新型コロナウイルスにより世界経済が混迷する中で、自分の家計をどう守っていけばいいのでしょうか? 今後の家計における、なるべくやらないほうがいいことについて解説します。

◆コロナ以降の「家計のタブー」とは?
新型コロナウイルスの影響はまだ続いており、経済や家計に影響を与えそうです。世界経済が混迷する中で自分の家計をどう守っていけばいいのでしょうか?

今後の家計における、なるべくやらないほうがいいことについて、All About『マネープランクリニック』でもおなじみのファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんとマネーライターの清水京武さんが解説します。

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◆車の買い換えを考えている人は、ローンを組むのはNGと考える
深野さん:皆さんこんにちは。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦です。

清水さん:皆さんこんにちは。マネーライターの清水です。深野先生、よろしくお願いいたします。

新型コロナウイルスの影響でいろいろと経済生活に及ぼす影響があるということで、いろいろな角度から解説をしています。ここでは「家計におけるタブー」というテーマでお話しいただきたいと思います。

日々状況が変わりゆく中で家計を守らなければいけませんが、逆にこれをやってしまうと元も子もないということを、深野先生に教えていただきたいと思います。一番意識したほうがいい点は、どういうところでしょうか?

深野さん:今まさに、新型コロナウイルスが広がっている状況です(2020年3月26日時点)。

株式市場を見ても、下げ止まったのかも分かりません。家計全般、生活については、やはり今守りを固めるべきです。積極的に何か打って出るべきではないと思うんです。そこをまずは考えなくてはいけません。

それと新型コロナウイルスの影響がどこまで今後広がっていき、どの程度経済に影響があるのか。終息時期すらまったく見えていません。守りに徹するべきだと言いましたが、私たちの生活にどの程度影響があるかというのも、本当に未知数なんです。

個人的には、少し報道にも出ていますが、少なくともリーマン・ショック後と同じような状況がやってくると思います。派遣社員は雇い止めになったり、年度末で派遣契約が切られてしまったり、新入社員なら内定取り消しという報道も出始めています。

派遣社員や新入社員にしか影響がないかというと、恐らく正社員の方も残念ながら来期の春闘は予想よりも賃上げ率が低くなっているし、今後ボーナス減少、リストラということもあり得ると思います。

これらリーマン・ショック後に起こったことが再び起こるのではないかということなので、取りあえず新たな動きをするよりもまずは守りを固めてからでも遅くないということを言いたいです。

◆現状維持で「守りを固める」とは?
清水さん:「守りを固める」「新しいアクションは控える」というお話がありましたが、具体的にどのような行動を指しているのでしょうか?

深野さん:今回のコロナショックシリーズで、家計をどうするのかということもお話ししましたね。家計で言うと、不要不急以外の支出をなるべく抑えて節約するということです。言い換えれば、家計がうまく回っている人ほど、現状維持で守っていくことが重要だと思います。

今後それこそ雇用がどうなるか、収入がどう変化するか予測がつきません。唯一言えるのが、減る可能性が高いということです。そう考えると、新たな借金はやめていただきたいです。

ただし一方ではマイホームの購入、リフォームなどを考えている人もいると思います。本来ならローンを組むのは控えるべきですが、既にマイホームを契約してしまってローンを組むだけであれば、組み方をどうするか考えるべきです。

住宅ローンの場合は特に、2020年はボーナスがどうなるか分からないので、ボーナス併用で組むことは控えるべきです。今金融機関も、オーバーローンということがあり得るじゃないですか。

借り入れはぜひ控えたいですよね。住宅ローンを組む場合には、できれば不動産業者だけではなく、セカンドオピニオン的に大丈夫か判断を求めるくらいの慎重さが必要です。

あるいは車の買い換えを考えている人なんかも、ローンを組むことは控えていただきたいです。現金購入ならOKということです。

よく資産運用で、借り入れをするとレバレッジをかけると言うじゃないですか。自分が持っている投資額以上でお金を借り入れて交渉することを、「レバレッジをかける」と言っています。

実は家計においても、ローンを組むということはレバレッジをかけることと同じなんです。ショックがあるときにレバレッジをかけることは一番怖いことですから、家計においてローンを組むことはできる限り控えていただきたいのです。

◆手持ちの現金が減る、住宅ローンの繰り上げ返済も注意したい
清水さん:今住宅ローンや車購入の話が出ましたが、既にマイホームや車のローンを抱えている人が、例えば繰り上げ返済をして支払利息を抑えようということも、できたらやめて現金を持っていたほうがいいのでしょうか?

深野さん:もちろん余裕がある人はやっていいと思います。しかし上半期や年内にやろうと思っていたという場合は、落ち着くまで1年程度、その間、利息軽減効果は薄れるかもしれませんが、繰り上げ返済の様子を見て現預金を持っておくくらいの慎重さがあってもいいかもしれません。

清水さん:予定していることは、一度くらいスルーしてもいいだろうということですね。

深野さん:逆にそれくらいの危機感を、今は持ったほうがいいかもしれません。

清水さん:実際に職を失ってしまう方は、どうしても転職ということも出てくると思います。仕事についてはどうお考えですか?

深野さん:そういう方の場合は、やはり自分の家計と相談ですよね。すぐにお金が必要ならば働かざるを得ないじゃないですか。

逆にリストラや解雇の場合はすぐに失業給付が出ますから、それをうまく活用して、自分を見直してみたり、棚卸しする時間を持ってみてもいいのかなと思うんです。

仕事というのは慌てて選んでしまうと、失敗するケースもあり得ますよね。転職に関しては、企業側が今後人員削減や配置転換を行う可能性があるので、転職自体も少しマイナスになってしまう可能性があると思います。

そこを考えると、私は注意したほうがいいと思います。もちろん自分自身に自信がある人であれば、否定はしません。

清水さん:分かりました。ところが家計とは別に、既に職を失ってしまっているとか、現在働いている職場の状況が悪く転職をしようと考える可能性も出てくると思います。転職については、どうお考えですか?

深野さん:図らずも職を失ってしまった方に関しては、家計の状況を鑑みて行動すべきだと思います。もちろん解雇となった場合にはすぐ失業給付がもらえますが、期限が決まっていますよね。すぐに働いて家計を助けなくてはいけないのであれば、すぐに職を見つけるべきだと思います。

でも一方で、少し家計に余裕がある人であれば、慌てて転職せずに、自分自身を見直してみる時間があってもいいと思うんです。なぜそんなことを言うかというと、人生100年時代なんていわれているじゃないですか。我々はこれから働く時間が長くなると思います。

転職は自分に自信がある人なら何度もできるでしょうが、一般的な人であれば1、2回くらいだと思うんです。慌てて仕事を選んでしまうと、長続きしないということもあり得ます。

なんとなく嫌だからとか、転職をするための明確な理由がないのであれば、今は動く時期ではないのかもしれませんよね。新型コロナウイルスの影響で企業も人員をどうするか、やはり考えざるを得ないと思うんです。企業自体の考え方も変わってきます。

それこそコロナの騒動が起こるまでは、人手不足だといわれていたじゃないですか。転職できる年齢もこれまでより上がってきたとか、ある意味では転職にはいい状況でした。

しかし残念ながら一時的にコロナの影響で転職環境も変わるかもしれませんので、慌てて動くことは慎んでいただきたい気がします。

やはり不確定要素が多すぎるし、長すぎるということもあるので、繰り返しますが現状維持を心がけたいと思います。あとやはり生活費を担うための借金は自転車操業になってしまうので、それだけは手を出さないことが重要だと思います。

清水さん:家計のタブーということでお伺いしましたが、基本的には守りを固めるということですね。例えば大きい支出、住宅ローンを組むとか、車の購入とかはいったん控えてもらい、家計を守るほうにシフトしてもらったほうがいいのではないかと。

それからお金が厳しいからといって、安易にキャッシングやカードローンを組むようなことは絶対に避けていただきたいです。

仕事に関しても、無理に焦って行動するよりは、一度立ち止まって考える時間も必要だということですね。深野先生、今回もありがとうございました。

(取材日:2020年3月26日)

教えてくれたのは……

●深野 康彦さん
マネープランクリニックのアドバイスでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

●清水 京武さん
All About「マネープラン・節約」ガイド。25年にわたって1000組以上の家計診断のページづくりに携わってきたマネーライター。貯められない人でも無理なく続けられる家計管理やマネープランの作り方を解説しマネープランクリニックの原稿を担当。

文=あるじゃん 編集部