PassCode大上陽奈子が語る、「自信」を手に入れるために今すべきこと

PassCodeのメンバー個別インタビュー、2人目に登場するのは大上陽奈子だ。弾けるような笑顔が魅力の彼女は、PassCodeの歌を支えるキーパーソン。

かつて、モーニング娘。第10期オーディションで最終審査まで勝ち残った実力者だ。PassCodeの楽曲においても、「ここぞ」というパートを担うことが多い。

笑うときは目がなくなるぐらいの笑顔を見せるし、泣くと梅干しを食べたみたいに顔をしわくちゃにするぐらい感情豊かな彼女。自信満々でステージと向き合っていた初期に比べ、今は様々なグループのストイックさに触れることで焦りを覚えているという。今回は、歌に対するこだわりや苦悩を中心に、今、自身が感じていることを語ってもらった。そこには一歩一歩着実にステップアップしている彼女の姿があった。

【動画】チャート首位を獲得したPassCode「STARRY SKY」ミュージックビデオ

―先日、PassCodeとして初めて「オールナイトニッポン0(ZERO)」のパーソナリティを担当されてましたが、ひなさん(大上の愛称)、けっこう頑張ってましたね。

本当ですか? やったー! 楽しかったし、一瞬で過ぎました。

―自分のコーナーのためにキャラもしっかりつくっていて、「こんなに弾ける人なんだ」と思いました。

「食べ物」っていう私の好きなものでディレクターさんが企画をしてくださったのでテンション上がりました。これまでもいろいろなラジオ番組にゲスト出演させてもらってますけど、一番面白かったです。

―それは自分たちで番組を仕切ったから?

自分たちの好きなことができたからかもしれないですね。前にNACK5でも自分たちの番組をやらせていただいたんですけど、時間が深夜だったので私は参加できなくて(当時、大上は未成年だった)、今回が「念願の!」って感じでした。しゃべるのは得意なほうじゃないんでいつも緊張するんですけど、今回は楽しくできましたね。

―自粛期間はどんなことをして過ごしてますか。

だいたい同じルーティーンで過ごしてて。朝8時ぐらいに起きて、朝ごはん食べて、動画を観ながらヨガをやって心を浄化して……あと、自粛が明けるまでに腹筋を割りたくて腹筋をしてるのと(笑)、韓流ドラマをぶっ通しで観たりしてます。

―「愛の不時着」だ。

もぉ~、よかったです! 泣きました。あとは、PassCode料理部ですね! 南(菜生)とかマネージャーさんが自炊を始めてて、バックバンドのKENT(Gt)さんもすごく料理上手なので、LINEグループで「今日は○○をつくります!」って報告し合ったり、「オススメの調味料はなんですか?」とか教え合ったりするのが一日の楽しみのひとつです。

―ダンスや歌はどうですか。

ダンスは事務所のスタジオがあるのでそこで練習してるんですけど、歌は全然歌えてなくて、2週間前ぐらいから歌い始めてみたらやっぱりちょっと鈍ってて、感覚を取り戻すのに時間がかかりました。「しっかりやっとかななぁ~」って思ってます(苦笑)。

―時々、SNSでピアノの弾き語りをアップしてますけど、あれ、いいですよね。

本当ですか? うれしい。近々、新しい曲をあげようと思ってるんですけど、ピアノがなかなか上達しなくて。ピアノか歌、どちらかならいいんですけど、一緒となるとなかなか……。

―いつかは忘れてしまったんですけど、わりと最近公開してた歌は本当にいいなと思いましたよ。もっと長いバージョンをIGTVとかにあげたらいいのにと思ってます。

それなら一度フルで撮ってみようかなあ。

―しっかり撮ったものを公開したら、PassCodeファン以外にも刺さりそうな気がするんですけど……動画だとちょっと自信なさそうですよね。

自分の中で「あと一歩……!」っていう気持ちがあって……そこは練習するしかないですね。

―その「あと一歩」というのは?

なんやろ……? 今は昔から応援してくれている人が喜んでくれたらいいなと思って撮ってるので、もうちょっと自分の技量に自信が持てるようになったら、ターゲットを広げられるんじゃないかなと思ってます。

―そのほかのことに関してもそうなんですけど、以前よりもいろいろなことができるようになってるし、日ごとにレベルアップしてるのに、自信が追いついていない印象を受けるんですよ。

おっしゃるとおりです。


モー娘。オーディションの時に感じた気持ちと現在の心境を比べて

―昔、モーニング娘。のオーディションを受けたい、人前に立ちたいって思ったときの気持ちと今の気持ちって何か違ったりしますか。

あのオーディションのときは「人前で歌いたい」っていう気持ちがあったかどうかはわからなくて、それよりもただただ憧れの人に近づきたい、憧れの人が歌ってる歌を自分もステージで歌いたいっていう気持ちしかなかったのかも。よくある「自分の歌で多くの人を笑顔にしたい」みたいな気持ちはあまりなくて。でも、自分があげた歌動画に対して「感動した」とか「もっと聴きたくなった」っていうコメントがつくとうれしいので、「今度あげたらまたそういう気持ちになってくれるのかな」って思うともっとやってみたくなりますね。

―ひなさんって、自分をどういう人間だと思ってますか。

最近になって自分に対する思いが変わってきて。前の自分は自信に満ち溢れてたんですけど、最近、「あ、違うな~」って思い始めて。今は自分よりも自信を持ってる人が多いし、そうじゃないとやっていかれへんねやろなって分かり始めたから、今年からはもっと自信を持ちたいですね。

―ほかの人たちのパフォーマンスを見て、自分はまだまだダメなんだと気づいた。

そうですね。大きいステージに立っている方もそうなんですけど、最近は韓国のアイドルグループのオーディション番組で、まだデビュー前の10代の子たちがめちゃめちゃ練習してるのを見て、「自分、ヤバいな……怠けてるな……」って。

―なるほど。では、パフォーマーとしての自分をどう見ていますか。

うーん、どうやろ……ライブではすべての面で自分が底上げできたらいいなと思っています。それは自分に突出するものがないからっていうのもあるんですけど、だからこそダンスを含めた全部の表現でグループを支えられたらと思ってます。あとは、歌を頑張っていきたいっていうのはずっとありますね。やっぱり、大事なパートを任されたりもするし、それに対しては平地さん(PassCodeのサウンドプロデューサー)が想像している以上にライブで表現できたらいいなと思ってます。

―縁の下の力持ちになりたいってことですか。

どうなんやろ……でも、そういう存在から脱却したいって気持ちはあります。今まではいろんな取材でひなとかっぴ(高嶋楓)は支える存在って言われてたんですけど、去年のツアーでバックバンドの方から「4人それぞれが同じぐらい前に出ていけるようになるほうがバランス面でもいいよ」って言ってもらって。それで、自分が前に出ることでもバランスをよくすることができるんだなって思いました。後ろに下がるんじゃなくて、前に出ていくっていう。

―先ほどの話を聞いていて気になったのが、「ダンスを含めた全部の表現」と「歌」を自然と別モノとして話しましたよね。それがちょっと興味深いなと。

PassCodeに加入したときから歌唱担当だって言ったり、周りから言ってもらったりしてたんですけど、だんだんみんなのレベルが上がってくるうちに自分のことを「それほどやな」って思うようになって。でも、せっかく担当って言ってもらえてるんやから突出させたいっていうのが今の気持ちです。

―ダンスなどに比べて歌に対する評価基準を自分の中で高く設定しているんですね。

そうですね。一番高いと思います。

―でも、まだ満足のいくレベルに到達できてないと。

まだまだやし、どこまでいったら納得できるかもわからないです。


鍛えるべきはメンタル

―何年か前、ライブ中にオートチューンで大きく音を外すことを気にしていて、「そんなこと気にする必要ないよ」とPAの方から言われたという話をしていましたけど、その後はいかがですか。

そこに関しては心配なくなってきたと思います。「外れるときは外れるし!」って思っといたほうが意外と外れへんってこともわかって。「外れたな……」って思っちゃうと余計に不安定になっちゃうから、気にしやんほうがいいなと思ってます。

―それって気持ちの持ち方ひとつなんじゃないですか。

そうですね、メンタルの問題かもしれないです。鍛えるべきなのはメンタルなのかも。

―技術を追い求めることに終わりはないと思うんですけど、大事なのはそこだけじゃなくて、ステージに立つ上での心の持ち方をどう変えていくかっていうことも重要なのかもしれないですね。

今の自粛期間はそういう部分を鍛えるにもいいタイミングなのかもしれないですね。

―ところで、前回のツアー「PassCode CLARITY Plus Tour 19-20」はどうだったんですか。

正直、忘れかけてるんですけど……。

―はやっ!(笑)

でも、ここ最近では一番スムーズなツアーだったと思います。やりにくい部分が少なかった分、技術面についていろいろ考えられるようになりました。TONIGHT! Tour(PassCode Taking you out TONIGHT!Tour 2018)ぐらいまでは技術以前の問題で、ライブが終わってからもパフォーマンスを振り返るというより、ライブとして成り立っているかどうかばかり気にしていたんですけど、今回はPAの佐々木さんとか、バンドメンバー、メンバーとちょっとずつ話し合いができるようになってきたことがこれまでのツアーと違ったと思います。みんなと話す時間が増えたのは大きかったですね。あと、今回のツアーは自分たちのライブ映像を見返す時間がめちゃめちゃ増えました。今までのツアーでも見てはいたんですけど、私は振り付けとか立ち位置の確認しかしてなかったり、曲単位でしか観てないこともあって。でも、今回は「ここがちょっとグダってるな」とか、「MCだらけてるな」みたいに全体を見るようになりました。



―メンバーとはどんな話し合いをしていたんですか。

パフォーマンスとか立ち位置のこともそうですし、MCについて話すことが増えて。TONIGHT! Tourのときは「セットリストのこことここでMCを挟みます。はい、おわり」みたいな感じだったんですけど、今回は「ここのMCはリラックスした感じで話して、最後のMCはしっかり真面目に話そうか」ってやちい(南の愛称)を中心に話ができたんで、ライブ全体の雰囲気も変わってきたのかなとは思います。

―たしかに、MCはだいぶスムーズになってきた感じはしますね。

ああ、よかったです。日によってはグダグダだったりもしたんですけど、気楽にステージで喋れるようになってきたかなって思います。

―ひなさんはMC苦手ですよね。

めっちゃ苦手です! ステージ上で話すっていうのが慣れないし、ステージは歌って踊る場所っていうイメージが強くて。

―ああ、なるほどね。では、前回のツアーに点数をつけるとしたら何点ぐらいですか。

60点ぐらいですね。ファイナルの新木場(Studio Coast)に助けられたっていうか。会場の雰囲気も含めて、新木場が突出してよかったんで。ファイナルがよかったというのはいいことなんですけど、「どこも新木場ぐらい楽しかった」って言われるようなツアーをこれからはできたらなって思います。

―じゃあ、新木場がなかったらもっと点数が低かったっていうことですか。

そうですね。あと、新木場のあとにあったZepp Nagoyaでの追加公演のあとにバックバンドのメンバーにめっちゃ怒られたことも大きいのかもしれない。

【画像】PassCodeアーティスト写真(2点)

―たしかに、あのときのライブはそんなによくなかったです。新木場で燃え尽きた感じが伝わってきました。

ああ……。バンドメンバーからも「気ぃ抜けてるようにしか見えなかった」って言われました。そういうところにもメンタルの弱さが出てますよね。ファイナルは思い出の新木場2デイズだったし、ファンの方も「絶対成功させるぞ!」っていう気持ちを持っていてくれたのでいいライブができたんですけど、気づかないうちにそこで気持ちが緩んじゃってたのかもしれない。


アンコールでボロ泣きしていた理由

―新木場2日目のアンコールでボロ泣きしていた理由は?

「Its you」のときの景色がすごすぎて! なんかね……意味とかあまりないかもしれないです。みんなの声とメンバーが歌ってる姿を見てたら自然と泣けてきて。あと、その前のやちいのMCも大きかった。1日目はくやしい部分があったし、正直、2日目はめちゃめちゃ不安だったんですよ。でも、納得いくライブができたし、みんながめちゃめちゃ楽しそうにしてくれてたから、「あ、幸せやな」と思って涙が出てきました。

―では、シングル「STARRY SKY」についてお聞きしたいと思います。レコーディングが過去イチで大変だったそうですね。

まずキーが高すぎて! 練習してるときから「これは人間が出せるキーなのか?」って感じで、一番高い音なんてイチかバチかで出るか出ないかみたいな状態でレコーディングに臨んだんですよ。結局、スタジオの雰囲気のおかげなのかその音は出せたんですけど、1時間2時間と歌い続けてるうちに家に帰るのもしんどいぐらい疲れちゃって。



―「サビのメロディの高低差が激しいけど、そこもちゃんと歌ってくれた」と平地さんが話していました。

キーが高ければ高いほど高低差があると大変で。高い音から急に低いところへ声帯を合わせるのは喉の動きが激しすぎて難しいんですよ。あと、昔は英語の曲がすごく難しく感じていたんですけど、カッコよく聴かせるのは日本語のほうが難しいっていうことに最近になって気づいて、今回はそこで苦戦しましたね。英語は忠実に発音を再現できればカッコよく聞こえるようになるんですけど、日本語は一歩でも間違うとすぐにダサく聞こえちゃうんですよ。だから、いかにも日本語っぽくなりすぎないように声を掠れさせたりしながらも、歌詞の内容がちゃんと伝わるように1音1音工夫して歌いました。

―ライブだとどうなるんですかね。

ライブは怖いですね! めっちゃ楽しみだし、さらにいい曲になると思うんですけど、あの高すぎるサビに振りまでつくと思うと大変そうです。

―カップリングの「Tramonto」もそうですけど、最近はオートチューンのかかり方が弱い曲が増えてきましたね。

そうですね。こういう曲はライブでも歌いやすいですし、いつもと違う感じの曲調だとライブに緩急をつけやすくなると思います。前までは、こういうちょっと落ち着いたタイプの曲をセットリストのどこに入れたらいいかわからなくて、だんだんライブでやらなくなっていったりしてたんですけど、最近はそういう曲もちょっとずつライブで増やしていきたいねってメンバーとも話してます。この曲もライブで活躍できるような存在にしていきたいですね。



―今回の3曲を聴いて、PassCodeの世界は想像していた以上の広がりを見せていくんだなと思いました。

私たちも今回の仮歌を聴いて「幅広っ!」って思ったし、これまでのPassCodeの幅を越えてきた感じがあるんで、「平地さんすごいな」って思うし歌ってても楽しいですね。

―最初の話に戻りますけど、ひなさんは以前から「もっと突き抜けたい」と話していて、これもメンタルの問題なんでしょうね。

そうですね。今までは「どうしたら突き抜けれるんやろ」とか「もっと練習しなきゃ」って思ってたんですけど、結局はメンタルですね。自信を持つためにはもちろん練習も必要だと思うんですけど……。でも、私の場合は自信をつけるためにめちゃめちゃ練習が必要なタイプだと思うんですよね。

―努力したものに対する成長は自分でもしっかり感じられてはいるんですね。

そうですね! やればやるだけわかるし、サボればサボるだけ「やべえ……」ってなるし。去年、ちょっとライブがない期間があってそのときにダンスを頑張るようにしたら、その期間が明けてからのフェスで自信満々で踊ることができたんですよ。だから、自分の中での準備がめちゃめちゃ大事なんやなって思いました。


その日が来たら最初に立ちたいステージ

―では、自粛期間が明けて、どこでもライブができるとなった場合、最初に立ちたいステージはどこですか。

どこでもいいなら……大阪BIGCATでやりたいです! BIGCATならライブを全然してなくても、一番気負いせずできると思います。BIGCATはすごく安心するんですよ。ありがたいことに「めちゃめちゃ広い!」っていうふうにも感じなくなってきたし、自分たちの思い通りのパフォーマンスができる広さなんですよね。

―ホーム感、ですかね。

そうなのかもしれないです。初めてツアーを回ったときの大阪公演の会場だったっていうこともあるのかも。

―最後に、こういうときだからこそお聞きしたいんですけど、ひなさんはエンターテイナーとしてステージで何かを背負ってる感覚ってありますか。自分の使命ってなんだと思いますか。

正直なところ、今応援してくれている人たちをガッカリさせたくないっていう気持ちが一番強くて。さっきも話しましたけど、新木場2日目の「Its you」でみんなの顔を見たら、この人たちをがっかりさせたくないというか、「もっと上に上がることをみんな期待して応援してくれてるのやから、止まれない」って思いました。

―小さい頃、モーニング娘。の先輩たちがひなさんに人生の夢を与えたように、ひなさんもきっとそういう立場になっていくんですよね。そういうことを自覚したときに、また違った景色が見えてくるのかもしれない。

なんか胸に響きます。初心は忘れちゃダメですね!

<INFORMATION>

「STARRY SKY」
PassCode
USM JAPAN
発売中

初回限定盤


通常盤