2020年5月20日午後10時、デスクトップ向け第10世代Coreプロセッサ(Comet Lake-S)と、それに対応するZ490チップセットを搭載するマザーボードが発売となった。マザーボード各社はハイエンドからローエンドまで数多くの製品を投入したが、ASUSTeKの「ROG MAXIMUS XII FORMULA」は、数少ない本格水冷対応のハイエンドマザーだ。
Z490マザーでトップクラスの豪華仕様
ASUSTeKのROG MAXIMUS XIIシリーズは、ゲームとOC(オーバークロック)での動作を重視した高耐久設計がウリだ。中でもROG MAXIMUS XII FORMULAは、VRM部に水冷関連のパーツを数多く手がけるEK Water Blocksと共同開発という、CrossChill EK III VRMブロックを搭載しているのが最大の特徴。水冷と空冷の両方の運用に対応し、水冷時は最大37.2度も低いMOSFET温度を実現するという。
電源周りも強力だ。電源回路はZ490マザーとしては最大級となる16フェーズ構成。MOSFETは70A対応のDrMOSを搭載している。また、電源回路の応答速度を高めるためフェーズダブラーを使わない独自のTEAMED POWER ARCHITECTUREを採用しているのも特徴だ。
インターフェース類をチェックしよう。バックパネルは、最近のミドルレンジ以上のマザーボードでは一般化しつつあるカバーを一体化したタイプ。CPU内蔵グラフィック機能の映像出力は備えていない。ハイエンドマザーなので、グラフィックスカードを搭載して使うのが当たり前、という考えなのだろう。バックパネルのUSBは、Type-C形状のUSB 3.2 Gen 2が1ポート、USB 3.2 Gen 2が3ポート、USB 3.2 Gen 1が6ポートだ。また、マザーボード上にはUSBピンヘッダとして、USB 3.2 Gen2 Type-Cを1ポート分、USB 3.2 Gen 1を4ポート分、USB 2.0を4ポート分、用意している。このほか、Thuderbolt3用のピンヘッダを搭載。別途、同社のカード「ThunderboltEX 3-TR」を追加することで、Thuderbolt3に対応できる。ThunderboltEX 3-TRは発売予定とのことだが、原稿執筆時点では決定していない(ROG MAXIMUS XII EXTREMEには標準で同梱されている)。
ネットワーク機能は、有線LANがIntel I225-Vの2.5GとMarvell AQtion AQC107の10Gの豪華なデュアルLAN仕様。無線はIntel AX201によるWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)対応し、最大2.4Gbpsの通信が可能だ。このほか、Bluetooth v5.1もサポート。ストレージは、Serial ATA 3.0を6ポート、M.2を3スロット搭載。そのうち2スロットはヒートシンクを備えている。1基は背面に搭載されているのがATXマザーとしては珍しい。サウンドは、RealtekのALC1220をベースにしたROG SupremeFXを搭載。ESSのオーディオ用DAC「ES9023P」も備え、ハイレゾ音源の再生もサポートする。
このほか、マザーボード上にはRGB LED(4ピン)とアドレサブルRGB LED(3ピン)のピンヘッダをそれぞれ2基ずつ備えており、凝ったライティングのPCにも仕上げやすい。本格水冷と合わせて、SNS映えするPCの自作に挑戦するのもいいだろう。
UEFIでComet Lake-Sを細かくチューニング
最後にUEFIもチェックしておこう。従来と同じく、シンプルに情報を表示する「EZ Mode」と、OCなど幅広い設定が行える「Advanced Mode」が用意されている。Z490マザーボードでは製品によってCPUの電力制限(パワーリミット)の設定が異なることがちょっとした話題になっている。ROG MAXIMUS XII FORMULAに関しては、筆者がCore i7-10700Kで試す限り、UEFIのバージョン0403の時点で、デフォルト設定ではPL1が125W、PL2が250W、Tauが56秒とIntelの定格に近い形に設定される。UEFIの「ASUS MultiCore Enhancement」を「Enabled - Remove All limits」にすると無制限(PL1、PL2とも4095W)となり、さらにCPUの性能を引き出す設定が有効になる。ROG MAXIMUS XII FORMULAの電源回路を考えれば、無制限でも十分安定して動作するはずだ(もちろんCPUの冷却力は高くする必要はあるが)。