6月2日開幕のA級順位戦、対戦成績から次の名人挑戦者を考察します。

第78期名人戦七番勝負もまだ開幕していませんが、第79期名人戦の挑戦者を決めるA級順位戦の初戦が早くも本日6月2日から始まります。A級順位戦は名人戦挑戦者を決める重要な戦いです。来期の名人戦の舞台に立つのは誰になるのでしょうか。

 

A級順位戦は2名がB級1組へ降級、2名がB級1組から昇級となっています。降級してしまったのは木村一基王位、久保利明九段の2名で、新たにA級に加わったのはどちらも20代の菅井竜也八段と斎藤慎太郎八段です。A級昇級の2人が20代だったのは17年遡った2003年度、61期順位戦の久保利明九段、鈴木大介九段以来です。これで現A級の20代棋士は菅井八段、斎藤八段の2名となります。久保九段、鈴木九段の昇級当時もその2名のみが20代A級棋士という状況でした。

 

初昇級の2名

実力を付けた若手棋士が満を持してA級昇級という形となりました。斎藤八段は矢倉や角換わりを得意とする居飛車党で、菅井八段は早見え早指しの振り飛車党です。菅井八段、斎藤八段はともにタイトルを1期獲得しています。菅井八段は3年前の第58期王位戦七番勝負で羽生善治王位から4勝1敗で王位を奪取しました。斎藤八段は2年前の第66期王座戦で中村太地王座と五番勝負を戦い、3勝2敗で王座を獲得しています。

 

 

参加者の対戦成績

下表は第79期A級順位戦のリーグ表です。第78期名人戦がまだ行われていないため、豊島将之名人と渡辺明三冠も表に加えてあります。対戦相手の右側の数字はその相手への現在までの勝率を表し、勝率が5割以上の場合は緑色、下回る場合は赤色で示しています。豊島名人、渡辺三冠はいずれも対A級棋士の負け越しが1人だけです。どちらが名人位を逸しても再度名人挑戦の有力候補になると言えるでしょう。そのほかに対戦勝率から有力視されるのは羽生九段でしょう。負け越しは2名のみで勝ち越している相手への勝率がかなり高いです。またタイトル通算100期を目指す、羽生九段のタイトル挑戦を望む声も多いでしょう。


開幕初戦

さて、初戦は本日の佐藤康光九段対広瀬章人八段です。両者の今期順位は広瀬八段が2位、佐藤康九段が3位です。この2名はこれまでに13局対戦しており、佐藤康九段が8勝と勝ち越しています。しかし直近6戦は3勝ずつと互角の勝負を繰り広げています。前期のA級順位戦は佐藤康九段が勝利しており、A級順位戦全体では佐藤康九段が4勝2敗で勝ち越しています。

 

本日開幕する第79期A級順位戦、次の名人挑戦を決める戦いを勝ち抜くのは一体誰なのでしょうか。今期もトップ棋士たちの将棋が楽しみです。


 

第79期A級順位戦のリーグ表。 対戦相手の右の数字はこれまでの対戦勝率、マスの色は緑が勝率5割以上で赤が勝率5割未満
第79期A級順位戦のリーグ表。 対戦相手の右の数字はこれまでの対戦勝率、マスの色は緑が勝率5割以上で赤が勝率5割未満