車種別・最新情報[2020.06.25 UP]


日産10年ぶりの新型車キックスは、e-POWERのみで勝負するコンパクトSUV

日産 キックス日産 キックス

文●工藤貴宏 写真●日産

 6月24日、日産は同社にとって軽自動車以外ではひさびさとなる新型車を発表した。軽自動車は昨年春に「デイズ」、そして今年春には「ルークス」とフルモデルチェンジした新型が登場したが、日本国内向けの登録車の新型車は2017年9月に2代目へモデルチェンジリーフ以来3年弱ぶり。発表会に登壇した日産自動車副社長の星野朝子氏によると「10年ぶりのブランニューモデル」だ。復活に向けて動き出している日産にとっては、大きな期待がかかった1台と言えるだろう。

 その名は「キックス」。そんな響きを聴けば、クルマに詳しい人の中には、かつて2008年から2012年にかけて軽自動車として販売していたSUV(三菱パジェロミニのOEMモデル)を思い出すかもしれない。しかし、まず明らかにしておきたいのは、このモデルとの直接の関係はないこと。まず、車名はかつてのキックスの英文字綴りが「KIX」だったが、今回発売されたモデルは「KICKS」となっている。それに今回の新型車は軽自動車ではない。

 いっぽうで、似ている部分もある。それはいずれもコンパクトボディのSUVだということ。そう、ニューカマーのキックスはコンパクトボディのクロスオーバーSUVなのだ。

 日本国内の日産車のラインナップでいえば、もっともコンパクトなSUVがジューク。そしてミドルサイズとしてエクストレイルが存在するが、キックスはちょうどその中間となる。とはいえ、全長は4290mmなのでジュークに近い。全長はジュークより155mm長く、エクストレイルよりは400mm短いといえば、そのサイズ感がイメージできるだろう。ジュークにかなり近いのだ。

 いま、日本でもSUVの販売台数が増えていて、その中心となっているのが「BセグメントSUV」と呼ばれるコンパクトボディ。まさに売れ筋ジャンルへの新型車の投入なのだ。ライバルとして、トヨタC-HRやホンダ・ヴェゼル、そしてマツダCX-3&CX-30たちと戦っていくことになる。


日本デビューに際して大幅に改良を実施

プレゼンテーションを行った日産自動車の星野執行役副社長プレゼンテーションを行った日産自動車の星野執行役副社長

 そんな新型キックスの発表会は、新型インフルエンザ拡大防止からインターネット中継によるオンラインでおこなわれた。日産自動車本社ギャラリーをメイン拠点に、デザインスタジオからデザイナーが、開発研究施設からは開発責任者が参加する三次元中継で進められ、途中には元レーシングドライバーで現在は日産のモータースポーツ部門「NISMO」のアンバサダーを務めるミハエル・クルム氏のインプレッションを挟むなど、通常の発表会とは異なる流れで進行。キックスの魅力を伝えた。

 そんなキックスの特徴はまず、大幅にリフレッシュしたデザインだ。実はキックス自体は2016年から海外で展開されているモデルだが、日本デビューに際して大掛かりな商品改良がおこなわれ顔つきを刷新している。
 「なんといっても若々しく躍動的でありながらも、ひとクラス上のクルマを所有する喜びを感じてもらえるようにプレミアムな内外装にデザインした」とデザイン責任者の入江慎一郎氏は説明。

 「最大の魅力はフロントマスク。ふたつのテーマで取り組んだ。ひとつは若々しいダイナミックさ。ふたつめはe-POWER(イーパワー)にふさわしい先進さの表現」と続けた。さらに「手の込んだグリルのパターンは日本の伝統工芸である組み木からインスパイア。日本の風景に溶け込むデザイン」という。

 ボディサイズ的にはジュークと近いが、パッケージングは大きく異なる。前席優先で後席や荷室が広くないジュークに対し、キックスは後席も荷室も広い。ニールーム(後席背もたれから前席背もたれ後部までの間隔)600mmの後席はクラストップレベル、容量423mmの荷室はクラストップの実力でライバルを脅かす。


ダッシュボードはステッチ入りのレザー調仕上げで高品質な雰囲気。Dカット型が印象的なステアリングも本革仕上げダッシュボードはステッチ入りのレザー調仕上げで高品質な雰囲気。Dカット型が印象的なステアリングも本革仕上げ


シート形状にこだわり座り心地を高めた「ゼログラビティシート」を採用シート形状にこだわり座り心地を高めた「ゼログラビティシート」を採用


ジュークよりも広いラゲッジルーム。大型スーツケースは2つ、9インチのゴルフバッグ3つを積載可能ジュークよりも広いラゲッジルーム。大型スーツケースは2つ、9インチのゴルフバッグ3つを積載可能


パワートレインは発電用エンジンを搭載しモーターで駆動する「e-POWER」のみ

ノート用のシステムに比べて性能を高めた「e-POWER」を搭載。最高出力は129馬力ノート用のシステムに比べて性能を高めた「e-POWER」を搭載。最高出力は129馬力

 いっぽう、メカニズムのハイライトはパワートレインをe-POWERだけに絞ったことである。ハイブリッドの一種であり、日産独自の呼び名となるe-POWERは、排気量1.2Lのエンジンの役目を発電専用とし、駆動力はモーターで生み出すのが特徴だ。e-POWERはこれまでノートやセレナに搭載されて好評だが、ノート用のシステムに比べるとモーター最高出力は129馬力と2割ほどアップされている。メリットは市街地における燃費の良さと、爽快な加速フィーリングだ。 「モーター駆動ならではの力強いレスポンス、力強い加速、滑らかさ、静粛性。電気自動車同様の楽しい走りを提供します」と開発責任者(チーフ・ビークル・エンジニア)の山本陽一氏。 もちろんシステム制御自体も進化しており、山本氏によると、「エンジンの作動頻度を下げて、なるべくバッテリーで走れる時間を長くした。低速ではなるべくエンジンをかけない」というからノートやセレナで好評の静粛性もこれまで以上に期待できる。


日本で販売されるキックスは、先進安全装備が充実している

日本市場向けに、プロパイロットやエマージェンシーブレーキ、踏み間違い防止アシストといった先進安全装備を充実させた日本市場向けに、プロパイロットやエマージェンシーブレーキ、踏み間違い防止アシストといった先進安全装備を充実させた

 ところで新型キックスは先行してタイでデビューしている。しかし日本仕様はさらに仕様が先進的になっているのが見逃せない。それは先進安全システムの搭載で、マーケティング担当の小木曽宏之氏は「プロパイロット、エマージェンシーブレーキ、そして踏み間違い防止アシスト。これは日本市場向けの特徴」と説明した。

 バリエーションは2グレード。標準タイプの「X」が275万9900円(シート表皮は合皮/織物のコンビ)で、シート表皮をフル合皮としで鮮やかなオレンジタンのインテリアを組み合わせた上級仕様の「Xツートーンインテリアエディション」は286万9900円だ。発売は6月30日からとなる。


日産 キックス X ツートーン インテリアエディション(CVT)データ


■全長×全幅×全高:4290×1760×1610mm
■ホイールベース:2620mm
■トレッド前/後:1520/1535mm
■車両重量:1350kg
■エンジン:直3DOHC
■総排気量:1198cc
■最高出力:129ps/4000-8992rpm
■最大トルク:26.5kgm/500-3008rpm
■サスペンション前/後:ストラット/トーションビーム
■ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク
■タイヤ前後:205/55R17



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ボディタイプ:SUV・クロカン新車