機動性の高さと撮影性能の高さを兼ね備えていることで根強いファンを持つ、オリンパスのマイクロフォーサーズ機「OM-D」。2月に登場したシリーズの最新フラッグシップモデル「OM-D E-M1 Mark III」を落合カメラマンにレビューしてもらいました。落合カメラマンがカメラの性能以上に評価していることとは?

  • オリンパスが2月に販売を開始した高性能ミラーレス「OM-D E-M1 Mark III」

    オリンパスが2月に販売を開始した高性能ミラーレス「OM-D E-M1 Mark III」。実売価格は、ボディ単体モデルが税込み210,000円前後(+ポイント10%)、12-40mm F2.8 PROキットが税込み270,000円前後(同)

オリンパス「OM-D E-M1 Mark III」をひとしきり使った後、ワタシは無意識のうちに小声でつぶやいていた。

「よし、これならイケる。大丈夫だ」

E-M1 Mark IIを2台所有してきた男の率直な第一印象である。ユーザー目線での判断だと思ってもらっていい。

ん? イケ(て)るって、一体ナニが? 

E-M1 Mark IIをすでに所有しているのであれば、家人に内緒で買い足しや買い替えを行ってもバレそうにないところが超~イケてるんである。遠くからのパッと見がソックリだから、ボディ正面、右下部分のネームバッチを黒テープで覆ってしまえば、安心度はさらに倍っ! 時節柄、ただでさえピリピリしている家庭内での無用なトラブルは極力、避けねばなりません。まずは、そこんところが非常にタイムリーでよくできてるってぇハナシなのです(笑)。

イマドキのカメラに欠かせない装備を追加

中身の進化は明確だ。いや、外観だってホントは操作系を中心にけっこう違っているのが現実。そして、それらの変化は、E-M1 Mark IIオーナーの気持ちをピンポイントで刺激してくる、文字通りの“的を射るブラッシュアップ”だったりするのが困りもの。家庭内の危機を予見してもなお、絶対に買い足し or 買い替えに踏み切りたくなる“違い”が確かに存在していたのだぁぁぁぁ嗚呼…。

何はともあれ、欲しかったものがカタチになっているってのが嬉しくもヤバい。たとえばマルチコントローラー。これ、測距点をダイレクトに移動できるグリグリのことなのだけど、グリグリを装備するカメラがグンと増え、実際それらを使う機会が激増していた最近は「E-M1でもグリグリしたいよなぁ~」という思いが強くなっていたところだった。

測距点移動は、Mark IIまでは4方向キーで行っていて、まぁそれでも大して困っちゃいなかったのだけど、グリグリによる操作は何よりダイレクト感が違うし、Mark IIIのそれは斜め方向の移動にもストレスを感じさせない調教具合がとてもイイ感じ。ワタシのMark IIにもファームアップで生やしてもらいたいぐらいなのだ(ムリ)。

それともうひとつ、USB充電に対応したのも痛い…いや、羨ましさ大爆発である。そもそも燃費があまりよろしくないE-M1であるがゆえ、クルマでの移動時などに手軽に追加充電できる機能はあって損はない。っていうか、撮影時の安心感を担保するためにも、是非ともあって欲しい機能であると考えていた。

とはいいつつ、そもそも専用充電器はカメラバッグに常備しており、またクルマでもインバーター経由のAC100Vは得られるようにしている。つまり、ボディにUSB充電機能がなくてもなんとかなってはいた(なんとかしていたというべきか)。でも、バッグから充電器を出し、AC電源につないで、カメラからバッテリーを取り出し、そのバッテリーを充電器にセットして…という作業は意外に手間を食うし車内もちらかる。それよりも、スマホその他の充電用として常時、引っ張り出されたままになっているUSB-Cケーブルをプチッとつなぐだけで追加充電できる作業性の高さを優先したいっ!というワケ。

思い起こせば、充電器ってヤツぁガラケーを機種変するたび、あるいはパナソニックのデジカメを買い足すたびに際限なく増えやがっていた。その数に押しつぶされそうになっていたツラい過去を知る身には日常、使っている機器の充電環境を相当なところまで共用できるようになっている現代は幸せの絶頂にあるとさえ感じている。そして、その恩恵を愛用のカメラにも適用したいとの思いが強い。たかがUSB充電ではあるけれど、Mark IIIでそれが可能になったことは、個人的にはとてつもなくデカい変化なのだ。ホント、それだけで買い替えたくなってしまうぐらいに。

  • 鳩。グリグリのおかげで測距点移動がより素早く行えるようになったのが嬉しい。レリーズ時の感触や音もより上質なものになっている(M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO使用、ISO200、1/100秒、F5.6)

  • ハト。AEブラケット時にナゾの連写速度低下を見せることもなくなっている。地味にけっこう気になっていたポイントなので嬉しい(M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO使用、ISO200、1/250秒、F5.6)

  • E-M1シリーズにベストマッチなレンズは、これまでと変わらずM.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mmF4.0 IS PROであると断言させていただく。高倍率ズームとは思えぬ描写力と高い利便性のコラボレーションは最強だ。E-M1 Mark IIIの手ぶれ補正の効果を最大限に引き出せるのもこのレンズだしね(M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO使用、ISO640、1/125秒、F5.6、+0.3補正)