朝と夕方で顔が違うことありませんか?

4月に入り、新生活が始まりました。今年はさらに、新型コロナウィルスの感染拡大により、日常生活へ様々な影響が出ています。外出の自粛、慣れない在宅勤務、子供の世話などで日々、疲れを感じている方も多いのではないでしょうか。

夕方ふと鏡や窓ガラスを見るとなんだかとても疲れて見えたり、老けて見えるとショックを感じたことはありませんか。気のせい? いいえ、気のせいではありません。マンダムの調査によると、朝と夕方の同じ人物の顔を第三者が見たときに、お疲れ印象スコアが優位に上がっており、見た目年齢は平均0.8歳、最大で3歳もアップすることが分かっています

※ 35~45歳女性34名の顔画像を朝夕2回撮影。21~49歳男女36名によって評価。

このお疲れ印象の原因、実はメイク崩れだけではないのです。

  • お疲れ印象

疲れた肌の原因は肌細胞の炎症反応にあり

心にストレスを感じるように、肌にも日中の紫外線や乾燥などの刺激がストレスとなってふりかかっています。そうした肌ストレスに日常的にさらされていると、肌の細胞は微弱な炎症反応を引き起こします。炎症反応を起こした肌細胞からは、炎症性サイトカインと呼ばれる炎症シグナルが出されます。

この炎症シグナルが、肌の乾燥や毛穴の開き、たるみやハリのなさといった様々な肌トラブルの原因となるのです。つまり、炎症シグナルを適切に調節することができなくなると肌の機能が低下してしまい、お疲れ印象につながってしまうのです。

このお疲れ印象をなんとか解決したい。マンダムでは、お疲れ印象の原因となる肌の炎症シグナルを調節する方法はないかと考え、国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所の石井健 教授(当時。現 東京大学医科学研究所)と共同研究を始めました。

  • お疲れ印象解決

肌細胞からの炎症シグナルを抑えるTRPM4

そして、マンダムが長年研究してきた感覚センサー(TRPチャネル※※)の一種である「TRPM4」が肌の細胞に発現していることを確認しました。さらに、TRPM4を活性化すると肌細胞からの炎症シグナルが抑制されることを見出しました。すなわち、TRPM4が肌の細胞に存在し、肌細胞の炎症反応を調節していることを、日本で初めて発見したのです。さらに、「アルムK」という物質がTRPM4を活性化することを発見しました。この聞きなれない成分「アルムK」の別名は「ミョウバン」。美肌の湯として有名な大分県の明礬温泉にも主成分として含まれています。

※※ TRP=Transient Receptor Potential。様々な感覚受容に関与する陽イオンチャネルファミリーで、化学物質や温度などを感知して電気信号に変換するセンサー

これまで、明礬温泉の美肌効果のメカニズムは分かっていませんでしたが、ミョウバンが肌細胞のTRPM4を活性化することによって、肌の炎症反応を抑えることが、その1つの原因であると考えられます。

マンダムが行った調査では、アルムKを配合したモデル化粧水を朝晩2回、4週間連用したところ、肌の水分量が増加、弾力が有意に増加し、毛穴の目立ちも改善することが確認できました※※※

※※※ 被験者数:13名

「TRPチャネル」はわたしたちの身体のさまざまな場所で、温度や化学物質のセンサーとして重要な働きをしています。今回、TRPチャネルの一種、TRPM4が肌の細胞の炎症反応を調節するという、これまでに知られていなかった機能を発見しました。皮膚は身体の最外層にあり、外部からの様々な刺激やストレスにさらされながら生体の内部を守る働きがありますが、感覚センサーが重要な役割を果たしている可能性があります。研究チームでは、皮膚における感覚センサーの働きの解明と、その活用に取り組んでいきたいと考えています。

  • TRPM4活性化

    TRPM4活性化による、表皮角化細胞からの炎症シグナル(サイトカイン)産生量に対する影響。表皮角化細胞において、炎症誘導によって産生されるサイトカインの量が、TRPM4を活性化することによって減少した (出所:マンダム発表資料)