車種別・最新情報[2020.05.29 UP]


ザ・ハリアー年代記


ハリアーの歴史は国産プレミアムクロスオーバーSUVの歴史そのものといっても過言ではない。レジャーに使い倒せる実用車から個性派高級乗用車への意識改革は、現在のSUVブームの呼び水となったとも言える。今あらためてその足跡を振り返ってみよう。●解説:川島茂夫


革新的なコンセプトが人気を博して王道となり、今やSUVの代表選手に



独自の価値感を進歩拡張させつつアップデート


 ハリアーの車史は第32回東京モーターショーに市販前提車として参考出品され、同年に発売されたモデルから始まる。ラダーフレーム式シャシーを用いるのが一般的なオフローダーに対して、ハリアーの走行ハードウェアの基本構成は一般的な上級ワゴンと変わらず、最低地上高の拡大等により悪路対応力を向上させていたのが特徴。乗用車の基本設計から開発されたSUVとしてはハリアー以前にニッサンのラシーンやスバルのレガシィ・グランドワゴン、フォレスターが登場しているが、当時はパジェロ人気に牽引されたオフローダーブームの最盛期でもあり、同等のハード&タフネスを持たない乗用車型SUVにとって状況は逆風と言ってもよかった。しかし、初代からハリアーはヒット作となる。悪路踏破性と耐久性はオフローダーと比べるべくもないが、居住性や燃費で圧倒。何よりも快適性が段違いの出来。カムリ・ワゴンの居心地と快適性をそのままに継承した走りは同格乗用車と比較しても遜色なかった。上級ワゴンの上質感や使い勝手を持つSUVはハリアーの基本コンセプトとして踏襲されていくが、2代目は高性能を柱のひとつとしたプレミアム性を全面に出したモデルとなった。姉妹車となるレクサスRXの方向にコンセプトの軸足を移したと考えてもいい。また、2005年にはハイブリッド車も追加されている。ところが3代目となる現行モデルではRXと決別し、国内市場に軸足を置いて開発。先にFMCしていたRXよりもひと回りコンパクトな車体寸法となった。ウェッジの利いたフロントマスクなどのスペシャリティ感覚やオーソドックスな高級感など、時代性と保守性をバランスさせたプレミアム性が特徴。2L車やハイブリッド車の4気筒化など経済性も強化され、プレミアムSUVの中でも独自性の強いモデルとなった。


初代ハリアー【1997~2003】


●発売年月:1997年12月 ●当時価格:239万5000~293万5000円 ●最終改良:2000年11月SUV=スポーツ・ユーティリティ・ビークルがRV=レジャー・ビークルの1要素だった当時、フォーマル&ラグジュアリーもこなすクロスオーバーSUVの先駆者として誕生。


オフローダー性能にとらわれ過ぎず、快適でオシャレな上級路線を開拓



カムリをベースに開発。遊びに使える高級車


ハリアーの開発で最も危惧されていたのが、当時販売でも車種数でも同市場の主流だった本格オフローダーと比較されて「形だけの偽物」と見られることだった。本格オフローダーはハードな悪路走行に対応できる踏破性と耐久性を実現するためにスペース効率は低く、動力性能や燃費、操安や快適性に劣っていた。悪路踏破性以外はデメリットばかりと考えてもいい。そこで悪路性能や耐久性をアウトドアレジャー趣味への対応レベルに抑えて、乗用車としてバランスを高めた新ジャンルのモデルとして開発されたのがハリアーだ。言い方を換えるならオフローダーとして二流でもアウトドアレジャーワゴンとして一流なのだ。前項で述べたように走行ハードウェアはカムリ(グラシア)をベースとして全長及びホイールベースを短縮し、40mm拡大された最低地上高と相まって悪路踏破性の向上を図っている。4WDシステムは前輪のスリップに応じて後輪に駆動トルクを発生するビスカスカップリング方式を採用。4WDシステムでは悪路対応力に劣るタイプだが、OP設定でリヤデフにトルセンLSDを用意するなど、悪路走行向けの性能向上も考慮された設計である。ベースとなったカムリはトヨタFFモデルの頂点に位置するモデルであり、とくにキャビンスペースはセダン/ワゴン最大級。カムリより幾分狭まったとは言え、初代ハリアーはFR高級セダン以上のゆったりしたキャビンを備え、穏やかな乗り心地と相まって上級ワゴンに勝るとも劣らない快適性と実用性をセールスポイントとした。



前後オーバーハングの寸法設定など、悪路踏破性を優先した場合の制限を排除し、街中でも見映えのする高級車的なデザインを実現。フロントの2段ランプや2眼リヤランプなど、灯火デザインも実用SUVとは一線を画し、スーツで乗っても違和感なし。



衝突安全ボディ「GOA」を採用。クロスカントリー系オフローダーに必須のラダーフレームとは異なるモノコック構造のボディはワゴン車のそれと同様だ。





傾斜したデザインが斬新だったセンターコンソールに5.8インチのマルチディスプレイを装備(ナビ機能はオプション)。インパネシフトや足踏み式パーキングブレーキをいち早く採用し、上級装備だったオプティトロンメーターが全車標準装備とされた。







上級FFセダンのカムリがベースなだけあって室内は広々。頭上の余裕や視点の高さもあいまってFRセダンをしのぐくつろぎをもたらす。静粛性や乗り心地など、SUVでは切り捨てられがちだった快適性への配慮も万全で、高級セダンのような快適な居住空間を実現。後席中央のシートベルトは2点式だ。


3.0L・V6

写真の3.0L・V6(220PS)のほか、2.2L直4(140PS)を設定。駆動方式はFF/4WDで、ミッションは全車4速ATを採用。'00年、直4が2.4L(160PS)に。



グレード別設定として、グローブボックス組み込みタイプの10連奏CDチェンジャーも用意していた。



後席は6:4分割可倒式で、それぞれ独立してスライド(120mm)&リクライニングが可能。









フラットにできる前席とワンタッチで前倒しできる後席により、フロントフルフラットなどシートアレンジが多彩。高さを含め、サイズも機能もレジャーワゴンとして優秀だ。


2000 クルーガーV

●発売年月:2000年11月 ●当時価格:266万5000~345万8000円


初代ハリアーがベースのトヨタビスタ店向け姉妹車

 ビスタ店(沖縄はカローラ沖縄)向けのハリアー派生車。'03年のマイチェンでは3列7人乗り仕様も登場し、クルーガーLの名でカローラ店でも販売開始。'04年発足のネッツ店でも販売された。


1999 LEXUS RX

●北米販売モデル


北米ではレクサスブランドの大ヒットモデルとなった

3.0L・V6搭載のハリアーは北米ではレクサスRXとして'98年にデビューし、瞬く間に人気モデルに。その後、'07年のLAショーで発表された3代目からはハリアーと別系統となっている。


初代ハリアー ミニヒストリー

【1997年12月:初代発売】パワートレーンは2.2L直4と3.0L・V6で、それぞれFFと4WDをラインナップ。販売店は全国のトヨペット店/大阪地区・大阪トヨタ/トヨタビスタ店。【1999年4月:特別仕様車発売】「EXTRA Gパッケージ」【2000年11月:マイナーチェンジ】直4が2.2Lから2.4Lに。内外装のデザイン変更や装備内容の向上を実施。トヨペット店専売車種に。【2002年1月:特別仕様車発売】「プライムナビセレクション」


2代目ハリアー【2003~2013】


●発売年月:2003年2月 ●当時価格:249万~367万円 ●最終改良:2007年8月「新世代ラグジュアリーSUV」を掲げて登場。プリクラッシュセーフティやエアサスといったテクノロジーを搭載するなど、車格でも装備内容でも上級サルーン的なポジションを確立。


人気No.1の理由をさらに深め、ハイブリッドも投入



高級乗用車路線を進め、悪路対応力も強化


初代はピラーの取り回しや側面形にグラシアの面影を残していたが、2代目はスポーツ&ラグジュアリー志向の最近のプレミアムSUVにも似た路線にイメージチェンジしている。プレミアムクラスの高級高性能志向に準じた対応とも言える。初代登場時は有力なライバル車が存在しなかったが、国際市場でのライバル車の増加やレクサスのブランド力強化に則した路線変更である。 性能面ではセンターデフ式のフルタイム4WDの採用など悪路対応力の強化や電子制御エアサスの設定などが見所に挙げられるが、最も注目すべきは先進安全&運転支援装備の採用とハイブリッド車の展開だろう。 V6車の上級グレードへのOP設定だが、登場時からプリクラッシュセーフティやACC、AFSを採用している。もっとも、4気筒車のみの構成となった後期型ガソリン車ではAFS以外が非設定となっている。 2005年にV6ベースのハイブリッド(THS II)搭載車を追加。4WDにはE-Fourを採用。電動化と4輪制御の両技術でプレミアムSUVの最先端を行くモデルになったが、意外なことにプリクラッシュセーフティとACCは設定されていない。現在の価値観からすれば不可解だが、この辺りは当時の先進安全&運転支援装備の価格設定や市場での認識による違いと考えるべきだろう。 なお、姉妹車の関係にあったレクサスRXだが、レクサスブランド自体は2005年から国内展開されているものの、同型の国内導入は見送られている。※ACC:アダプティブ・クルーズ・コントロール(定速走行・車間距離制御装置)AFS:アダプティブ・フロントライディング・システム(配光可変型前照灯システム)



より大柄で流麗なフォルムやHIDヘッドランプなどがプレステージ性を強調。“道具感”にこだわらない姿勢がさらにはっきりした。グレードはG、G・Lパッケージ、Gプレミアム・Lパッケージが基本で、V6車にエアサス搭載の新グレード「AIRS」が新設定された。


標準


センサー付き


カメラ付き



装備内容に応じて、エンブレムはミリ波レーダーセンサー付き/フロントカメラ付き(ともにOP)の設定によって計3タイプに。





オプティトロンメーターを標準装備し、上級グレードに木目をあしらうなど高級感がアップ。独立3眼タイプのメーターリングやシーケンシャルタイプのシフトレバーでスポーティさもアップ。車体前後と左ミラーのカメラによる車体周辺モニターをオプションで用意。







サイズアップにより室内空間も拡大。写真はベースグレードのGだが、初代と同様、上級グレードには本革シートをオプション設定。Lパッケージ以上はランバーサポート付きの運転席8ウェイパワーシートを標準装備。


2.4L直4


3.0L・V6



フルモデルチェンジ時は先代継承の3.0L・V6(220PS)と2.4L直4(160PS)を搭載。ただしV6の変速機は4速AT→5速ATに変更された。


2006 ハリアー【一部改良】

●発売年月:2006年1月 ●当時価格:266万7000~400万500円


3.5L・V6で動力&環境性能アップ

デビューから3年後の改良では、V6エンジンが3L(1MZ-FE)から新開発の3.5L(2GR-FE)に変更された。同時に3.5L車のVSC&TRC標準装備化をはじめ、全体の装備内容を大幅に充実させた。


3.5L・V6

新搭載の3.5L・V6は出力が280PSと従来より大幅にアップ。環境性能も高められており、当時のグリーン税制による減税措置対象車となった。


2005 ハリアーハイブリッド

●発売年月:2005年3月 ●当時価格:409万5000~462万円


クルーガーとともにハイブリッドモデルを設定

3.3L・V6エンジン(211PS)とフロントモーター(167PS)から成るTHS IIを採用。リヤモーター(68PS)で後輪を駆動するE-Fourとの組み合わせにより、高い走行性能と低燃費を実現した。



フロントにエンジン/モーター、リヤにモーター、後席下に3分割式ニッケル水素バッテリーを搭載。システム出力は272PS。


2代目ハリアー ミニヒストリー

【2003年2月:2代目代発売】トヨタ初のプリクラッシュセーフティを搭載。エアサス搭載グレード「AIRS」も登場。【2004年1月:一部改良/特別仕様車発売】オプション内容を変更し、特別仕様車「アルカンターラバージョン」を設定。【2004年7月:一部改良】プリクラッシュブレーキ機能を追加。各種装備内容も向上。【2005年3月:タイプ追加】3.3L・V6+THSIIの「ハリアーハイブリッド」を発売。【2006年1月:一部改良】V6が3.0Lから3.5Lの新エンジンに。装備変更を実施。【2006年7月:一部改良(ハイブリッド)】カラー変更。HDDナビをOP設定。【2007年1月:一部改良(ガソリン車)】カラー変更。【2013年8月:一部改良(ハイブリッド)】カラー変更。


3代目ハリアー【2013~2020】




●発売年月:2013年12月 ●当時価格:272万~447万円 ●最終改良:2007年8月ブラットフォームが海外専用の4代目RAV4と共通となり、2Lガソリン&2.5Lハイブリッドへダウンサイズ。レクサス・RXとは別系統の国内専用車となった。


より大きく豪華になる一方でダウンサイジング化も進行



レクサスとは別の道を歩み、高級ながら買い得感も


プレミアムSUVの大型化と高性能化はさらに進み、レクサスRXは価格面でもサイズ面でも1クラス上となり、ハリアーが支えてきた市場との整合が難しくなった。そこでRXとは別系統のモデルとして企画されたのが3代目だ。なお、レクサスにもRXの下位のブランドとしてNXが登場している。3代目の特徴は2代目後期のガソリン車の手頃さとハイブリッド車の先進性を二枚看板とした。ガソリン車は後にターボを追加するが、NA仕様の標準設定は先代の2.4Lから2.0Lへ変更。ハイブリッドも4気筒にするなど性能面でも手頃感のあるものとし、先進安全装備の拡充を考えればプレミアムSUVとしては買い得感も良好。なお、登場当時からACCを採用していたが、ターボ車が追加されたMCからACCとLKAが全車標準となり、先進運転支援機能でもコスパが向上している。同型のもうひとつの特徴はSUVの多様化を背景とした立ち位置の変化だ。SUVには少々不似合いなウェッジの利いたロングノーズに象徴されたスペシャリティな演出とオンロード感覚。上級ワゴンの代替モデルの側面を強く意識させられる。実際にアウトドア趣味向けのレジャーワゴン、つまりSUVの本質とも言えるニーズにはRAV4が存在し、適応用途や嗜好的な要素を違えるのは棲み分けでも重要だ。スペシャリティな雰囲気と実用性のバランスの取り方も巧みであり、オーソドックスな高級感の演出もあって、退潮傾向にある高級ワゴン(セダン)からの移行組の受け皿にも適している。



レクサスRXではなく北米RAV4の兄弟車となり、全長/全幅/ホイールベース/最小回転半径を短縮。エクステリアのデザインテーマは「Elegant Velocity」。クーペライクな流麗なフォルムに磨きを掛け、切れ長のLEDヘッドランプを全車標準装備するなど、さらに先進的なイメージに。





大型ディスプレイを備えた存在感のあるセンターコンソールやステッチを施したソフトパッド表皮、木目調加飾など、2代目のスポーティさに比してラグジュアリー&先進イメージが際立つ。メーターは独立3眼から2眼メーター+インフォメーション表示となった。





国内専用モデルとなってボディサイズは小型化されたが、後席ひざ前空間を47mm拡大するなど室内空間は広くなった。また、パワーウインドウの巻き込み防止機能を世界初採用した。


2.0L直4


2.5L直4+モーター



動力性能と燃費を求め、2.0L直4(151PS)+CVTと、2.5L直4(152PS)+前後モーター(143/68PS)のハイブリッド(システム出力192PS)に。



4カメラの周辺モニターや操舵制御付き車線逸脱警報の採用など、運転支援を高機能化。




2015 ハリアー エレガンス“G’s”

●発売年月:2015年1月 ●当時価格:329万1055~348万5455円


GAZOO Racing が手掛けたスポーティバージョン

「エレガンス」にガズー・レーシングによる架装を施したスポーティバージョン。内外装に留まらず、部分剛性アップやサスペンションチューンも実施。現在のGRシリーズの先駆けだ。






2017 ハリアー【マイナーチェンジ】

●発売年月:2017年6月 ●当時価格:294万9480~495万3960円


パワフルな2.0Lターボを追加

改良のテーマは「ハリアーネスのさらなる進化」。2.0Lターボの新採用を目玉に、より都会的に洗練を加えたエクステリア、素材をグレードアップしたインテリアに。さらに安全装備の充実を図るなど、細部にわたってアップデートを果たした。



シフト操作連動の自動作動/解除機能付き電動パーキングブレーキやフットブレーキによる停車を保持するブレーキホールドを設定。


2.0L直4ターボ

2.0L直噴ターボ(231PS)搭載車は、パフォーマンスダンパーやスポーツモードなど走り志向の装備も採用。


3代目ハリアー ミニヒストリー



関連情報


ボディタイプ:SUV・クロカン旧車概要・歴史