ヒューリック杯棋聖戦の挑決では藤井聡太七段が勝利。大舞台で早くも2度目の対決!

木村一基王位への挑戦権を懸けた、第61期王位戦挑戦者決定戦が6月23日に東京・将棋会館で行われます。対局者は、紅組を5連勝で優勝した永瀬拓矢二冠と、白組をこちらも5連勝で優勝の藤井聡太七段です。

 

【王位リーグでの戦い】

紅組の永瀬二冠はリーグからの参加。鈴木大介九段、豊島将之竜王・名人、佐々木大地五段、佐藤秀司七段、本田奎五段を順に破りました。2連勝者同士の対決となった佐々木五段戦は、持将棋の指し直しに。2局合わせた総手数374手、終局時刻0時23分の大激戦を制して優勝に大きく近づくと、残り2戦も連勝。文句なしの全勝優勝となりました。

白組の藤井七段は、4連勝で予選を通過して初のリーグ入りを果たすと、羽生善治九段、上村亘五段、稲葉陽八段、菅井竜也八段、阿部健治郎七段を破っての優勝。ともに3連勝で迎えた菅井八段戦は、鋭い端攻めを決めて勝利。最低でもプレーオフ進出を決めてから臨んだ最終戦の阿部七段戦も制して、初参加の王位リーグでいきなり全勝優勝という快挙を達成しました。

 

【2度目の挑決での激突】

永瀬二冠と藤井七段の公式戦での対局は過去に1局のみ。その将棋は今月の4日に行われたヒューリック杯棋聖戦の挑戦者決定戦です。振り駒で先手番となった永瀬二冠は相掛かりを選択。途中まで藤井七段の実戦例をなぞる進行から、永瀬二冠が新手を繰り出しました。この新構想がうまくいき、中盤は永瀬二冠がリードしました。

しかし、藤井七段の妙手△3六銀で流れが一変。この手への応手を永瀬二冠が間違えてしまい、形勢がぐっと縮まりました。局後に永瀬二冠は、△3六銀は読んでいた手ではなく、思いつかない類の手だったと振り返っています。

その後全くの互角で進行していた将棋でしたが、時間切迫の影響か、最後の最後で永瀬二冠に失着が出てしまいました。永瀬陣に飛車打ちの隙が一瞬生じてしまったのです。もちろん、藤井七段はその隙を逃すわけがありませんでした。飛車を打ち込み、永瀬玉をあっという間に寄せ形にしてしまいました。永瀬二冠は馬をタダで捨てる懸命な頑張りを見せましたが、藤井七段はしっかりと永瀬玉を詰まし上げて勝利を収めました。

この勝利で藤井七段はタイトル挑戦の最年少記録を更新。さらに渡辺明棋聖との五番勝負第1局を制して、最年少タイトル獲得まであと2勝と迫っています。

その対決からわずか3週間ほどで再び挑決の舞台で相まみえる両者。永瀬二冠が今度は意地を見せて、自身初の三冠獲得へ前進するのか。それとも藤井七段が2つ目のタイトル挑戦を決めるのか。将棋界屈指の好カードに注目です。

 

【VSを行う間柄の両者】

永瀬二冠と藤井七段はVSと呼ばれる練習対局を行っている間柄です。常識的に考えれば、2つのタイトルを持つ永瀬二冠が藤井七段に胸を貸すという関係を想像しますが、実際はそうではないようです。将棋世界2020年1月号(発行:日本将棋連盟)のインタビューによると、永瀬二冠は対藤井七段成績が、勝ち越すどころか5分もないとのこと。

また、そのインタビューで永瀬二冠は「藤井聡太さんのライバルとしてやっていくためには、もっともっとレベルを上げなくてはならない。レベルをあと4つ上げればなんとかなると思うけど、最低でも3つは上げないといけない。(中略)3つ上げなければ勝負にならないという気持ちはあります。」という衝撃的な発言をしています。

自らを厳しく律して追い込む姿から「軍曹」と呼ばれていた永瀬二冠。有言実行で本当に今後さらにレベルを上げてくるでしょう。もちろん藤井七段も同様です。すでに2つも大勝負を戦う両者ですが、これからもハイレベルな内容・舞台でのライバル対決が続いていくはずです。

今後将棋界を引っ張っていくであろう両者
今後将棋界を引っ張っていくであろう両者