非正規雇用でお子さん3人を育てるシングルマザー。3年でゼロから100万円を貯めたものの、保険はどれに入ったらいいのかわからず、相談したいとのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

◆子どもの年齢などから、死亡保障、医療保障どちらを優先したらいい?

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。

今回の相談者は、非正規雇用でお子さん3人を育てるシングルマザーの方。3年でゼロから100万円を貯めたものの、保険はどれに入ったらいいのかわからず、相談したいとのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

◇相談者
Rさん(仮名)
女性/非正規社員/40歳
借家

◇家族構成
子ども3人(13歳、9歳、5歳)

◇相談内容
保険に入りたいのですが、必要な保障額がわからず、あちこち見積りしてみるものの入れずにいます。子どもの年齢などから、死亡保障、医療保障どちらを優先したらいいか教えてほしいです。

ゼロから3年ぐらいでやっと貯金が100万円近くになり、お金を増やす方法として、今さらですが投資などにも興味がでてきたのですが、ほかに私に合った貯蓄方法があれば教えてほしいです。

非正規のためボーナスがなく、毎月の収入と手当でやりくりしています。資産が少なく情けなく恥ずかしいのですが、相談できる人がいないので助けてほしいと思い、投稿させていただきました。

◇家計収支データ
Rさんの家計収支データは図表のとおりです。
相談者「Rさん」の家計収支データ

◇家計収支データ補足
(1)住宅費について
住宅手当はない

(2)収入と支出の差額、児童手当・児童扶養手当の使い道について
教育費と雑費は、
・部費:1万5000円(2人分で)/月
・散髪代など:約4000円/月
・靴、文具、衣類など、不定期で約4万円/年
・学童費:2万円/月

相談者コメント「自分の手取り収入だけでは間に合わないときもあり、学校や部活の弁当が続いたり、冬は出費が多くなったりすると手当から引き出して使っている。収入の口座は1つにしています。

子どもの進路については、進学する高校に今のところこだわりはないです。金銭面でいけるところにいくと思います。大学は、難しいですよね……。

児童扶養手当、児童手当の使い道は特に決まっていないです。口座がすべて一緒なので、あまり手を出さないようにしたいのですが、必要な時に随時必要な額を口座からおろしています。月7万円残る計算なのですね……。

車のガソリン以外にかかるオイル交換代、自動車税、タイヤ購入など。家庭訪問があると住居用品を購入したり、冬物コートなどの衣類、靴、体育着などが臨時支出になっていると思います。昨年は、部活の大会が遠方で10万円近くかかりました」

(3)ご家族について
相談者コメント「両親は2人とも70代です。実家に帰るかどうかは、今のところ考えていません。

以前は、母子家庭に恵まれた環境であれば、高校進学あたりのタイミングで移るのもありとは思っていましたが、まだ情報収集ができていないのでわかりません。今まで金銭面は苦労をかけているので、これ以上は負担をかけたくないです。

児童扶養手当は月額5万9130円いただいています。元夫からは何ももらっていません」

(4)お勤め先について
相談者コメント「転職は、すぐにでもしたいです。ボーナス、退職金いずれもなく、不安で仕方ないです。社員にもランクがあり、なるにはまだまだかかりそうです。下の子が入学したら、とは思っていますが、年齢などで難しいのかなと」

◇FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1:死亡保障と医療保険は両方加入し、月5万円貯蓄を目標に
アドバイス2:高校、大学は公的な教育費支援制度、給付型の奨学金を利用する
アドバイス3:今ある100万円は絶対減らしてはダメ。投資ではなく定期預金で死守

◆アドバイス1:死亡保障と医療保険は両方加入し、月5万円貯蓄を目標に
まず、Rさんが一番気になさっている保険についてですが、子ども1人につき死亡保障500万円、3人で1500万円は最低でも確保しましょう。シンプルに保険期間10年の定期保険でいいでしょう。

併せて医療保険は入院日額5000円の保障を。生命保険と医療保険合わせても、保険料は月額8000円前後で収まります。ネット通販型の保険であれば、保険料はさらにおさえられるでしょう。

一番下のお子さんは5歳ですから、保険については、できるだけ早く加入して、備えておくようにしてください。

その上で、現在の家計収支では、毎月7万円貯蓄できるのですが、お子さんが成長するにしたがって、出費もかさんできます。新たに加入する保険料もありますので、毎月5万円を目標に貯蓄してください。

児童扶養手当と児童手当は給料の口座とは別にするなど、できるだけ生活費とは切り離しておくことがポイントです。子どもにかかる学校関係費などは、そこから引き出すようにしておけば、手当を生活費にあててしまった、とひけ目を感じることもないでしょう。

毎月5万円。1年で60万円。すでに一番上のお子さんは中学生ですが、これから高校、大学と教育費がかかる時期が重なってきます。10年で600万円の貯蓄ですが、3人のお子さんの教育費としては、少し不足してしまうでしょう。それについては、次に解決策をご説明します。

◆アドバイス2:高校、大学は公的な教育費支援制度、給付型の奨学金を利用する
高校からは、「高等学校等就学支援金制度」が利用できるでしょう。これは高校の授業料を給付する制度です。2020年4月から、私立高等学校の授業料も実質無償になりました。

さらに、授業料以外の学校費については、「高校生等奨学給付金」を受けられると思います。国公立で8万2700円、私立なら9万8500円。第2子以降は、それぞれ12万9700円、13万8000円と増額されます。

ぜひ、こうした公的な制度を利用して、お子さんの進学先の選択を狭めないであげてください。

大学についても、返済しないといけない貸与型ではなく、給付型の奨学金があります。これはお子さんたちの頑張り次第ですが、大学進学もあきらめないでほしいですね。

そのためには、Rさんが、こうした公的な制度をしっかり調べて、利用できるものは、どんどん利用することです。

◆アドバイス3:今ある100万円は絶対減らしてはダメ。投資ではなく定期預金で死守
最後に投資についてですが、興味を持たれるのはいいことだと思います。でも今はダメです。せっかく貯まった100万円はお守りのようなものです。これは定期預金などに預けて、絶対に減らさないことです。

少し金利のいいネット定期を利用するのもいいと思いますよ。普段使わない銀行であれば、つい引き出ししてしまうこともないでしょうから。もう少し貯蓄が増えてからでも、投資は遅くありません。今は、やるときではありませんよ。

それと、やはり気になるのは、Rさんの収入。いろいろと条件があるようですが、転職して少しでも収入アップを目指してください。

それと、ご両親に負担をかけたくない、ということですが、ご相談してみてもいいのではないですか? Rさんのお気持ちは大切なものですが、3人の孫のため、と思えば、ご両親も負担とは思われないのでは。

ご両親に迷惑をかけたくない、ということであれば、将来、お返しするということでも。ご事情はわかりませんが、ここまで頑張ってきたRさんなんですから、もう少し肩の力を抜いてもいいのではありませんか。

頼れるものは、公的制度であれ、ご両親であれ、甘えてしまいましょう。まずは、月5万円を確実に貯蓄すること。これだけは、守ってくださいね。甘えた分の恩返しは将来、Rさんに余裕ができた段階からで充分でしょう。

◆相談者「R」さんから寄せられた感想
この度はわかりやすいアドバイスをいただきましてありがとうございました。内心ドキドキしていましたが、私の家計にきちんと向き合ってくださり、前向きなアドバイスを拝見し、ありがたくて涙が出ました。

保険の入り方、貯蓄の仕方、進路、転職について、どうしたらいいのか、ただただ不安でいたところでしたが、いただいたアドバイスをもとにまた頑張っていこうと思いました。

勇気を出して相談してよかったと思います。このような機会を与えていただき本当にありがとうございました。最後まで寄り添っていただき感謝申し上げます。ありがとうございました。

教えてくれたのは……深野 康彦さん

マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文:伊藤加奈子

文=あるじゃん 編集部