ロッテ・菅野剛士

◆ 「今まで見たことのない凄いボール」

 “令和の怪物”が、またしても大きなインパクトを残した。

 27日、ロッテは本拠地・ZOZOマリンスタジアムでシート打撃を実施。ドラフト1位ルーキーの佐々木朗希もマウンドに登ると、11球のうち2球も「160キロ」を計測。プロ入り後の自己最速を更新してきた。

 緊急事態宣言の解除に合わせたかのように自身のリミッターも解除してきた怪物右腕。「しっかりと指にかかったいい球を投げることが出来ました」と手ごたえを口にし、「自分の思うような球を投げることが出来ました。だんだん良くなっていると思います。しっかり決めに行く時に決めに行けたのが収穫です」と、久々の打者相手の登板を振り返っている。


 一方、そのゴールデンルーキーを相手に“先輩の意地”を見せた男がいた。シート打撃で最初に打席に入った、プロ3年目の菅野剛士。わずか4球の対戦だったが、その内容が以下の通り。

1球目:ボール(ストレート/156キロ)
2球目:ボール(ストレート/157キロ)
3球目:ファウル(ストレート/156キロ)
4球目:右本(ストレート/157キロ)

 “直球一本”の勝負だったとはいえ、4球目の157キロを捕らえて右中間スタンドへ。本人からは「ストレート1本に絞っていたので、結果的に打つことが出来ましたが、変化球が来ていたら打てていませんでした」と、謙遜するようなコメントが出ているが、長い自粛期間の中で“生きたボール”から遠ざかっていた中、150キロ後半の速球に4球でアジャストしてみせたというのは、状態の良さを感じさせる。


◆ 大学時代には指名漏れも…

 東海大相模高から明治大、社会人・日立製作所を経て、2017年のドラフト4位でロッテに入団。同期の1位は左の大砲候補・安田尚憲である。

 高校時代は1年の秋から主力として活躍を見せ、春夏合わせて計3度も甲子園に出場。大学に進んでも六大学リーグ屈指の外野手として、2年春と4年春にベストナインを受賞。歴代最多記録を更新する28本の二塁打を放つなど注目を浴びたが、2015年秋のドラフト会議では、髙山俊(阪神1位)や上原健太(日本ハム1位)、坂本誠志郎(阪神2位)といったチームメイトが上位で名前を呼ばれていく中、自身の名前は最後まで聞かれず。無念の指名漏れとなった。


 それでも、社会人の強豪・日立製作所でも1年目から4番を任されるなどの奮闘を見せると、2016年夏の都市対抗野球ではチームの準優勝に大きく貢献。藤岡裕大(トヨタ自動車→現・ロッテ)や、田中俊太(日立製作所→現・巨人)とともに若獅子賞にも選出される。

 2年目には台湾で行われた『第28回BFAアジア野球選手権』の日本代表メンバーにも選出され、王座奪還に貢献。こうした活躍が認められ、指名漏れから2年後・2017年のドラフト会議でロッテから4位指名。晴れてプロへの扉が開いた。


◆ 3年目の飛躍に期待

 プロでも1年目のキャンプからアピールを見せ、その年の開幕戦に「6番・左翼」で先発出場。開幕スタメンを勝ち取るも、持ち味の打撃でアピールをすることができず、53試合の出場で打率.176という成績。一軍に定着することができなかった。

 昨季もファームでは92試合の出場で打率.300・8本塁打という安定した打棒を発揮しながら、一軍では28試合の出場で打率.197と低迷。どうしても“一軍の壁”を超えることができずにいる。

 加えて、今季は外野のポジションにFAで福田秀平が加入。チームの外野は例年以上の激戦区となっているだけに、菅野としては打って打ってアピールを続けるしかない。


 オープン戦では9試合の出場で打率.167とインパクトを残すことができなかったが、この開幕直前に怪物ルーキーから一発を叩き込んだというのは大きなアピールとなったことだろう。

 あとは6月2日から始まる練習試合で目に見える結果が欲しいところ。この“一発”をキッカケに、3年目の飛躍へと繋げていくことができるか。「6.19」までの約3週間、開幕一軍すべり込みを目指すロッテの背番号31から目が離せない。


文=尾崎直也


▼ 菅野剛士・プロフィール

ポジション:外野手
投打:右投左打
身長/体重:171センチ/83キロ
生年月日:1993年5月6日
経歴:東海大相模高-明治大-日立製作所-ロッテ
[昨季成績] 28試 率.197(66-13) 本3 点7
[通算成績] 81試 率.183(197-36) 本5 点25