関ジャニ∞の丸山隆平が13年ぶりに時代劇に挑戦、主演を務めることで話題を呼んでいる連続ドラマW『大江戸グレートジャーニー 〜ザ・お伊勢参り〜』(6月6日スタート 毎週土曜22:00〜)。2014年に公開され大ヒットを記録した映画『超高速!参勤交代』の原作・脚本の土橋章宏と、監督の本木克英が再びタッグを組み、新たなエンターテインメント時代劇が誕生した。

かつては江戸の中で最強の賭博師と呼ばれていたが現在は“ダメ男”の辰五郎(丸山)が、江戸一の殺し屋で借金取り・菊佐(山本耕史)と子分・六助(加藤諒)に追われながら、60年に1度の「おかげ年」に行なわれるお伊勢参りに旅立つ。すぐに死にたがる訳ありな美女・沙夜(芳根京子)、抜け参りの少年・三吉(斎藤汰鷹)、代参犬・翁丸と繰り広げられる波乱万丈な珍道中の見どころや、演じた辰五郎について、主演の丸山に話を聞いた。

  • 『大江戸グレートジャーニー 〜ザ・お伊勢参り〜』 (写真提供:WOWOW)

    『大江戸グレートジャーニー 〜ザ・お伊勢参り〜』 (写真提供:WOWOW)

■久しぶりの時代劇で、初のWOWOW

――13年ぶりの時代劇ということで、今回の話が決まった時の感想と、役を演じるときに気をつけたことを教えてください。

過去に時代劇をやったときに楽しかったし、着物を着ると心が正されるような、しっくりくる感覚があったんです。13年も経っているのかと思うと時の流れが恐ろしいですけど、またやりたいと思っていたので、「忘れた頃にやってくんねんな」と思いました。僕自身はWOWOWさんのドラマも初めてですし、そこで時代劇に参加させてもらえるのは嬉しかったですね。

また、今回は初めての京都の松竹撮影所だったので、みんなに好かれるように礼儀正しく振る舞いました。かつら(担当)の一番偉い方には、メロンパンをあげました。メロンパンで手を打ってもらいました!(笑)

――座長としては、何か気をつけたことはありましたか?

差し入れを多めにしました(笑)。僕も京都出身ではあるんだけど、きちんと収入を得ることが出来るようになったのは東京に出てからなので、京都の食事どころもあまり知らなくて。「差し入れ、どこにお願いしたらええかわからへん」と苦労しました。京都の友人にアドバイスを受けて、いろんな方のお力添えをいただきました。

撮影中には、いろんな神社仏閣も行きました。「ここは〇〇の撮影で使われたんだよ」と教えてもらうこともたくさんあったんですけど、ほとんどの場所はもう東山(紀之)先輩が行ってたみたいです(笑)。

――物語への印象はいかがでしたか?

原作も読んでいたので、ちょっと異なるパラレルワールド的なストーリーでもあると思いました。『エヴァンゲリオン』もそうじゃないですか。テレビ版と、旧劇場版と、新劇場版の『序』『破』『Q』でも全然違うでしょう? しかも、実際に原作者の方が台本を書いているので、原作ファンを裏切らないという強みもあります。おいしいところを知っているのは土橋さんと本木監督なので、2作品(原作と台本)それぞれの良さ、さらに合わせた面白さがあると思います。

エピソードを補完することもできると思うんです。例えば、『ギルバート・グレイプ』も、もともとは小説で、それが映画化されて。僕はG2さんが小説を元にした舞台で主演したけど、舞台には映画で出てないエピソードが出てきたりもする。そういう楽しみ方もあります。

■人に恵まれたダメ男役

――辰五郎は“ダメ男”ですが、愛嬌があって憎めないキャラクターでもあります。丸山さん自身は、どんな人物だと思って演じられていたんですか?

その日暮らしで、失うものがないから、きっとそんなに死ぬことが怖くはないんでしょうね。だから「どうにかなるだろう」という考えでお金も全部使っちゃうし、実は沙夜(芳根京子)と考え方が一緒なのかな。今すぐ死のうとするかしないかの違いで、死に対しての恐怖がないから、引き寄せあったのもあるのかもしれません。同じ波長の人間って、けっこう集まるじゃないですか。

そんな辰五郎が、2人と1匹に出会ってどう変わっていくのか、僕も演じながら、観察していて楽しかったです。人はすぐに変われないけど、実は気づいていないところで変化があって、その変化につき動かされて、「変わっていたんだ」と気づくのかもしれないと思いました。

――辰五郎もダメ男だけど、人徳はあるのかなという印象で。

本当はあいつ(辰五郎)、人徳がなくはないんですよ。お金に恵まれていないだけで、人には恵まれている。だから、なんとか生きて来られていると思います。見ている方が感じる、その辰五郎の憎めないところが、人間力でもあると思うし、周りのみんなも、なんとなく許しちゃってる。人とか、犬にさえも助けられてしまう部分があって、ただ一筋縄で幸せにはなれないという人生訓は、この作品の中にあるかもしれないですね、その現実的でもある部分が、時代劇というシチュエーションと絡まることで、よりマイルドにもなり、すごく面白いバランスで仕上がりました。

――ちなみに、自分自身の「ダメだな」と思うところはありますか?

お酒! 緊張した撮影の後は、結構長く飲んでしまいますね。以前も友達の誕生日を祝うために飲みに行って、2軒行った後に「もう1軒行こう」と言って、お会計してトイレ行って戻ってきたら、「今日はやっぱり帰ろう」という話になっていて、「OK、OK!」と。僕がいると長くなっちゃうんだろうな、と(笑)。

■自分よりも「人のため」の気持ちが強く

――「働きたくない」というセリフもありましたが、丸山さんご自身は働くときに何がモチベーションになっていますか?

単純にファンの方々とか、グループとか、ジャニー(喜多川)さんとか、ですね。もちろん、大前提としては自分が生活するため、生きるために働いているということもあります。10代、20代の時は、「自分が目立ちたい」「活躍したい」「褒められたい」ということが前に出ていたんですけど、グループも15年やっていると「目の前の人に何か届けたい」という気持ちが強くなるし、「きっと見てくれてるだろうな」と思うと、グッとくるものがあるんです。芯が入るというか……不思議だよね。そんな、ドラマや漫画みたいなことあるんだ、と。でもそっちの方が、気も楽だし、進む意味がある気がします。

前からメンバーもみんなそういう気持ちだったから、グループを続けるということも選択したし、それが、ジャニーさんから授かったエンターテインメントの形なんだと思います。いろいろな形がある中で、僕たちが教わった一つの形だから。例えば、良いものを見たら「これ見て!」と勧めたくなるでしょう。それが自分たちでできるという贅沢さもあって、僕を知ることで、知らなかった作品に出会える方々もいるし、スピーカーや広報みたいな役割をしているような気もします。だから、人により豊かになってほしい、同じ気持ちを共有したい。せっかく言語があるし、こんな複雑なことができる生き物なんだから、やらない手はない。そこがモチベーションになっています。

――今回も、WOWOWさんとの出会いになっていますよね。

しかも、この企画の元が面白いんですよ。前作『超高速! 参勤交代』のタッグで、本木監督が土橋さんに「代参犬(飼い主の代わりにお参りに行く犬)」の話をしたら、「面白いね」ということで膨らんで小説になったらしいんですよ。そういう作った人の思いが届けばいいなというのも、モチベーションの一つですね。

――最後に、ぜひ作品の見所を教えてください。

1話を見て、辰五郎なのか、沙夜なのか、三吉なのか、菊佐なのか……翁丸でもいいし、六助でもいいし、どこに想いを寄せるかによって、物語の旅の仕方や見方が変わっていくと思います。人物たちが最後にどんな顔をしているか想像しながら画面を通して一緒に旅していただけると、自分の中のハイライトが変わってくるから、委ねて欲しいなと思います。……綺麗にまとまった! 関ジャニ∞での5人の仕事の時、こんな綺麗にまとめないのに!(笑)

■丸山隆平
1983年11月26日生まれ、京都府出身。2004年に関ジャニ∞として「浪花いろは節」でCDデビュー。以来ドラマ、映画、舞台など俳優としても活躍する。主な出演作にドラマ『ストロベリーナイト』『ボーイズ・オン・ザ・ラン』(12年)、『地獄先生ぬ〜べ〜』(14年)、『よつば銀行 原島浩美がモノ申す!〜この女に賭けろ〜』(19年)、映画『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』(14年)、『泥棒役者』(17年)、舞台『ギルバート・グレイプ』(11年)、『BOB』(12年)、『マクベス』(16年)、『泥棒役者』(18年)など。