自覚症状が現れないことも多い病気ですが、不妊の原因になるため放置はよくありません。

◆大腸ポリープ、声帯ポリープ……女性特有のポリープも
「ポリープ」とは、粘膜が増殖してできたキノコ状のやわらかい突起のことをいいます。大腸ポリープや胃ポリープ、声帯ポリープなどもよく耳にすることがあるかと思いますが、子宮頸管や子宮内膜にできる女性特有のポリープなどがあります。

子宮にできるポリープは、子宮頸管ポリープと子宮内膜ポリープの2種類。子宮頸管ポリープに比べると子宮内膜ポリープの発生率は非常に低く、症状がある場合は月経の出血量が多くなったり貧血になったりするのが特徴です。子宮内膜ポリープの原因や症状、検査、治療方法について解説します。

◆子宮内膜ポリープとは……特徴・大きさ・原因
子宮内膜ポリープとは、子宮の内腔を覆っている子宮内膜がキノコ状に発育したもので、大きく長くなると子宮口の外まで出てくることもあります。大きさは、小さいもので1cm以下から、大きいものでは10cmを超える場合もあるほど。炎症や分娩、流産からできる場合もありますが、女性ホルモンであるエストロゲンの影響からできる場合がほとんどだと考えられています。

よく「子宮内膜ポリープがあります」と言うと、「悪性のものなんでしょうか」「癌ということですか?」と心配される方がいらっしゃいますが、この病気は癌とは異なります。ただし、ほとんどが良性のものですが、ごく稀に悪性腫瘍のこともあります。

◆不妊の原因にも……自覚症状が現れにくい子宮内膜ポリープ
基本的には本人の自覚症状が無いケースがほとんどです。しかし、まれに不正出血や月経痛を起こすこともあり、貧血を伴ったりすることがありますので、月経痛が重いなどの違和感があるような場合には、念のために検査をしておくと安心でしょう。

一方で、子宮内膜ポリープがあると、受精卵の着床の邪魔になって不妊の原因になりやすいことがわかっています。精子と卵子が出会って受精しても、子宮内膜に着床しないと妊娠には至らず、受精卵が子宮内膜にたどり着いたときに、子宮内膜ポリープが邪魔をして着床できないことがあるのです。

不妊患者では子宮鏡下内膜ポリープ摘出術を行うことで、妊娠率を高めるとする報告が多くみられますが、小さな内膜ポリープは不妊の初期検査でも発見されないこともあり、原因不明不妊として扱われることもよくあります。

◆子宮内膜ポリープの検査方法……検診での発見がほとんど
自覚症状がほとんどないため、検診などで超音波検査やMRI検査などを行ったときに、たまたま見つかる場合が多くみられます。できている場所や大きさによっては、子宮筋腫と紛らわしい場合もあり、子宮腔内に生理食塩水を注入し超音波検査を行うソノヒステログラフィーが診断には有効です。

より詳しく検査するためには、月経直後に子宮鏡検査を行います。簡単なものであれば、子宮鏡検査と同時にポリープを切除することもできます。

前述したように、小さなポリープは超音波検査などでは見つかりにくいため、原因不明の不妊で悩んでいる場合には、子宮内膜ポリープの可能性を疑って、早めに検査を受けたほうがいいでしょう。なお、内膜ポリープが疑われた場合、悪性を否定するために内膜細胞診を行うことも重要です。

◆子宮内膜ポリープと似た病気・見分け方
子宮内膜ポリープと似た病気と、その見分け方について解説します。

◇有茎性粘膜下筋腫
子宮内膜ポリープと同じような突出物に、有茎性粘膜下筋腫があります。この2つの病変は超音波診断では区別が難しく、子宮鏡検査で診断します。

◇子宮頸管ポリープ
ポリープが内膜ではなく、子宮頸管という子宮と腟を結ぶところにできるものを子宮頸管ポリープといいます。

◇子宮内膜増殖症
子宮内膜ポリープと同じように、エストロゲンの作用により子宮内膜が増殖してしまう病気です。月経になっても、子宮内膜がすべて剥がれ落ちずに増殖してしまうことがあり、これを子宮内膜増殖症と呼びます。

◆子宮内膜ポリープの治療方法……手術が必要な場合も
子宮内膜ポリープは薬物療法では治療できないと考えられています。自覚症状がなければ、あわてて治療をする必要はありませんが、悪性との鑑別が必要な場合には早めに手術で摘出します。

また、月経過多などの症状がある場合や、不妊の原因である可能性がある場合にも手術を行います。手術といっても、腟から子宮鏡をのぞきながら行うもので、お腹を切ったりする必要はありません。器具で根元をはさんで引っ張るだけで摘出できる場合もありますが、ポリープが大きい(茎が太い)場合は、子宮鏡下に電気メスでポリープを切除します。

流産の手術と同様の内膜掻爬(そうは)術が行われることもありますが、ポリープの取り残しや、それによる再発、症状の再燃を防ぐために、子宮鏡下に行うことが勧められています。

麻酔は、局所麻酔または全身麻酔で行われます。短期間の入院で手術を行うことが一般的ですが、外来で処置をすることも可能な場合があります。治療でポリープを摘出しても再発することがあるため、定期検査は必要です。これは原因である「エストロゲンの感受性」が改善されていなかったり、切除したときに根っこが残っていたりするのが理由です。

◇藤東 淳也プロフィール
日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、検診マンモグラフィ読影認定医。婦人科腫瘍や低侵襲手術が専門だが、産婦人科医として妊娠・出産、婦人科一般の診療にも深く携わっている。専門知識と専門技術を活かし「根治性を高め、機能温存を図り、さらに、容姿・美容の維持を図る医療」の提供を目指し、幅広く情報発信を行っている。

文=藤東 淳也(産婦人科医)