再び走る日を、ガレージで静かに夢見る3台の車│ロールス・ロイスとメルセデス・ベンツ

日本の、とある瀟洒な住宅街。その中でもひと際大きな屋敷の幅広いガレージのシャッターを開けると、3台もの車を並列に駐車することができる大きなスペースがあらわれた。
 
そこで目にしたのは、まずSZ系のロールス・ロイス。スピリッツよりもホイールベースが100㎜ほど長いシルバー・スパーだ。隣は凛としたエアロパーツをまとったW126系のAMG 500 SEL 。もちろん本物のAMGだ。そしてもう一台はラリーでも活躍した鋳鉄製専用エンジンブロックを搭載し、一部ボディにアルミが採用された107系450SLC5.0。これらは、今まさに車庫に戻ってきたばかりのように、フロントからガレージに斜めにすべり込んだように収まっている。そして、そのまま長い時間が過ぎていったのだ。

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この車のオーナーはたいへんな趣味人だった。作り手のこだわりが込められた車を好み、これらの他にも日本における輸入車文化の黎明期を代表するような希少な自動車を多数保有されていた。そのオーナーが亡くなり、現在はご子息がこの車を管理されており、お話をうかがう機会をいただいた。もちろんご子息ご本人も、とても車に詳しく趣味も広い。

「ガレージから別の場所に動かすこともできたのですが、趣味人であった父に敬意を表して今はそのままにしています」「ほとんどすべてのブランドを父は乗り継いできましたが、内装や機関系など特別なオーダーをすることも多く、本当に楽しそうに車を愛でていました」
 
日本にもまだまだ、気付かれることなく静かに眠っている車があるだろう。正しくレストアを施し、往年の息吹を取り戻してみるレストレーション。価値ある自動車の、もうひとつの楽しみ方である。