スーツに見える作業着「WORK WEAR SUIT」が売上3倍 ヒットの影に『ミ二スカマーケター』の孤軍奮闘

オアシススタイルウェアが開発・発売する、スーツに見える作業着「WORK WEAR SUIT(WWS)」の売り上げが伸びている。2020年2月期の売上高は、前期比300%の3億円に拡大。法人向け(BtoB)で売り上げは先行していたが、自社ECサイトを強化したことで成長を加速している。EC事業の急拡大の影には、「ミニスカマーケター」という謎の肩書を持つ、新卒3年目の根本恵里奈氏の孤軍奮闘の活躍があった。

ユニフォームとして開発
「WWS」は「スーツに見える作業着」をコンセプトにした機能性の高い服だ。独自素材を開発し、ストレッチが効いて動きやすく、汚れに強く、撥水・速乾・ストレッチでシワになりにくい。毎日洗える耐久性を誇り、着るとスーツのようにフォーマルにも見える新感覚のウエアだ。


さまざまなシーンで活躍する「WWS」

グループ会社のオアシスソリューションは水道工事会社であり、創立10周年の際に作業員のユニフォームを刷新しようという企画が持ち上がり、2017年秋に完成した。現場の声をもとに非アパレル企業が開発したことで、独自性の高いウエアが誕生したわけだ。

「作業員が業務の合間でもコンビニに行きやすい方がいいという声や、営業社員も現場を確認する際に動きやすい方がいいという意見をもとに開発されています。自社で採用し、評判が良かったことから法人向け、個人向けに販売することになったようです」(マーケティング担当 根本氏)と話す。


『ミニスカマーケター』誕生
開発の経緯を教えてくれた根本氏だが、「WWS」が誕生した当時は、まだ入社前だった。「WWS」を本格的に外販するため、2017年12月にオアシススタイルウェアが設立。2018年4月に根本氏含めた新卒社員4人が「WWS」プロジェクトに加わった。

「最初はブランドを知ってもらわないと始まらない。私を含めた新卒社員4人全員で広報活動に取り組みました。プレスリリースを多いときには週2本出し、さまざまな業界の専門紙などにも怖いもの知らずでアプローチを続けました。おかげさまでたくさんのメディアに取り上げていただきました。初年度はほとんど広告費をかけずに売り上げを伸ばすことができたのです」(根本氏)と振り返る。


マーケティング担当の根本氏

「WWS」は2018年3月の発売して間もなく、コンセプトや機能性、スタイリッシュなデザインが話題となった。ワールドビジネスサテライトの「トレたま」をはじめ、多くのメディアに取り上げられた。ワークマンが手掛けた新ライン「WORKMAN Plus」と一緒に取り上げられるケースも多かったという。「デザイン性×機能性」というトレンドに乗ったプロダクトだったのだ。

マスメディアの話題性に加え、新卒メンバーの怖いもの知らずの広報活動が実を結び、まずは法人向けの受注が伸びていったという。

「人と合う機会が増えてきた頃、社長から実績のない新人でも初対面の人に覚えてもらいやすい肩書があった方がいいと言われました。そこでマーケティング担当になっていた私に付けられた肩書が『ミニスカマーケター』だったのです。その日、たまたまミニスカートを履いていたことで、肩書が決まりました。その後、人と会うときはミニスカートを履くことが増えました(笑)」(根本氏)と振り返る。


自らコード書き、改善に次ぐ改善
2018年4月、オアシススタイルウェアの親会社がロコンドグループと資本業務提携を締結した。2018年夏には、ロコンドが提供するECサイト構築システム「BOEM(ボエム)」で自社ECサイトを構築した。

「百貨店やセレクトショップなどを通して一般ユーザーに販売できるチャネルが増えたこともあり、2年目以降はECサイトの注文も増えてきました。ECサイトはブランドサイトも兼ねているため、商品の魅力を伝え、さらに購買にもつなげるための導線やコンテンツを充実させる必要がありました。ウェブマーケティングは私1人。それまで分からなかったコーディングを学び、毎週のようにECサイトを改善するようになりました」(根本氏)と言う。

伸縮自在であることや洗濯できることなどを、トップページに動きのあるコンテンツを配置し、アピールしている。さまざまな職種の人が実際に着用している画像も多数掲載するようにした。一般ユーザーが買いやすいように30日間の返品保証サービスもアピールするなどして、購入を促進した。


トップページに動く画像を配置し、特徴をアピール

外のノウハウを積極的に吸収
「経験豊富なマーケターが集まるような会合には積極的に参加しました。もちろんミニスカートで。さまざまな方にノウハウを教えてもらい、すぐに実践しました。1人では限界もあるので、外注の方を自分で連れてきたりして、体制を強化しています。上司を説得して広告の予算をもらい、PRも少しづつ展開しています」(根本氏)と話す。

「新型コロナウイルスがなければ、今期はリアル展開をもっとやりたかったです。ポップアップだけでなく、常設のリアル店舗を開設する計画もありました。ただ、この状況は仕方ないので、もっとBtoBやECを伸ばしたいと思います」(根本氏)と話す。

味方を増やした『ミニスカマーケター』の挑戦はまだまだ終わらない。