戸田恵梨香さん

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、各局では過去の人気ドラマの特別編が放送されている。そのなかで注目を集めているのが、女優の戸田恵梨香さんだ。「野ブタ。をプロデュース」(日本テレビ系)、“月9”ドラマ「鍵のかかった部屋」(フジテレビ系)、「大恋愛~僕を忘れる君と」(TBS系)、「SPEC」(同局系)と戸田さんが出演したドラマが次々と再放送。視聴者からは、「戸田恵梨香祭り」「戸田恵梨香最強説」などの声が上がっている。そんな戸田さんの魅力に迫ってみたい。

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 2005年10月に放送され、社会現象を巻き起こした土曜ドラマ「野ブタ。をプロデュース」。戸田さん(当時17歳)は、「KAT-TUN」の亀梨和也さん、山下智久さん、堀北真希さんの同級生で学校のマドンナ的存在の上原まりこ役を演じた。今回の放送で、まだあどけなさが残る戸田さんの制服姿には、「かわいすぎ」「戸田恵梨香の破壊力やばいw」などのコメントが並び、注目を集めた。

 2010年の「SPEC」で、戸田さん(当時22歳)はIQ201の変人女刑事・当麻紗綾を演じた。常に左腕を三角巾でつるしたスタイルの、エキセントリックな役柄を演じ、新境地を開拓。後に映画も公開されるなど人気シリーズとなった。

 “月9”ドラマ「鍵のかかった部屋」(2012年)では、新人弁護士・青砥純子を演じた戸田さん(当時23歳)。主演を務めた人気グループ「嵐」の大野智さん演じる鍵マニアの主人公たちと、密室事件を解決していくミステリーで、戸田さんが演じた、純粋で前向きながら、ちょっと天然な純子の姿は人気を博した。

 戸田さん(当時30歳)演じる若年性アルツハイマーを患うも前向きに生きる医師・北澤尚の生きざまが感動を呼んだ「大恋愛」(2018年)。難しい役どころながらも、繊細な演技を披露。視聴者からは「戸田恵梨香という役者のすごさを再認識した」などといった称賛の声が上がるなど、演技力の高さを見せた。共演のムロツヨシさんとのイチャイチャシーンも話題を集めた。

 これまでの出演作品が“名作”として次々と再放送されることについて、視聴者からは「4本も再放送されるとか名作を作り出す最強な役者でしかない」「良い作品、話題になった作品に関わっていてどれも印象に残ってる演技の素晴らしさ」などの声も上がっている。

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 10代、20代、30代と、どの年齢で演じた役も個性的で、作品によって見せる顔がまったく異なる戸田さん。なおかつ、どのキャラクターも印象的だ。どうしてここまで多彩な役どころを演じられるのか。

 当然ながら卓越した演技力は要因の一つだろう。戸田さんが子役時代に出演したNHK連続テレビ小説「オードリー」(2000年放送)や、「大恋愛」の脚本を手がけた大石静さんは、「大恋愛」の会見時、戸田さんについて「圧倒的にうまい女優。けなげな女もやるし、やさぐれた女もやるし。腕がある女優さん」と表現。制作陣からもその高い演技力が評価されているのがうかがえる。

 しかし、戸田さんが演じてきた役どころには、高い演技力だけでは説明がつかないすごみも感じられる。なぜ、ここまで変えることができるのか。そこにはすさまじいまでの潔さが見て取れる。

 戸田さんは、かつて「大恋愛」のインタビューで、「24歳のときに、女優・戸田恵梨香としての第1章が終わったなって思って。20代で悩んでいたのが、どうすれば第2章に向かえるのか。第2章を迎えるにあたって、どうスタートを切るべきなのか分からなくなってしまった」と語っていた。

 そして、「私の今までのキャリア、実績なんてものは不確かで、何のあてにもならないんだっていうので、それを30歳で捨てました」と告白。この発言は当時、大きな話題を集めた。30歳でキャリアを捨てたと話す戸田さんの強じんなメンタリティー。その考え方は、30歳を前に一朝一夕で身についたものではなく、それまでにも垣間見えたすさまじい潔さの根底にあるもののように思える。

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 その後、2019年度後期のNHKの連続テレビ小説(朝ドラ)「スカーレット」のヒロイン・川原喜美子を演じることが発表された会見の席では、「(女優として)第2章のスタートラインに立てたと実感している」と晴れやかな笑顔で語っていた戸田さん。

 長期間の撮影を走り抜け、クランクアップを迎えた際には「やりきりました。役を生きられたなと感じる作品が今までいくつかありましたが、喜美子という女性を生きることにまったく違和感がなく、無理がなくて、自然と家族と一緒に年を取ることができました」と充実感をにじませていた。

 「つぎは『流星の絆』でおねがいします!」「ライアーゲームも」「是非リバースもお願いします。サマーヌードも」など、今も再放送してほしい作品を続々と挙げられている戸田さん。どんな役でも確実に自分のものにし、次の作品でスパッと捨てきる潔さは、戸田さんの唯一無二の魅力だ。そんな戸田さんの新たな作品が待ち遠しい。