茂木健一郎が感じる“ダウンタウン松本人志とナイツ塙の共通点”「笑いの権化みたいな…」
禁酒法の時代に、こっそり営業していたBAR「SPEAKEASY」。2020年の東京の街にも、そんなひそかなBARがありました。月曜から木曜の深夜1時にオープンする“ラジオの中のBAR”「TOKYO SPEAKEASY」。各界の大物ゲストが訪れ、ここでしか話せないトークを展開するとか、しないとか……。

TOKYO FMの番組「TOKYO SPEAKEASY」5月13日(水)のお客様は、脳科学者の茂木健一郎さんと、お笑いコンビ・ナイツの塙宣之さん。“お笑いとダウンタウンの松本人志さん”について語りました。


(左から)塙宣之さん、茂木健一郎さん


◆「松本さんは、触ったものを全部笑いにしちゃうような人」(茂木)
茂木:僕、大昔に(ダウンタウンの)松本人志さんと雑誌で対談したときに、松本さんの笑い顔が、なんだか“笑いの彫刻”みたいな感じがして。(ギリシャ神話の)ミダス王のような。触ったものをすべて黄金にしちゃった人。その対談で、「松本さんは触ったものを全部笑いにしちゃうような人ですね」って言ったんですけど、僕は塙さんの顔にも、なにかを感じるんですよ。

塙:茂木さん、それはめちゃくちゃ嬉しいっすよ。

茂木:“笑いの権化”みたいな。

塙:そういうふうに言ってくれることで、僕の胃がどれだけシュワーッとなるか。

茂木:いや、でもほんとに思いません? 造形の妙というか。

塙:そういうふうにおっしゃってくださる人がいるということは、ものすごく嬉しいんですけど、なかには「犯罪者みたいな顔してるな」とか、「こいつヤバい目つきしてる」とか言う人もいるので。自分でもちょっと思うときがあるし、やっぱり気にしちゃうときもあるんですよ。

茂木:えー? 僕ずっと、塙さんってハニワ(埴輪)とイメージが重なっていて。なんか縄文的な感じがするんですよ。

塙:それ……名前からだけじゃなくてですか?

茂木:いや、なんかもう存在が縄文っぽい。“縄文の笑いの神様”みたいな。

塙:なんかものすごいフレーズ。

茂木:いや、すごいですよ。顔が好きなんですよね、塙さんの。

塙:めちゃくちゃ嬉しいっすよ。一部のファンしかいないですけど。最近、けっこう悩んでいることがあって。

例えば、写真やCM撮影のときに、カメラマンさんが「笑ってください!」って言うじゃないですか? 僕、笑えないんですよ。それって、なにが原因なのかなと思って。

茂木:僕が昔から聞くのは、お笑いのプロって、“本人は笑っちゃいけない”って思っているとか。

塙:思っているんですかね? 例えば、そのカメラマンさんも、そんなことを言わないで笑わせてくれたら、自然な笑いが出るかもしれない。「笑顔でお願いします!」って言われて、瞬間に笑顔ができる奴って、ちょっと気持ち悪いと思っていて。

茂木:気持ち悪いですよね。

塙:作り笑顔って、なんかすごく嫌で。だけど、結局それができないので、今ドラマに出ているんですけど、“芝居がめちゃくちゃ下手だ”って言われていて、それで悩んじゃっていて。自分では一生懸命やっているつもりなんですけど、どういうことなんですかね。

茂木:でも僕は、塙さんのことが好きだけどな。

塙:それこそ、松本さんと何回か飲ませていただくことがあって。そのときに、「演技がすごく下手なんです」という話をしたら、「自意識過剰な人はそうだ」って言われたことありましたね。もしかしたら、なにか考えすぎちゃっているのかなとか。

茂木:みんな前から、塙さんはすごく賢い人だってわかっていたんだけど、やっぱり賢いんだなって(思った)。突き抜けた賢さがある塙さんの存在自体というか。

(中略)

◆茂木健一郎“オワコン騒動”を振り返る
茂木:あと僕、塙さんにどうしても相談したいことがあって。今日はこれを言わないと、この番組「TOKYO SPEAKEASY」(に出演した)意味がなくて。僕、一時期「日本のお笑いはオワコンだ」とか言って、松本さんに怒られたことがあったんですよ。

塙:ありましたよね。

茂木:そのとき、松本さんに「お前はお笑いのセンスがない」とか言われて。まぁ松本さんにディスられるんだったら、ちょっと光栄な感じがするんですけどね。それで思い出したんです。小学校や中学校のときの、クラスでの“お笑いとしての立ち位置”って、意外と大事かもしれないと思って。塙さんは(幼少期の)苦しい経験で笑いをとって、笑いの中心にいたわけじゃないですか。僕はいつも微妙な位置にいたんです。メインストリームに行けないというか。それで、“俺、ずっと変わってねーな”と思って。

塙:いや、でも芸人の人って、けっこうそういう人も多いので一概に(は言えないかもしれません)。僕なんか、決してそっちのほうじゃないですよ。

茂木:いつもお笑いの中心にいたんじゃないんですか?

塙:お笑いの中心ではないです。小、中、高校生時代は(幼少期の)“うんこネタ”ではウケましたけど、全然そうじゃなかったんで。むしろ、そっちの気持ちの人のほうがわかるから。

茂木:いや、でも塙さんの本(「言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか」)を読んで、改めて反省しました。松本人志さんっていろいろ言われているけど、やっぱり漫才師としてすごく仕事をしている人。当たり前なんですけど。

塙:そうですよ。やっぱり、ネタを発明した人というか。僕がそんなことを言える立場じゃないですけど。僕は、松本さんがいなかったらお笑い芸人になってないので。

2016年の5月にスピードワゴンの小沢さんが(松本さんとの食事を)セッティングしてくれて、初めて食事をしたときの話なんですけどね。麻布だったんですけど、僕は約束の1時間ぐらい前から喫茶店で時間を潰していて、30分ぐらい前になって、“やっぱり行くのやめようかな……”と思ったんです。“生みの親”に会いに行くみたいな感じがして。番組では一緒になったことはあるんですけどね。なんか親父と話すみたいな感じがしちゃって、すごく恥ずかしくなっちゃって。

茂木:2016年って、既にナイツがビッグになっているときじゃないですか?

塙:そうですよ。

茂木:そのときでも、そういう気持ちに?

塙:というのも、自分のお父さんは育ての親で、生みの親は松本さんなんじゃないかな? っていうぐらい、やっぱり影響を受けましたからね。

茂木:僕、松本さんと偶然会ったんですよ。“オワコン騒ぎ”で大変で、吉本も大変だった頃に連れていかれた店で、“トイレに行こう”と思ったら、松本さんがそこで電話をしていて目が合っちゃって。いろんなことがあって1番気まずい時期だったんですけど、「あ、どうも」とか言って。

塙:いや、それが言えなくなったらヤバイじゃないですか(笑)。自分の言葉がなくなっちゃいますからね。言えなくなるほうが怖い。

茂木:僕、塙さんの本を読んで本当に助かったことがあって。僕ってやっぱり、自分語りというか、自分の話に持って行くのが嫌だなって思っていたんですけど、塙さんがちゃんと“芸人はやっぱりネタを作らないとダメ”だと。例えば、“ライブハウスとかで自分のファンの人に向かって「アイツの事務所はこうで……」とかいう話をするのはよくないよ”って、ちゃんと書いてくれていたから、僕はすごく助かって。そういう人から見ても、“やっぱりダウンタウンの仕事はすごいんだ”ということを改めて確認できたので、あの本を読んで本当によかったです。

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来週の「TOKYO SPEAKEASY」のお客様は……

6月1日(月)田原総一郎さん×堀潤さん
6月2日(火)長塚圭史さん×FPM田中知之さん
6月3日(水)田村淳さん×TENGA松本光一社長
6月4日(木)三浦瑠麗さん×茂木健一郎さん

がご来店。一体どんな話が飛び出すのか……!? お楽しみに!
<番組概要>
番組名:TOKYO SPEAKEASY
放送日時:毎週月-木曜 25:00~26:00
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/speakeasy/