることなどを検討するとしている。
 
中間報告には、グーグルのいわゆる「健康アップデート」への言及とみられる部分もある。検索エンジンによる、検索アルゴリズムの変更で、検索順位が下がることが、サイト運営者に過度な負担を強いている可能性があると指摘している。
 
検索アルゴリズムの変更について配信者側に、主要な検索パラメータを開示させることや、アルゴリズム変更の際に、変更理由などを事前報告させることなどを検討するとしている。
 
ネット広告の規制の具体的な内容については、同会議で今後、検討を続ける。
 
ネット広告関連の多様な事業者からヒアリングを行い、法規制を設けるべきか、事業者が自主基準を設ける形にすべきかなどを議論するとしている。
 
ネット広告の規制の方向性についてのとりまとめは、今冬に行う予定だとしている。


【専門家は語る】〈売れるネット広告社 加藤公一レオ社長〉



効果のない媒体の排除も ネット広告の運用に詳しい、売れるネット広告社の加藤公一レオ社長は、「政府の方針が仕組みとして実現されれば、ネット広告の相場が下がる可能性がある。広告効果の低い媒体が排除される可能性もある」と話している。

大手広告配信プラットフォーマーが入札単価のつり上げを行わないように仕組みを設けることで、広告相場は全体的に下がると考えられる。広告主のEC企業にとっては、広告コストを抑えることができ、広告効果の改善につながることが期待される。

一方で、広告の配信ロジックや入札金額に関する仕組みをどこまで開示するかが、現段階では不明瞭。どこまでコストを抑えられるのか、政府の動向を注視する必要がある。

広告主にとっては広告を安く配信できる上、配信先も明確になることは、大きなメリットだ。ただ、媒体社にとっては、単価が上がる媒体と下がる媒体が出てくる。採算が合わない媒体は排除される可能性がある。

採算の合わないアドネットワークから脱退し、純広告の出稿にシフトする企業も多くなるのではないか。